2011年5月4日、トルコ最大の通信事業者Turkcellが、“Cep-T Cüzdan”という名称でMobile Walletサービス(日本でいう「おサイフケータイ」サービス)を開始すると発表した。
本サービスはNFC技術を活用しており、NFC対応の携帯電話にユーザはクレジットカード情報や、電車のパス、コンサートチケットなどを格納することができる。さらにユーザは既存のSIMからGemalto社が提供しているNFC対応のSIMカードへの変更も必要である。NFC対応した携帯電話を所有していないユーザに対しては、Gemalto社が開発したN-FlexソリューションでNFC対応を可能とし、50機種での対応を可能とする。また、Turkcellは、独自ブランドT10という端末においてもマスターカードPayPassアプリケーションの対応を可能とする。
Turkcellは、数年にわたってNFCサービスのインフラ構築に取り組んできた。2つのトルコの銀行とトライアルを行って試行錯誤を繰り返してきて、2010年末に開発が完了した。
TurkcellはNFCサービスによってユーザへの差別化を図っていくために、使い勝手向上を目指したインターフェースの開発にも注力してきた。
今回のNFCでは、まずTurkish Bank、 Yap? Krediが参加する。
Turkcellと Yap? Kredi は2011年初旬にiCarteソリューションを活用したモバイルペイメントで協力してトライアルを行っていた。これはiPhonenに装着してコンタクトレス決済を行うものだ。(参考記事「Visa Europe、欧州でiPhone向け決済サービスを発表」)TurkcellとYap? Krediは今回、マスターカードのPayPassソリューションを提供する。ユーザはマスターカードの情報をNFC対応のSIMに書き込み、PIN入力やサインなしで、モバイルペイメント1回で35トルコリラ(約1,750円)まで買い物ができる。
トルコでは既にマスターカードのPayPassに対応した読み取り機が全土で40,000台以上設置されていて、TurkcellのNFCサービスである"Cep-T Cüzdan"も利用できる。今年の終わりまでには、チケット販売などへも拡大していくとのこと。
ここで簡単にトルコの携帯電話市場についてみてみたい。
携帯電話加入者数約6,170万人。加入率約87.6%。(2010年12月現在)3G普及率は約28%。以下3社がトルコの主要な通信事業者である。
- Turkcell シェア:約54%
- Vodafone Turkey シェア:約27%
- Avea シェア:約19%
欧州では通信事業者主導で多くのNFCによるモバイルペイメントのトライアルや商用化に向けた取組みが行われている。2011年5月26日、Googleは「Google Wallet」を発表した。今後ますます世界において、NFC、モバイルペイメントの取組みは盛んになってくるだろう。今後、トルコにおいてTurkcell主導でのNFCによるモバイルペイメントがどこまで普及しトルコ市場において受け入れられるか注目していきたい。
トルコの人口は、約7,480万人。フランス(約6,550万人)やスペイン(約4,600万人)よりもはるかに多くの人口を抱えている。市場規模としても注目できる。トルコは携帯電話普及人口が約6,170万人で、過半数以上の約3,100万人がTurkcellのユーザである。今後は他通信事業者とも協力してトルコ市場でのNFC決済による利便性の向上を目指して頂きたい。
欧州では様々なNFCのトライアルが実施されている。トルコのNFCが欧州および世界のNFC市場を牽引していくことに期待していきたい。
(参考サイト)
・Turkcell
・Turkcell Youtubeサイト
・Turkcell Facebookページ
本情報は、全て2011年6月13日時点のものである。