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2013年2月26日掲載 |
2013年になってから、サイバー攻撃の報道が後を絶たない。特にアメリカのメディア、IT企業などが相次いで標的とされている。サイバー攻撃は攻撃されたかどうか不明なこともあり、公表されている数よりももっと多いであろう。 2013年2月12日にオバマ大統領が発出した大統領令においてもサイバーセキュリティが政策の柱となった。ここ数週間でサイバー攻撃をめぐるニュースが毎日のように目まぐるしく出ている。そのような中で、The New York Times(NYT)は、米セキュリティ企業Mandiantのレポートを引用し、米国の企業、政府機関、団体を標的にしたサイバー攻撃は、「圧倒的な割合」で上海郊外にある中国人民解放軍関連の12階建てオフィスビルが発信源の攻撃であると2月18日に報じた(※1)。同社が公表したレポートによると、「APT1」「Comment Crew」と称されるハッカーグループが2006年から合計141の攻撃があったとのこと。同社はこの「APT1」と中国人民解放軍総参謀部第3部の第2局(「61398部隊」)であると結論付けている。 アメリカを標的としたサイバー攻撃2013年になってからアメリカを標的としたサイバー攻撃だけでも、以下が報じられている。 (表1)2013年1月〜2月にアメリカを標的とした主要なサイバー攻撃 ![]() (公開されている情報を元に筆者作成) 反論する中国中国政府および軍は、サイバー攻撃への関与を否定している。軍や外務省のコメントをChina Dailyを通じて英語で世界に発信している。また中国自身もサイバー攻撃の標的にされており、昨年だけで73,000の海外のIPアドレスから中国国内の1,400万台以上のコンピュータがコントロールされ、攻撃の大半がアメリカからの攻撃だと述べている(※2)。 サイバー攻撃は「やられた」、「やってない」の舌戦へ米中でのサイバースペースをめぐる攻防は今始まった訳ではない。 現代社会は個人の生活も国家経済、安全保障もサイバースペースに依拠している。一方でサイバースペースには未知の脆弱性が非常に多く、それらを突いて仕掛けてくるのがサイバー攻撃である。通常兵器のように大打撃を与える脅威とは異なるが、国家として無視することもできない。サイバースペースをめぐる攻防は秘匿性と非対称が特徴であることから米中のような大国間同士での協力関係は容易ではないのだろう。 サイバー攻撃に関しては当面「やられた」、「やってない」の舌戦が続くのではないだろうか。しかし、いつまでもこのような舌戦を繰り返していたら、相互の不信感は強まるばかりである。米中両国でこのような舌戦を回避するためにも、国家間によるサイバー攻撃そのものを回避する信頼醸成措置のような枠組みが必要になるだろう。米中両国でのサイバー攻撃への対応策と今後の出方には世界が注目している。 【参考動画】 *本情報は2013年2月25日時点のものである。 ※1 THE New York Times(2013) “Chinese Army Unit Is Seen as Tied to Hacking Against U.S., ,Feb 18,2013 ”http://www.nytimes.com/2013/02/19/technology/chinas-army-is-seen-as-tied-to-hacking-against-us.html ※2 China Daily(2013),” Reason for cyber accusation”, Feb 21, 2013, http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2013-02/21/content_16242036.htm |
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