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2009年3月掲載 |
オーバー・ザ・トップで話題 ⇒ BoxeeHuluのように、映画、ドラマをケーブルテレビの『セット・トップ・ボックス』の頭越しに、テレビに届けるサービスを、「オーバー・ザ・トップ (Over-the-Top)」と呼ぶ(らしい)。 オーバー・ザ・トップでいま話題なのが、『BOXEE(ボクシー)』だ。(『BOXY』は、中学時代流行った文房具ブランドだ) 「なんでかぁー」というと、Boxeeの無料ソフトウェアを、マック(パソコン)にインストール、テレビとつなぐと、Huluが簡単に見れてしまうから。 (⇒実際にやったことがないので、実はいまいちピンと来ていない・・・そこで、先週AppleTVを購入、とりあえず、YouTubeの『ガリガリガリクソン』がテレビで見れることはわかりました。ワオゥワオゥ) ところが、先月HuluがBoxeeとのアクセスを遮断した。「今はコンテンツプロバイダーとの関係を優先した」と、HuluのJason Kilar(ジェイソン・カイラー)CEOはブログに書いている。 Boxeeは、映像ビジネスのNapsterになってしまうのかHulu、Boxeeのようなオーバー・ザ・トップサービスは、ケーブルテレビ、衛星放送、HBOのようなペイ(有料)テレビチャンネルにとって不倶戴天の敵だ。『オレたちが築いてきたビジネス』を破壊してしまうからだ。 Boxee のAvner Ronen CEOとコムキャスト(アメリカで一番大きいケーブルテレビ)の子会社のThe Platformの人の議論を取材する機会があった。(Media Summit New York 2009 2009年3月19日) 会場に集まったのは50人ほど、Ronen氏が「Boxeeを知ってる人?」と言うと、半分以上が手を挙げていた。会場で雑談した限りだと、知名度は低かったが・・・ 議論は期待通り、白熱してました。 Ronen氏 「ケーブルテレビは、インターネット出現前のビジネスモデルだ。見たくないチャンネルにもお金を払わなければならない。インターネットは、オンデマンド(必要に応じて)なことができる場で、ユーザーのメリットは大きい」 The Platform 「新聞を見てみろ!ニュースが無料になったおかげで、苦しんでる。テレビも同じになったら、誰がドラマを作るんだっ」 Ronen CEOは、完璧ユーザー視点なので、大手企業の人と話が合わないのはムリもない。Boxeeは、今年はユーザーを増やすことに専念し、その後メーカーなどにライセンス販売をするらしい。 ケーブルテレビ側は、Huluの有料版を作ろうとしている。コムキャストは、‘OnDemand Online(仮称)’(Wall Street Journal、2009年 2月20日)、タイムワーナーケーブルも、有料インターネット配信‘TV Everywhere’を発表している。(TV Everywhere, As Long As You Pay For It, Ad Age 2009年3月2日)また、‘Primetime On Demand’という好きなときにCBSのドラマが見れるチャンネル(こちらはケーブル網通じて)を発表している(2009年3月9日)。 Boxee のAvner Ronen CEOとThe Platformの論争(Media Summit New York, 2009.03.19) ケーブルチャンネル(有料モデル)は、大手メディアの稼ぎ頭ペイテレビチャンネル=有料放送モデルは、映像ビジネスで重要な部門になっている。 たとえば、Disneyの売上20%、利益のほぼ50%は、ケーブルチャンネル部門が稼いでいる(同社2008年度資料)。ほかにも、NBCユニバーサルのJeff ZuckerCEOは、「営業利益の60%はケーブルチャンネルが稼いでいる。NBCという名前で地上波テレビ局というイメージが強いが、実はケーブルチャンネル会社だ」と言っていた。(Media Summit New Yorkにて)
Media Summit New Yorkでケーブル戦略について語るJeff Zucker CEO Disney-ABCのAnn Sweeney社長は、「インターネットの無料広告モデルを支持する」と言っていた(ロックメディア第23回参照)。世の中=ユーザーの流れは、無料で、オンデマンドで、見たいっ!という方向性に向かっている。今後どーなるか・・・よく読めませんなぁ |
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