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2013年3月19日掲載 |
2013年2月、バルセロナで開催されているMobile World Congressにおいて業界団体GSMA(GSM Association)が様々なモバイル分野での優れた商品やサービスをジャンルごとに表彰している。その中の1つのジャンルで、モバイルを活用した教育向けサービスで優れたサービスを表彰する「Best Mobile Education or Learning Product or Service」がある。2013年はパキスタンの通信事業者Mobilinkが国連機関UNESCOとパキスタンで活動するNGOと協力して提供する「SMS Based Literacy program」が選出された。本稿では発展途上国における教育と携帯電話を見ていきたい。 Mobilinkが提供する「SMS Based Literacy program」パキスタン最大の通信事業者Mobilinkは国際連合の機関であるUNESCO(ユネスコ:The United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)と提携し、パキスタンで女性向けにSMSを活用した教育を2009年から提供している。 パキスタンでは5,000万人以上が読み書きできない。そしてとくに女性で読み書きできる人が少ない。15歳以上で男性識字率は63%なのに対して、女性は36%のみで約半分である。女性の教育機会はパキスタンにおいても一番の問題である。携帯電話のSMSによって識字率の向上も目指している。 途上国での教育問題途上国では教育に関しては様々な問題が多く残存している。例えば、以下のようなものがあげられる。
学校に行くことが当たり前の出来ごとではない国や地域が非常に多く、その格差は更に大きくなってきている。教育の格差を縮めることはなぜそれほど重要なのか?アマルティア・センは以下のように述べている(※2)。 『教育へのアクセス、包括的教育、教育到達度に見られる膨大な差異はなぜ取り除く必要があるのか?1つは世の中をより安全で、より公平な場所にするために重要だ。世界の多数の人々を教育の軌道外に置き去りにし続ければ、世界をさらに不公平で、危険な場所に変えることになる。(中略)基礎教育を普及させ、その効力を拡大すれば、人間の安全を脅かす殆どの危険に対して、概ね強力な予防効果を発揮できる。最も基本的な問題は、識字力や計算能力が無いこと自体が一種の不安であるという根本的な事実と関わっている。読み書きや計算、意志伝達が出来ないことは、とてつもない困窮状態です。不安な状況の最たるものは生きるのに必要なものが確実に欠乏しているのに、その運命を回避する機会がないことです。学校教育を充実させることが何よりも直接的に役立つのは、こうした根本的な欠乏状態を直に改善できるからである。』(下線筆者) 日本では学校での携帯電話を禁止しているような学校も多くあるように教育も携帯電話保有も当たり前である。しかし全世界にはまだまだ教育にも携帯電話にもアクセスできない人が多く存在している。 (参考) *本情報は2013年3月15日時点のものである。 ※1 Mobilink,” Expansion of SMS-based Literacy Initiative” http://www.mobilinkgsm.com/csr/literacy_expansion.php ※2 アマルティア・セン著 東郷えりか訳『人間の安全保障』(集英社新書 2006年)p9 |
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