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Global Perspective 2014
2014年7月25日掲載

ワシントンDCでの「歩きスマホ」レーン:テレビ番組での試み

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁

ナショナルジオグラフィックのテレビ番組が2014年7月、アメリカの首都ワシントンDCで「歩きスマホ」専用レーンと「通常の歩道(歩きスマホ禁止)」レーンを作って、人々の行動を見るという実験を行った(※1)。

ワシントンDCの18番通り(18th Street)に、以下の2つのレーンが設置された。

  1. "No cellphones" 「歩きスマホ禁止レーン」(通常の歩道)
  2. ” Cellphones: Walk this way at your own risk” 「歩きスマホ専用レーン。但し、自己責任で歩いてね」

これはテレビ番組での実験であり、実際に導入されたわけではないが、「歩きスマホ専用レーン」を目の前にした人々の行動は以下のようなものだったと報じられている(※2)

  • ほとんどの人は歩道の変更をしない。
  • 多くの人は、道路の注意書きを見て、それを写真に撮っていた。
  • Bluetoothのハンズフリーで会話している人は、「歩きスマホ専用レーン」に移動した。
  • 見知らぬ人同士で、道路の注意書きを見て話しあっていた。
  • 「歩きスマホ」をしている多くの人は、実際には注意書きにすら気がつかなかった。

日本でも問題になっている「歩きスマホ」はアメリカでも同じである。事故も多い(参考:アメリカの10代「ながら歩き」は「歩きスマホ」と「音楽」)。

かつて、アメリカのフィラデルフィアではエープリールフール(2012年4月1日)に、「歩きスマホ専用レーン」、通称「e-lane」を導入したことがある(参考:フィラデルフィア「歩きスマホ」専用道路「e-lane」の試み)。

今回のワシントンDCでの「歩きスマホ専用レーン」はテレビ番組の中の1コーナーでの実験である。そして、その結果においても「歩きスマホ」をしている多くの人は、スマートフォンに夢中で、注意書きにすら気が付かなかったようだ(Many people actually using their phones did not notice the markings at all.)。

今回はテレビ番組の実験であるが、実際に「歩きスマホ専用レーン」が導入されたとしても、そこが「歩きスマホ専用レーン」かどうかも気が付かないで、スマートフォンに夢中になったまま歩いている人は多いかもしれない。そして、そのレーンでは、みんなが「歩きスマホ」をしながら歩いているから、ぶつかったりして危ないだろう。まさに「Walk this way at your own risk” 「自己責任で歩いてね」である。

事故を起こしてしまってからでは遅すぎる。「歩きスマホ」は今日からやめよう。

(図)右が「歩きスマホ専用レーン」、左が「歩きスマホ禁止レーン」

(図)右が「歩きスマホ専用レーン」、左が「歩きスマホ禁止レーン」

(出典:Business Insider)

【参考動画】

*本情報は2014年7月25日時点のものである。

※1 “National Geographic TV show experiment puts cellphone and no cellphone lanes on DC sidewalk”
http://www.foxnews.com/us/2014/07/17/national-geographic-tv-show-experiment-puts-cellphone-and-no-cellphone-lanes-on/
多数報道あり。

※2 Yahoo(2014) 18 Jul 2014, “Cellphone Talkers Get Their Own Sidewalk Lane in D.C.”
https://www.yahoo.com/tech/cellphone-talkers-get-their-own-sidewalk-lane-in-d-c-92080566744.html

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