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Global Perspective 2013
2013年4月17日掲載

ガーナ:携帯電話は町をきれいにするのか?

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁
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アフリカのガーナで、携帯電話・スマートフォンを活用して町のゴミや下水道の清掃を行っていこうという取組があり、世界銀行が支援している(※1)。

携帯電話で町のゴミや下水道の現状を送る「Taarifa」

ガーナだけでなく、アフリカや多くの途上国、新興国において、町は綺麗ではない。ゴミが収集に来ないことや、スラム街では廃棄物(ゴミ)なのか、生活必需品なのかわからない。また下水が完備しているところは都市部に限られるから、下水道が溜まっていたり、壊れており汚水で異臭を放っていたりする。それらは衛生面上、非常に悪く、多くの病気の原因にもなっている。現地の地方自治体、当局が民間業者に委託してゴミ収集や下水処理を行っているが追いついてない、または完全に行き届いてない。ゴミの多くはスーパーなどのビニール袋であることが多く、溜まっても自然処理されないし、大雨の際には水の流れが悪くなり、洪水の原因にもなっている。

町の処分されないゴミの山や下水の状況を携帯電話やスマートフォンのショートメッセージ(SMS)、メール、Twitter、アプリを利用して地方自治体、当局の管理部門にお知らせをして、それらの情報を元にゴミ収集や下水処理などに担当業者が行く、というパイロットプロジェクトがガーナで実施されている。
 スワヒリ語でHeadlineを意味する「Taarifa」というサービスでNGOが開発している。GPS対応している携帯電話、スマートフォンであれば、位置情報もリアルタイムに送信することが可能である。「ゴミ収集モニターサービス」(monitor waste collection services)という位置付けであるが、下水道、スラム開発、若者の教育にも活用していく予定である。

このシステムが一般の人々に普及して、日常生活の中で活用されるまでには、まだまだ時間が相当にかかることは世界銀行も理解している。
 人々に携帯電話、スマートフォンが行き渡り、このようなサービスがあることを認知し利用してもらうことが重要であり、情報が送付されてきた地方自治体が情報に基づいてゴミ収集や下水処理に業者を「その場所」へ送ることができるか、など運営上の問題はまだたくさん残っている。

ガーナでは携帯電話は浸透してきており、加入者数が約2,500万で普及率103%である。但し、これはプリペイドのSIMカードの販売枚数なので、首都アクラ近辺では1人で何枚もSIMカードを保有している人もいるが、地方では持っていない人も多い。都市部ではBPOビジネスなど新産業に注力しているが、地方の格差は拡大している(参考レポート)。

このサービスが本格的に導入される前に解決しなくてはならない問題は多数残っているが、携帯電話やスマートフォンを活用してガーナの町がきれいになることを期待している。そしてこの取組みは他の途上国にも適用できる可能性があるため、ガーナでの取組みはその試金石になるだろう。

(図1)ゴミの清掃、下水処理が行き届いてないガーナの地方都市
(途上国では頻繁に見かける光景)



(出典:世界銀行)

【参考動画】

(参考)「Taarifa」

*本情報は2013年4月16日時点のものである。

※1 World Bank(2013) Mar 26,2013, “Ghana: Making Cities ‘Smarter’ Through the Use of ICT”
http://blogs.worldbank.org/nasikiliza/ghana-making-cities-smarter-through-the-use-of-ict

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