ホーム > Global Perspective > |
2011年5月26日掲載 |
インドにおける携帯電話を活用したエイズ対策と性教育を行っている事例とその背景について紹介したい。 2011年1月24日、インドの通信事業者Tata DOCOMOは携帯電話のSMSを活用した性教育に関する情報提供サービス「Sparsh」を開始した。“Sparsh”とはサンスクリット語で、“touch” の意味。ユーザは、最初にサービスセンターに電話をして登録をする。その後、電話(音声)でエイズ問題や性教育に関する様々なトピックに電話でアクセスできる。いわゆるIVR(Interactive Voice Response)サービスである。利用料金は、10日間で10ルピー(約20円)、1秒間では1パイサ(約0.2円)である。サービスは、英語、ヒンディ語、タミール語等インドの主要10言語で提供されている。地方によって言語が異なるインドならではのサービスである。 このような社会的背景を考慮すると、今回の「Sparsh」のように携帯電話の音声で情報提供および啓蒙活動するサービスは重要になるだろう。2011年5月時点では、Tata DOCOMOのみだが、Airtelなど他通信事業者からもサービスを提供する予定だ。 一方、インドのHIV感染者の多くは、社会の最下層に属している人々だ。携帯電話を持っていない人も多いだろう、また10日で10ルピーという費用を自己啓発に向けて利用するかどうか懸念もある。UNAIDSの推計によれば、HIV感染者のおよそ10%しか自分がどういう状態にあるか知らないという。そのような観点からサービス提供に関する改善や工夫の余地はあるのではないだろうか。今後はもっと積極的に他通信事業者、NGO団体、関連機関、政府との連携も必要になるだろう。 今回のサービス開始にあたって、Tata DOCOMOのZubin Jimmy Dubash氏は以下のようにコメントしている。 “Sparsh aims at creating awareness about sex education on the mobile. Majority of Indians are still conservative about openly discussing and clearing doubts about the topic. Keeping this insight in mind, we have introduced Sparsh, which offers the customer complete privacy in accessing this information through a simple IVR call, Most importantly, it a service where the content is certified by FPAI thus overcoming the barriers of being misinformed. Through this service, we, at TATA DOCOMO, aim at providing on-the-go solution to important issues such as lack of awareness about sex, particularly amongst the adolescents and the ever increasing concern on AIDS, sexually transmitted diseases, physical abuse and socially unwanted behavior,” インドでは本サービスを「モバイル・ヘルス(mHealth)」サービスと位置づけている。日本や先進国のユーザの感覚では、「モバイル・ヘルス」は、メタボ対策や万歩計による健康管理を想定するが、このようなBHN(Basic Human Needs)に関する情報提供、啓蒙活動も途上国においては重要な「モバイル・ヘルス」である。 *本情報は2011年5月23日時点のものである。 (参考URL) |
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |