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2009年3月掲載 |
マンハッタンの南端Bowling Green駅を降りると、フリーペーパー「Metro」を配っている。出口の上にドサっと置きながら配っている。隣のテントでリンゴを売っている。ドサッと剥き出し。路上のバンではコーヒーとホットドッグ。東京のほうが清潔じゃん。トウキョー as ナンバー・ワンッ!道を渡ると新聞の自動販売機が並んでる。ニューヨーク・タイムズは1ドル50セントだっけ?ニューヨーク・ポストは25セントだ。安すぎる。 NAA(Newspaper Association of America)によると、アメリカの新聞の、発行部数は50年前、広告収入は10年前と同じ規模に戻ってしまった。ベンジャミン・バトンかっ。 アメリカで一番部数の多い新聞は、USA Today(230万部、なんと1ドル)。どのホテル泊まってもUSA Todayが配られる。ホテル契約!さすがッ!と思って調べてみた。Gannett社(USA Todayを発行してる)の購読料収入は2年間ほぼ横ばいだ。喝っ! ではなんで、ここ何年も、新聞社はヤバいと耳にするのか(・・・聞いたことありますかー?自分の書いた記もついでに参照(笑))それは、新聞の広告収入が落ち込んでいるからだ。Gannett社の広告収入も・・・結構減ってるよー。 新聞は、購読料(記事を買ってくれる人)と広告でメシを食べている。ニューヨーク・タイムズ社は、街角の新聞販売ボックスで1ドル50セント(日曜版は5ドル)の新聞を売るだけでは、食べていけない。広告収入と合わせて、やっとカツカツだ。 かといって、インターネットはフリーワールド。お金を稼ぐのは難しそう。。。 元TIME誌編集長、Walter Isaacson氏は、「新聞社のインターネット戦略は広告だけに頼りすぎている。マイクロペイメント(10円とかで記事を買うこと)で記事を販売してはどうか」(How to Save Your Newspaper, TIME, February 16 2009)という提案をしている。 ただ、マイクロペイメントで印刷工場とか紙代とかまで稼げ、というのはムリだー。新聞デジタル論(ちょっと硬いか)で重要なのは、デジタルとアナログを独立採算で考えることだろう。 ワシントン・ポスト社は、印刷工場のひとつを閉鎖すると発表している。印刷工場では、記事をデジタル化できないからだ。ワシントン・ポスト社は、予備校のカプランが稼ぎ頭だ。他事業の儲けで新聞を運営するのもいいかも。 アーカサンソー州のArkansas Democrat-Gazette紙は、月額4.95ドルの有料Webサイトを運営、成功しているという。(Wanted: Online Payment Plan for Print, Michael Learmonth, Ad Age February 23 2009)同紙のWalter E. Hussman Jr社長は、「オンライン広告なんて微々たるもの。それはヤフーにあげる。無料にするより、有料にしてウェブの経費を賄ったほうがよい」と語っている。Arkansas Democrat-Gazette紙は、176,000部、ウェブ会員は3,400名だという(Locking up the news sites, Jon Fine, Newsweek, March 2 2009) それと、コンテンツとメディアも分けて考えたほうがいい。 タイム・ワーナー社は、傘下のケーブル会社を分離する。元々、タイム社のケーブル網が欲しくて合併したのに、インターネットで動画配信ができる時代、もうケーブル会社は不要なのだ。同社のJeff BewkesCEOは、「我々は、コンテンツ制作に注力する企業になる」と再三語っている。 アナログメディアの違う使い道を考えてるのが、イギリスのMail on Sunday紙だ。土曜はCD、日曜はDVDをオマケにしてる。PrinceとかTravisとか超人気バンドの新作がオマケの新聞だ。アーティストは、イギリス津々浦々まで自分のCDを運んでくれる機能に目を付けた。Mail on Sunday紙は、アーティストからプロモーション費を貰って儲ける。ロックメディア第7回参照 発行頻度を落とすのも手だ。Christian Science Monitor紙は、週刊紙になる。Detroit Free Press紙は週3回。考えてみると、毎日20ページ以上も字で埋めるのは大変なことだ。けれど、読むほうからみれば、企業のプレス・リリースで埋められた紙面はどうもお金払う気にならないよ。 速報性は捨てるしかないことを実感したシーン (シーン1)今年のCESで、FCCのマーチン委員長(当時)の基調講演を最前列で聞いていた。隣の人がなにやら、パソコンを取り出し、カメラを構え、ガチャガチャやっている。よく見ると、Venture Beatの文字。その記者(Dean Takahashi氏)は講演が終わると同時に、記事をネットにアップしていた。写真つき。 (シーン2)ニューヨークで開催されたOnMedia NYCというカンファレンスの最前列には、「Bloggers Bullpen」というボードが置かれていた。ネット接続や電源が整備されており、Twitterで情報をバンバンあげる。 いま紙面を埋めている速報ニュース、企業リリース、記者会見などの記事は、インターネットで見れてしまう(ニュースがコモディティ化してるという)。書き手の主張、コラム、特集など、がこれからの有望コンテンツだろう。手間と時間がかかるかもしれないが、そんなの誰だって一緒だよっ! それをインターネットで流通させる。マイクロペイメントだ。サーバーもレンタルすればよい。今までのようには儲からないかもしれないが、それが普通なんだよー。 |
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