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Global Perspective 2014
2014年6月6日掲載

中南米・アジアで急成長するメッセンジャーアプリ「WeChat」

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

先日、中国系のメッセンジャーアプリ「WeChat」がアフリカで 利用者が増加していると伝えた(「中国のメッセンジャーアプリ『WeChat』が目指すアフリカ市場)。その「WeChat」が中南米やアジアでも急速に拡大しているようだ。

中南米で急成長する「WeChat」

GlobalWebIndexによると、中南米諸国での「WeChat」のアクティブユーザーの伸びが1,000%を超えている国が多いとのことである(※1)。特にアルゼンチン、ブラジル、メキシコの中南米3大市場での拡大が著しい。

(アルゼンチン)
2013年第1四半期と比較して、アルゼンチンでは「WeChat」は835%増だった。同国では「Instagram」が290%増、「WhatsApp」が122%増だった。

(ブラジル)
「WeChat」は1,108%増で、「Instagram」の101%増、「Skype」97%増と比較すると、圧倒的に「WeChat」の利用者増加が伺える。

(メキシコ)
中南米市場で最も「WeChat」の増加率が大きく2,502%増を記録した。「Instagram」が173%増、「WhatsApp」が146%増とメッセンジャーアプリが急速に拡大している。

アジアでも成長著しい「WeChat」

「WeChat」の急成長が著しいのは中南米市場だけではない。特にアジアでの成長も顕著である。フィリピンでは2,820%、インド1,774%、インドネシア1,094%、マレーシア1,332%と爆発的な増加をしている。

なお、アメリカでは「WeChat」は547%増と、アジアや中南米ほどではないが、こちらも大きく増加している。アメリカでは「Instagram」338%増、「WhatsApp」が332%増だった。

もっとも、成長が高いのは前年の数字が低いから、それと比して大きく増加しているので注意も必要である。それでも急激に増加していることは「WeChat」が中南米やアジア市場で受け入れられているからであろう。「WeChat」は中国系メッセンジャーアプリであるが、中国の色を全く感じない「ローカライズされた広告」をテレビやビルボードで行っており認知度も急上昇している。

競争激しいメッセンジャーアプリ

メッセンジャーアプリが新たなモバイルコミュニケーションのプラットフォームになってきており、非常に競争が激しくなっている。これらの多くは無料でダウンロードでき、機能としては大きな差はほとんどない。つまりユーザーとしては「WeChat」であろうが、「WhatsApp」だろうが「LINE」だろうが、メッセージのやり取りをするなら、どれでもいいのだ。「仲の良い友達」が使っているから、とメッセンジャーアプリは拡大していくのだが、他に良いアプリがあれば、あっという間にユーザーは別のアプリに移行してしまう。

メッセンジャーアプリ側はユーザーの繋ぎ止めに向けた新たな差別化の提供と認知度向上に向けた積極的なプロモーションを行わないと、生き残ることができない厳しい業界で「一寸先は闇」である。

【参考動画】
「WeChat」ブラジルでのテレビ広告

「WeChat」メキシコでのテレビ広告

「WeChat」フィリピンでのテレビ広告

*本情報は2014年6月5日時点のものである。

※1 LATIN POST(2014), 3 Jun 2014, “WeChat in Latin America: Mobile Messaging App Growth Rate Over 1000 Percent Ahead Rival WhatsApp”
http://www.latinpost.com/articles/14091/20140603/wechat-latin-america-mobile-messaging-app-growth-rate-over-1000.htm

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