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2012年9月24日掲載 |
今回はムスリム女性向けファッション販売eコマースを切り口にしてムスリム女性市場を見ていきたい。 2012年9月12日、グリーのベンチャーキャピタル子会社グリーベンチャーズが、インドネシアのeコマースサイト運営会社Bukalapak社に出資したと報じられた。出資額や条件など詳細は明らかにされていない。Bukalapak社はインドネシアの首都ジャカルタに拠点を置くスタートアップで、男女ファッションやアクセサリーを販売するeコマースサイト「Scallope」、ムスリム女性向けファッションを販売する「HijUp」などを運営している。 ムスリム女性向けファッションサイト「HijUp」イスラム教徒(ムスリム)女性向けファッションやアクセサリーのeコマースサイト「HijUp」はインドネシアで2011年にオープンした。現在はインドネシア語と英語での表示だけだが、世界最大のムスリム女性向けのファッションサイトを目指している。 本稿ではファッションの詳細説明は割愛するが、ムスリム女性は世界中でも着用している。しかし欧米では多くのムスリム女性ファッションを入手することは容易ではない。インドネシアは世界最大のムスリムの国であるから、多くのムスリム女性向けファッションやアクセサリーがある。それらを世界中のムスリム女性に対して販売することができる。オンラインショッピングであれば世界中のムスリム女性は、どこにいてもPCやスマートフォンの前でムスリム女性用ファッションを選んで購入することができる。 インドネシアでは2000年代後半からeコマース市場も大きく成長している。日本の楽天も2010年に進出し2011年6月からインドネシアで「Rakuten Belanja Online」を展開している。
(図1)ジャカルタのデパートでのムスリム女性向けファッション売り場のマネキン
![]() ![]() (筆者撮影) (図2)Hijabを着用しているインドネシアの女の子・女子学生![]() ポテンシャルの高いムスリム女性市場日本人にとっては馴染みのないムスリム社会だが、全世界で約15.7億人のムスリムがいる(2009年)。全世界の人口が70億人なので4〜5人に1人がムスリムである。仮に半分が女性であったとしても約7〜8億人である。つまり全世界の約10人に1人がムスリム女性である。そして、約15.7億人のムスリムのうち約3億人がインターネットを利用できる環境にいる。 ムスリム女性はスカーフで顔を覆っているイメージが強く外には出てこないイメージが強いが、最近は女性の社会進出も目立ってきて、購買力もついてきている。中東においては2010年末から始まった「アラブの春」もその要因の1つであり、中東社会においても女性が政治に興味を持ち始め、女性の地位向上を求める動きが加速している。ムスリム女性をターゲットにした市場だけでも、ムスリム向けのファッション、化粧品、生理用品など日本や欧米社会と異なったムスリム女性独自のマーケットが形成されている。 日本にとっては馴染みがあまりないターゲットであるが、ムスリム女性市場は規模と成長性の観点から注目である。
(表1)世界のムスリム人口が多い上位30カ国のムスリム人口と人口比率
![]() (Pew Research Center等の公表資料などを元に筆者作成) 【参考動画】HijUpの広告ビデオ(2012年) 【参考動画】HijUpのファッションショー動画(2012年) *本情報は2012年9月16日時点のものである。 |
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