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マルチメディアの利用規制の在り方を考える(1)


1.マルチメディアと現在の法規制の枠組

1-1 マルチメディアのとらえ方
マルチメディアのとらえ方は多岐にわたっているが、本稿では、情報伝達形態がデジタル化/コンピュータ化され、ネットワーク化されて実現している、多様な情報伝達の手段としてとらえる。
したがって、アプリケーションのマルチメディア化が阻害されているという場合、デジタル化/コンピュータ化、ネットワーク化が制限されていると考えてよい。

1-2 現在の法規制の枠組
マルチメディア利用に関する法規制の問題としては、次の2点をあげることができる。

  1. デジタル化/コンピュータ化やネットワーク化が禁止/制限されている場合。
  2. デジタル化/コンピュータ化やネットワーク化に関するルールがなく問題が生じている/恐れがある場合。
1.の場合、その法規制は、対面や書面を義務づけることで結果としてマルチメディア化を制限している場合が多い。現在のほとんどの法規制はマルチメディアが普及する以前に作られており、技術やコスト、信頼性等の面から、デジタル化/コンピュータ化やネットワーク化を想定していないからである。 例えば診療や、医薬品の販売は体面を義務づけており、戸籍事務は書面を義務づけている。その結果、外出できない病人への遠隔診療や医薬品のオンライン販売、戸籍謄本のオンライン入手等が制限される結果になる。
2.の場合、新しいルール作りが遅れればマルチメディアの普及が遅れる恐れがある。例えばオンライン決済と電子マネーの法的な位置付けや取引の安全性、インターネットのわいせつ情報規制の是非等がこの問題にあたり、いずれも法規制の是非を含めて検討が求められている。

1-3 検討の視点
検討にあたっては、アプリケーションを、法規制が存在するものとルールが存在しないもの別に、また主として対面への要請に基づくものと、主として書面への要請に基づくものとに分けて考察する。
マルチメディアの法規制の検討に当たっては、すべてをマルチメディアに置き換えるのではなく、既存の利用形態にマルチメディアをあらたな選択枝として加えることを前提にする。

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