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2014年2月10日掲載 |
2014年2月3日、スペイン最大手の通信事業者テレフォニカは同社が事業展開するベネズエラ、ペルー、スペイン、コロンビア、ウルグアイ、ブラジル、メキシコの7か国で販売する「Firefox OS」端末にメッセンジャーアプリ「Line」を独占的に搭載することを発表した(※1)。またテレフォニカは今後発売する「Firefox OS」端末にLineをデフォルトのアプリケーションとしてインストールすることも計画している。さらに、両社は中南米7か国でマーケティング・キャンペーンにおいても協力していく予定である。 圧倒的なシェアを誇るAndroid OSテレフォニカは2013年から同社が事業展開を行っている中南米市場においてZTEやTCL Communication Technologyが提供する「Firefox OS」スマートフォンの販売を開始している(参考レポート)。 (表1)2013年のスマートフォンOS別販売台数とシェア ![]() (出典:Strategy Analytics発表資料を元に筆者作成) 現在、圧倒的なシェアであるAndroidとそれを追随するiPhoneとWindows Phoneであるが、スマートフォンによってユーザーが利用するアプリケーションに大きな違いがあるかというと、そうではない。つまりどのOSであれ利用しているアプリケーションに大差はない。多くのユーザーがどのOSのスマートフォンであれ、FacebookやTwitterのようなソーシャルメディア、YouTubeのような動画、WhatsAppやLINEのようなメッセンジャーアプリ、そしてゲームなどを利用している。 LINEの搭載は「Firefox OS」販売増の起爆剤になるのだろうか?日本でもおなじみのメッセンジャーアプリであるLINEは現在、世界で3億3,000万の利用者がいる。また「WhatsApp」が圧倒的に強い欧州のメッセンジャーアプリ市場において、LINEはスペインで人気が高い(参考レポート)。そのことからスペインと中南米で事業展開しているテレフォニカが「Firefox OS」への搭載アプリとして「WhatsApp」でなくLINEを選択したこと自体、正しいだろう。しかしLINEから見れば「Firefox OS」に搭載されなくとも、世界中で今後も利用者を獲得していくだろう。 今回、通信事業者のテレフォニカとLINEが提携して「Firefox OS」を搭載したスマートフォンでLINEのアプリを中南米市場で提供することになるが、それによって「Firefox OS」スマートフォンが爆発的に売れるようになるとは考えにくい。もちろん端末としての差別化の1つにはなるだろうが、既にAndroidやiPhoneでは誰でもLINEを無料でダウンロードして利用できることから、「Firefox OS」にデフォルトで搭載されていること自体は珍しいことではない。 Android OSが市場シェア80%となっている現在、テレフォニカは「Firefox OS」の販売を推進することで自社にとって何かメリットがあるのだろうか。LINEが「Firefox OS」スマートフォンの中南米市場での販売増加の起爆剤になるとは考えにくい。テレフォニカが世界中で利用者が拡大しており、勢いがあるLINEの知名度やブランド力を借りたいだけのようにしか見えない。 テレフォニカが通信事業者としてメッセンジャーアプリ「LINE」と提携し、「Firefox OS」にアプリを搭載することによって、どのような販売戦略を行い中南米市場で「Firefox OS」スマートフォンをプッシュしていくのか、テレフォニカの戦略には引き続き注目していきたい。 (参考) *本情報は2014年2月7日時点のものである。 ※1 Telefonica(2014) 3、Feb 2014, “LINE Euro-Americas Partners With Telefónica in Exclusive Firefox OS Deal” ※2 “Strategy Analytics: Android Captures 79 Percent Share of Global Smartphone Shipments in 2013” |
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