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情報通信 ニュースの正鵠
2009年2月掲載

充電不要の携帯電話

 携帯電話の進歩は目覚しい。

小型・軽量化は進んだし、デザインのバリエーションも増えた。一般の人には把握しきれないほど多くの機能がついていて、何でもできる。ユーザ数の増加に設備が追いつかなかった時代と比べると、通話品質も良くなった。ディスプレイもどんどん綺麗になっていく。データ通信に定額料金制が導入されてからは、思いがけない高額請求に驚かされることもなくなった。

 少し前まで不満に感じていたことが、次々に解消されていく。もうそろそろ改善の余地もなくなるのであろうか?

 いや、まだ一つ大きな課題が残っている。

 それはバッテリー問題だ。

 電池が切れてしまうと携帯電話は役立たずだ。最近は「携帯電話で調べればいいや」と思い、急いでいる時などに、行く先の場所をよく調べずに出かけてしまうことがある。しかし、そういう時に限って電池切れになったりする。予備のバッテリーを持ち歩けば良いと言われるかもしれないが、そこまで几帳面ではない。

 そんな時、「充電の心配をしなくて済む携帯電話があればいいのに」と思う。

さすがにそれは難しいかなと思っていたら、案外そうでもなさそうだ。

 昨年10月にNTTは、「歩行発電機」を取り付けたシューズの試作機を発表している。これは「靴底のスペースに液状の物質を入れておき、歩く時の体重移動によって生じる液体の流れで、小型のタービンを回して発電する」というもの。スニーカー好きの人であれば、「エアマックスのエアの代わりに液体が入っているイメージ」と言えばわかりやすいだろう。

 現在の試作機で、平均1.2Wの発電が可能であるという。これは、iPodを再生し続けることができる程度の電力量だそうだ。今後、出力を増加させ、携帯電話の通話ができるレベルを目指すという。

 問題は、発電した電力をどうやって携帯電話に送るのかという点だ。シューズに予備バッテリーを付けて、歩きながら充電しておき、携帯電話のバッテリーが切れたら付け替えるというやり方が現実的だろうか。しかし、せっかくだからもう少しSFチックに考えてみたい。

 最近では、電力を無線で飛ばす技術の検討も進んでいる。この技術は、電気製品を上に置くだけで充電できるシートなど、主に超短距離での充電/給電への活用が見込まれている。しかし、技術的には数メートル飛ばすことも可能らしい。これと組み合わせたい

 歩行発電機内蔵シューズを履いて歩きながら発電し、その電力を無線で携帯電話に給電する。

 「充電不要の携帯電話」も、どうやら夢物語ではなさそうだ。

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