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2011年11月4日掲載 |
2011年10月11日、マスターカードは、アラブ首長国連邦(以下:UAE)の通信事業者Etisalat、携帯電話メーカーRIMと提携してNFCを活用したモバイルペイメントを開始することを発表した。RIMのBlackBerry Bold 9900(図1)などの端末が活用される予定だ。今回のモバイルペイメント実現に向けてNetwork InternationalとOberthur Technologiesがシステム構築やSIMの提供を行う。 2011年10月9日には、Etisalatは、リッチコンテンツやソーシャルメディアなどを融合させる次世代型プラットフォーム「ePlus」構想を発表している。NFCによるモバイルペイメントのサービスもその一環であろう。 UAEと携帯電話事情 UAEは、アブダビ首長国、ドバイ首長国、シャールジャ首長国、アジュマーン首長国、ウンム・アル=カイワイン首長国、フジャイラ首長国、ラアス・アル=ハイマ首長国の7つの首長国から構成されている。 携帯電話加入者:約1,228万加入。人口普及率約243%と非常に高い。 1.Etisalat 2.du UAEでのBlackBerry事情UAEといえば2010年8月1日に、電気通信規制局(TRA)はRIM社の「BlackBerry」のデータ通信サービスの使用を禁止すると発表したことが記憶に新しい。UAEの電気通信関連法に違反するとのことで、BlackBerryのメッセージング、電子メール、Webブラウジングを2010年10月11日に停止すると発表した。 BlackBerryサービスでは、データはUAE国外に送信され、国外企業によって管理されている。UAEで展開されているデータサービスで、このような形式をとっているのはBlackBerryだけであり、TRAは、一部BlackBerryサービスが法的および社会的問題や、国家安全保障上の懸念を引き起こす可能性があるとして、解決策が出るまでは提供を中止すると勧告していた。そして通信事業者Etisalatとduに対して、ユーザーに代替サービスを提供するよう通達していた。 しかし2010年10月8日、UAEはRIMと合意に至り、事前に通告していたBlackBerryの利用禁止措置の停止を発表したため、UAEでは現在でもBlackBerryが利用可能だ。実際にどのような内容で合意に至ったかは発表していない。UAEは中継貿易都市、金融都市、石油ビジネスの拠点として多くのビジネスパーソンが訪れる。ビジネスマンに人気の高いBlackBerryのUAEでの利用禁止措置に海外のビジネスパーソンからも懸念が示されていた。UAEではBlackBerryはビジネスのライフラインになっていたのだ。また、UAEではBlackBerryの人気は高く、約50万人が利用している。 利用禁止措置が発出された時には、RIMは、「特定の国家に対して特別な扱いをしない」という声明を出すなど一触即発な関係だった。そしてちょうど1年後RIMは、Etisalatらの提供するNFCでのモバイルペイメント事業に端末ベンダーとして参入することになった。 UAEではインターネットは強制的に検閲され、ポルノや政治的に微妙なものなどや道徳観に反すると思われるものはブロック)されている。本稿の主題と外れるので、詳細は割愛するが、興味深いのはSNSのOrkutはブロック対象URLだが、Facebookは対象外などとなっている。(2011年10月、UAEのFacebook利用者は、約262万人で、世界51位。人口普及率53%) 今後のNFCモバイルペイメントへの期待EtisalatのEssa Al Haddad氏は今回のモバイルペインメントに関して以下のように語っている。 “This is just the beginning of a new era in how we make payments in the UAE, The NFC technology used in this application allows a tremendous shift in how we will start to make payments, something that has been talked of for years will soon be a reality. Your mobile could buy you lunch, a cinema ticket, transport, and much more. We look forward to working closely with MasterCard and RIM in shaping the future of mobile payments in the UAE.” UAEは人口約460万人ながらも、世界でのトップクラスの富裕者層が多い国である。今後利用できるリアルな店舗が増え、NFCによるモバイルペイメントが活性化することに期待したい。UAEではBlackBerryは非常に人気がある。BlackBerryが同国でのモバイルペイメント普及を後押しすることを期待したい。さらには、他メーカーの端末でも利用できるようになり利便性向上に努めてもらいたい。 Etisalatはグループ会社のタンザニアでもアフリカ初のNFCを活用したモバイルペイメントを開始している。今後さらに同社のNFCを活用したモバイルペイメントの取組みに期待したい。 【参考動画:Etisalat社のBlackBerry広告(今回のNFCモバイルペイメントとは関係ない)】 【参考動画:UAEの「BlackBerry flu」(ブラックベリー中毒)】 【参考動画:UAEでのBlackBerry利用禁止措置を伝えるニュース(2010年8月)】 【参考動画:UAEでのBlackBerry利用禁止措置の停止を伝えるニュース(2010年10月)】 (図1)今回のモバイルペイメントに利用される予定のBlackBerry Bold 9900 ※本情報は、2011年10月15日現在のものである。 |
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