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2011年10月18日掲載 |
2011年9月14日、サウジアラビアの主要3通信事業者がLTE商用化を開始したと発表した。各社とも、中東で初めてのLTE(4G)の開始と表明している。GSAが2011年9月22日に発表した調査によると、全世界で2011年9月末までにLTE商用開始していたのが33通信事業者である(表1)。 (表1)商用LTE開始国(2011年9月27日現在)
*GSA発表後の2011年9月25日にUAEの通信事業者Etisalatが発表、 27日にオーストラリアの通信事業者Telstraが発表したので追加。 サウジアラビアの携帯電話概要とLTEサウジアラビアの携帯電話市場について概観してみたい。 携帯電話加入者:約5,430万加入。人口普及率約208%と非常に高い。 1.STC 3.Zain Saudi Arabia サウジアラビアでは、各社ともにモバイルデータ通信でのLTEサービスの提供である。 STCは9月14日の発表後の9月18日には、LTEを活用して首都リャドに「E-Library」をオープンすると発表している。また、STCはNokia Siemens Networkと提携して、TD-LTEを導入している。 Mobilyは9月14日の発表の中では9月13日から開始しているとして、他2社をけん制しているかのようだ。そのせいかMobilyが中東で一番という報道をされている記事を多く見かける。 Zainは今回のLTE導入に伴って、モトローラ、エリクソン、Huaweiと提携していると発表している。 各社ともに、LTEサービスにおいては、それ程大きな違いはない。既に携帯電話普及率が200%を超えた同国においては、モバイルデータ通信市場が通信事業者にとっては新たな収入源の確保および今後のネットワークのオフロードとして活用されていくことになるのだろう。 サウジアラビアのインターネット規制サウジアラビアはインターネットの規制、コンテンツの検閲、監視が非常に厳しいことで有名な国である。 2010年8月には、Blackberryの機能の一部を治安上の懸念から中止するようにUAEおよびサウジアラビア政府が通信事業者に命じたのは記憶に新しいだろう。 国境なき記者団(RSF)は2011年3月16日、サウジアラビアをインターネット上の言論の自由を脅かす「インターネットの敵」国の1つであることを発表した。 また、Human Right Watchも2011年1月7日に、サウジアラビアのネット規制に関して警告を発している。 ハーバード大学のJonathan Zittrain教授らが執筆した「Documentation of Internet Filtering in Saudi Arabia」においてサウジアラビアのインターネットの規制については詳細に紹介されている。 今回、サウジアラビアの主要3通信事業者がLTEを導入して、高速データ通信をユーザは享受できるようになるだろうが、インターネットの規制は緩和されていない。高速でのデータ通信が可能になってもユーザはアクセスできないサイトに変わりはない。 なお、サウジアラビアでのFacebook利用者は約440万で、世界31位、人口に対する普及率は約17%という調査結果がある。 同国でのインターネットの規制、コンテンツの検閲は政治的な要素や宗教的な問題もあり一筋縄には解決のできない問題である。 今後はサウジアラビア、中東地域でのLTE普及とともに、サウジアラビアでのインターネットの規制、言論の自由、コンテンツ検閲の問題についても重ねて注目する必要があるだろう。 【参考動画:ZainのLTE導入の広告(2011年)】 【参考動画:中東のネット規制に関する報道】 (参考文献) *本情報は2011年9月28日現在のものである。 |
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