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Global Perspective 2012
2012年1月20日掲載

イラン:NFCを活用したモバイルペイメントへの取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 NFCを活用したモバイルペイメントサービスがイランで導入されるようだ。
イランにおいて、Etick Pars Intelligent Technologies CompanyBank Pasargadがイランの通信事業者 Irancellと提携 して、NFCを活用したモバイルペイメントのトライアルを開始すると2011年12月22日にNFC Forumが報じている。

 Etick Pars Intelligent Technologies Companyは、イランでのソリューションベンダーとして有名でコンタクトレスチケットなどのシステム構築の実績も多い。Gemalto社のNFC対応のSIMカードを利用する予定なので、既存の端末での利用が可能である。
 今回の提携で、IrancellのユーザはNFCを活用してプリペイドへのチャージや商店での買い物、公共交通機関での乗降ができるようになる。まずはEtickが導入した交通機関のチケット販売機での利用をイランのMashhadとAhwazで導入する予定。他にも利用者向けのロイヤリティアプリケーションも開発していく予定である。

 イランは古代からペルシャ商人と呼ばれ、商才に長けていた民族である。バザールで価格交渉による商取引を行ってきた。慣れない日本人は圧倒されてしまう。今後、モバイルペイメントが導入されても、そのような習慣は残るだろう。
 一方で、イランの人口の3分の2が30歳未満で若者が多く、携帯電話の普及率も高く最新の携帯電話を使いこなしている。理工系の優秀な学生が多い。モバイルペイメント普及の素地は十分にある。早期の商用化が楽しみである。
 新旧入り交じるであろうイランでのモバイルペイメントに今後も注目していきたい。国際社会では、様々な点でクローズアップされているイランであるが、このようなイノベーションは歓迎してもよいと考える。

イラン携帯電話事情

 イランの携帯電話事情を簡単に見ていきたい。

携帯電話加入者は約8,020万人。携帯電話加入率は、約106%(2011年9月)

 

会社

シェア

備考

1

Mobile Communication Company of Iran (MCI)

56.1%

イラン電気通信会社(TCI)グループ

2

MTN Irancell

41.5%

Iran Electronic Development Company (IEDC)が51%および南アフリカMTNが49%の株式を保有

3

その他

2.4%

Taliyaなど数社の通信事業者が存在するがシェアは低い

(参考)通信事業者はNFCで何をしたいのか?改めて考える時

*本情報は2011年1月16日現在のものである。

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