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2014年3月24日掲載 |
2014年3月20日、トルコのエルドアン首相はソーシャルメディア「Twitter」へのアクセスを遮断すると語った。トルコでは「Twitter」でエルドアン首相の汚職疑惑などが連日投稿されたため、ネット規制を強化したようである。トルコ国内のネットユーザーから「Twitter」にアクセスできないとの声も上がっている。エルドアン首相は「裁判所の命令もある。ツイッターを根絶やしにする」「国際社会はいろいろと言うだろうが全く気にしない」と語った(※1)。日本でもニュースで多く取り上げられている。 ところが「Twitter」への接続を遮断すると宣言したら、逆に「Twitter」利用者が急増したそうで、トルコ国民は国外の民間サーバーを経由して遮断措置を迂回したそうだ(※2)。 トルコではSNS上にエルドアン政権の元閣僚による汚職事件の捜査に関する情報が流され、政府はこれを止めようと懸命になっている。エルドアン首相は以前もFacebookやYouTubeへのアクセスを遮断する構えを見せていたそうだ。 かつて2011年1月から2月にかけて「アラブの春」がエジプトで起きた時にも、エジプトでムバラク政権への反政府デモが続き、インターネットおよび携帯電話からのネット接続がほぼ全面的に遮断されたことがあった。その時も人々は「音声電話」を使って「つぶやき」を行ったり、ショートメッセージ(SMS)を活用して情報発信を行ったことがある(関連レポート)。 今回のトルコでも「Twitter」遮断宣言を受けて、Twitterでもショートメッセージ(SMS)を用いた投稿を行えるよう対抗措置を施したようだ。またGoogleでも「パブリックDNS」という無料サービスを活用することによってブロックされている「Twitter」へのアクセスを行えるようにした。このサービスで利用するための数字「8.8.8.8」や「8.8.4.4」がネット上や町中に拡散された。 (図1)Googleの「パブリックDNS」を使おうという画像と、 ![]() グローバリゼーションの中での情報2014年3月21日、アメリカ政府はトルコでの「Twitter」遮断について反対し、憂慮するコメントを発表している(※3)。 現代はグローバリゼーションが進展している。グローバリゼーションの大きな特徴は「人、モノ、金、情報」が瞬時に世界規模で移動できることである。グローバリゼーションという国際システムの枠組みの中で国家が運営されている限りにおいて、そのどれも簡単に遮断することはできない。すなわち「人」や「モノ」、「金」の移動は自由にできるのに「情報」だけを遮断してしまうことはほとんど不可能である。たとえ「Twitter」への接続を遮断したとしても、他の方法や手段を用いて、情報発信することが可能である。 むしろ「Twitter」へのアクセスを遮断することを宣言してしまうことの方が、その情報が世界中を瞬時に駆け巡ることになり、逆効果である。現代の国際システムの枠組みの中において「情報」を遮断することは容易ではない。 【参考動画】 *本情報は2014年3月23日時点のものである。 (参考) ※1 CNN(2014年3月21日)「トルコ首相、ツイッターを「遮断する」」 ※2 WSJ(2014年3月22日)「トルコのツイッター遮断は失敗―エルドアン首相への批判殺到」 ※3 WhiteHouse(2014) 21 Mar 2014, “Statement by the Press Secretary on Blocking of Twitter in Turkey” |
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