ホーム > Global Perspective 2011 >
Global Perspective 2011
2011年10月25日掲載

韓国KT:iPhone向けNFCサービス対応を発表〜韓国でのNFCの行方

グローバル研究グループ 佐藤 仁
[tweet]

 2011年9月20日、韓国通信事業者KTは、iCaterを用いたiPhoneでのNFCサービスの開始を発表した。「KT Becomes the 1st in the World to Offer NFC Service for the iPhone」というリリース(英文)のタイトルである。

 iCaterはカナダのメーカーでNFC対応デバイスを開発しており、同社製品をiPhoneに装着することによってNFC対応を可能とする。同社は2011年1月にはVisa Europe向けのモバイルペイメントにも対応することを発表している。

 KTは「通信事業者として世界初のiPhoneを活用したNFCサービス提供」ということである。リリースの中でも、以下のようにコメントしている。

“As NFC-enabled smart phone was launched recently, iPhone users are showing increasing needs for NFC services. So we became the 1st mobile carrier in the world to deliver NFC services to iPhone users by launching the NFC case.” “As a global leader of NFC services, KT plans to provide more convenient and differentiated NFC services to its customers.”

 今後、KTは同社のブランドである「Olleh」を活用したNFC対応のアプリの提供や「Cashbee」マークのある交通機関での活用、 新韓銀行でのクレジットカードとしての提供を予定している。

「Olleh」のサイトでもNFCに関しての取組が紹介されている。2011年9月18日現在、韓国におけるiPhoneの累計販売台数は約310万台で、KTが約270万台、SK Telecomが約40万台と報じられている。

 一方、同記事にもあるように、現在世界各国で、サムスンとAppleの特許をめぐる争いは世界各地で続いており、韓国ではサムスンがAppleのiPhone 5 を韓国国内での販売差し止め要求の訴えを起こすとの報道もある。また、先日世界で発売が開始されたiPhone4Sの最初の販売国に韓国は含まれていない。韓国市場でのiPhoneの販売が今後、どのような展開をしていくか注目する必要がある。

 またNFCについては2011年3月29日、韓国放送通信委員会 (Korean Communication Commission:KCC) は韓国でのNFC活性化を目的とした 「Grand NFC Korea Alliance」 の発足を発表している。

 「Grand NFC Korea Alliance」には、サムスンとKT、新韓銀行は名前を連ねているが、AppleとiCaterの名前はない。2011年2月9日にはNTTドコモと韓国KTは提携して「NFCサービス相互利用に向けた検討に合意」を発表している。

 KTは韓国第2位の通信事業者でシェア32%、約1,670万加入者がいる。iPhone所有者は、そのうちの約16%程度である。KTのiPhoneにiCaterを装着してのNFC活用による取組みによって、KTのiPhoneユーザの利便性が向上するかもしれないが、残りの多くのユーザにとっても同様にサービス提供をしないと事業者にとってもユーザにとってもリアルな利用場所、店舗にとっても不自由であろう。

 韓国でのNFCを活用した取組みやモバイルペイメントの行方はまだ迷走しているように見受ける。韓国の全てのユーザにとって効率的で利便性の高いNFCサービスを提供するために早く足並みが揃うことを期待している。

 今後、サムスンとAppleの関係も含めて韓国でのNFCの行方にも引き続き注目していく必要がある。

*本情報は、2011年10月8日時点のものである。

▲このページのトップへ
InfoComニューズレター
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。
InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。