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Enterprise Evolution
2009年8月掲載

次世代マイクログリッドの潮流(2)

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 前回の「次世代マイクログリッドの潮流(1)」では、 日本では、 多様なクリーンエネルギーを利用した次世代マイクログリッドを検討し、 実用化していくことが必要であると考えた。米国のスマートグリッドは、 図1に示すように、 スマートグリッドネットワーク(送電線ネットワーク)とICTネットワークを共に活用し、 エネルギー利用状況等を需要者に提示するという仕組みが中心となっている。スマートグリッドネットワークを利用した場合、 スマートメーターが需要者宅内まで情報を提示する。ICTネットワークを利用した場合は、 PCやMID(モバイル・インターネット・デバイス)経由し、 情報を提示する。スマートグリッドでは、 このようなエネルギー利用状況を把握すると同時に、 需要者宅で蓄積されたクリーンエネルギーの時価売買も含まれている。スマートグリッドネットワークには、 需要者も参加することで、 多様なエネルギーを適材適所に配分し、 エネルギーの最適化を行うことが目的とされている。

図1:米国を中心としたグリッドサービスの概要

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 日本では、 配電ネットワーク網は整備され、 安定した電力供給はすでに行われている。その結果、 日本はマイクログリッドにより実現される社会インフラを今後は考えていくことが重要となってくる。当然のことながら、 ドイツをはじめ、 欧州では、 このマイクログリッドともいうべき、 エネルギーインフラは整備され始めている。代替電力ともいうべき、 太陽光、 風力、 水力などのエネルギーを利用することを国策として、 推進されている。特に注目すべきは、 今回のスマートグリッドでも取り入れられている電力売買にインセンティブを割り当てられていることである。各家庭で蓄積されたクリーンエネルギーを電力会社と売買することで、 各家庭が小電力発電機能を担うことになる。

 日本がこのような小電力発電機能を担うにはどうしたらいいかを考えると、 まずはスマートグリッドで考えられる電力発電の時価売買を都市部を中心に行うことである。さらに、 都市部では難しい大規模な風力発電や太陽光発電の小電力蓄積を郊外の休耕田を利用して行うことが可能となれば、 都市部で集中しているエネルギー需要を郊外のエネルギー供給で補うことが可能となる

 このように、 各家庭で電力の最適化が行われると同時に、 郊外から大規模な小電力送電を行うことで、 多様なエネルギーを大規模に利活用することが可能となる。米国を中心としたスマートグリッドにおいて、 日本では次世代マイクログリッドともいうべき、 小電力発電を大規模で行うことで、 既存のエネルギーの代替となることが考えられる。通信キャリアは、 マイクログリッドソリューションともいうべき、 電力会社と需要者宅間のネットワークインフラだけを担うだけでなく、 都市部と郊外の送電インフラも担うことで重要な役割を果たすようになる。ICTサービス事業者は、 送電制御や電力利用状況の提供を通じて、 電力事業者と需要者の新たな接点なることができ、 新たな市場創造が期待できる。

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