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2014年7月14日掲載 |
2014年7月9日、10日と北京で開催されていた米中戦略経済対話において今回もサイバーセキュリティが重要な話題の1つとなった。そして結果として、今回も米中間でサイバーセキュリティについて大きな合意はなかった。2013年はCyber Working Group(サイバーワーキンググループ)が開催された(※1)。 米中の間では、2014年5月に、アメリカ司法省が、2006年から2014年にかけて、原子力・太陽光発電や金属分野のアメリカ企業などにサイバー攻撃を行ない、企業秘密を盗んだとして、中国人民解放軍当局者5人を訴追したことが記憶に新しい(参考:米中サイバー戦争:「警告」としてのアメリカによる中国軍5人の訴追)。そのため緊張したムードになるのかと思っていたが、ロイターによるとサイバーに関わる問題は、両国はフランクに会話が行われていたと報じていた(※2)。 アメリカ国務省では、米中戦略経済対話を踏まえて、サイバーセキュリティについては下記のように発表した(※3)。 サイバー犯罪(知的財産権などの情報摂取)は、ビジネスや国の競争力にも影響を与える重要なことから、米中では引き続きサイバーセキュリティの問題については議論をしていくこと。そして、サイバーセキュリティは世界の全ての国が直面する共通の危機であるため、両国は平和で安全な開かれたサイバースペース構築のために、常に強い協力関係を維持していく必要がある。アメリカ側がサイバースペースに関する米中対話と協力の環境を整えることができると中国は期待していると述べた。 【原文(下線筆者)】 (前略) そもそも米中間でサイバースペースに対する国家としての姿勢が違いすぎる。アメリカはサイバースペースにおける自由を重視しており、中国は国家による管理と規制を求めている。そのように出発点が異なることから、米中間でサイバーセキュリティの問題は、一朝一夕には解決できる問題ではない。 今回の米中戦略経済対話では大きな合意には至らなかったものの、2国間で引き続き協議を継続することでは合意した。最近の米中の間では、先述のアメリカ司法省による中国人民解放軍当局者5人の訴追など、両国の間に不穏な空気が漂っていたことから、物別れに終わらず、継続して協議できる環境を維持できただけでも成果なのかもしれない。引き続き米中のサイバーセキュリティに関する協議は注目である。 *本情報は2014年7月13日時点のものである。 ※1 US Department of State(2013), 12 Jul 2013, “U.S.-China Strategic and Economic Dialogue Outcomes of the Strategic Track” ※2 Reuter(2014), 10 Jul 2014, ” China, U.S. to boost security ties, but no breakthroughs” ※3 US Department of State(2014), 10 Jul 2014, “Joint U.S.-China Press Statements at the Conclusion of the Strategic & Economic Dialogue” |
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