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2013年11月11日掲載 |
2013年10月27日のFinancial TimesでフランスOrange、イギリスVodafone、シンガポールSingtelがミャンマーの国営通信事業者MPTの提携先候補の1つになったと報じられた(※1)。ミャンマーでは2013年6月に新規参入の通信事業者としてノルウェーTelenorとカタールOoredooの2社に免許が付与されたばかりである(参考レポート)。新たに免許が付与されたTelenorとOoredooの2社は2014年にミャンマーで携帯電話事業を開始する予定である。 Financial Timesの報道に対して、OrangeとVodafoneはコメントをしていないが、Singtelはミャンマー市場に興味があり、引き続きチャンスを探っていることをコメントした。もはや各社に対して新たに免許が付与されることはないであろうから、進出する手段としては既存のMPTとの提携であろう。 これから競合となる2社を迎え撃つMPTとしても、新興国市場で強い民間企業であるOoredoo、Telenorと真っ向勝負して敗北してしまう可能性がないわけではない。現在のミャンマーの携帯電話加入者数は500万で、国民の10%以下しか携帯電話を保有していないことから、先行して事業展開を行っているMPTに先行者メリットがあるとは言いにくい。また同社が保有する周波数はCDMAやGSMなど方式もバラバラであり統一性もないことから、これから整理を行う必要があり、それらにコストもかかるだろう。その点からMPTとしても新興国市場でのビジネス経験が豊富な外資系企業との提携にはメリットがあるかもしれない。 2013年11月5日の報道によるとSingtelは、ミャンマーに進出する予定である。ミャンマー政府から拠点開設の認可を取得している。これは通信免許ではない。オフィス開設の許可である。同社はミャンマーでの携帯電話プロジェクトを落札したノルウェーのTelenorなどと通信ネットワーク拡張で協力関係を構築していくと報じられている。ミャンマーの地元紙Daily Elevenによると投資企業管理局(DICA)への登記を完了したそうで、拠点の名称は「Singtel Myanmar」である。Singtelは買収や提携を通じてオーストラリア、インドネシア、インド、タイ、フィリピンなどで携帯電話サービス事業を手掛けている。 SingtelだけでなくOrangeもVodafoneも地元の欧州地域だけでなく中東、アジア、アフリカといった新興国市場において事業の運営や投資、提携を行っている。彼らは新興国での事業展開も長く、それぞれの市場でプレゼンスを確立している。そして3社とも入札時に落選してしまっている。チャンスがあればミャンマー市場への参入を再度狙いたいところだろう。 (図1)ミャンマーの携帯電話市場をめぐる通信事業者の動向 ![]() (出典:筆者作成) (表1)ミャンマーでの携帯電話免許入札に名乗りを上げていた ![]() (出典:公開情報を元に作成) 2012年12月、ミャンマー政府は通信(固定電話+携帯電話)普及率を2016年3月までに75%へ引き上げるとの目標を発表した。プリペイドが主流の新興国で3社が競争する市場であれば、この数値を達成することも難しいことではないだろう。ミャンマーは人口約6,000万人に対して、携帯電話の普及はまだ500万程度である。これからも多いに成長が期待できる市場である。この市場への参入のチャンスを再度狙っているのは今回報じられた3社以外にも多く存在するのではないだろうか。免許入札で落選したくらいでは諦められないはずだ。急成長が期待されるミャンマーの携帯電話市場をめぐって、外資系通信事業者はまだその市場を虎視眈々と狙っているのだろう。これからもミャンマーの携帯電話市場には注目である。 【参考動画】 *本情報は2013年11月10日時点のものである。 ※1 FT(2013) Oct 27, 2013 “Myanmar courts foreign telecoms groups to tap mobile market” |
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