●通信機器製造業界の現状と今後
国際キャリアーの世界ランキングに日本勢の存在感が希薄なのに比べて、CWI誌発表の通信機器メーカー世界トップ50社には日本メーカーが13社含まれており、昨今盛んな「日本経済をおかしくしたのは大蔵・金融セクターであって、製造業は健在」との日本再生論を裏付けているようで頼もしい。
世界の通信機器メーカートップ10
順位 |
企業名 |
国籍 |
通信機器 売上高($m) |
同左対前年比(%) |
総収入($m) |
1/1 | Lucent Technologies | 米 | 23,038 | 12.1 | 26,360 |
2/3 | Ericsson | 瑞典 | 21,311 | 35.6 | 21,970 |
3/2 | Motorola | 米 | 20,170 | 9.5 | 29,794 |
4/5 | Alcatel Alsthom | 仏 | 16,400 | 24.3 | 31,845 |
5/7 | Northern Telecom | 加 | 15,008 | 17.2 | 15,449 |
6/6 | Siemens | 独 | 14,865 | 22.8 | 61,663 |
7/4 | NEC | 日 | 14,193 | 1.8 | 40,900 |
8/9 | Nokia | フィン ランド | 8,951 | 33.1 | 10,134 |
9/8 | Fujitsu | 日 | 7,202 | 1.9 | 41,205 |
10/12 | Cisco System | 米 | 6,440 | 57.2 | 6,440 |
しかし、国内市場依存度高く、公衆網ディジタル化を完了した日本メーカーの大部分は、円安もあり96年から97年にかけて順位を下げた。
世界のトップ50社の合計値も、95年から96年に浮揚した14%もの成長率が97年には7%とスローダウンした。屈折の理由はIPネットワーク指向の登場によりキャリアーの次世代ネットワーク・アーキテクチャーに迷いが生まれ、発注が手控え気味になったことによる。
トップ50社には既に伝統的な通信機器メーカーのほかコンピュータ企業、無線メーカー、家電メーカー、半導体メーカーなど入っている。今後ますます固定/移動やデータ/音声の融合製品を開発提供し、狭帯域から高帯域製品にシフトするメーカーでないと生き残れないとの認識で、通信機器メーカーがコンピュータネットワーキング企業を取得するM&Aが始まった。
Lucent Technologiesは97年末から98年初頭にかけてベンチャー企業3社を買収、98年6月にはNorthern Telecom がトップ50社第21位のBay Networksを買収、翌7月にはAicatelが第29位のDSC Communicationsを買収している。移動通信分野では、CDMAの普及に伴い基本特許を持つQualcommが第60位から第22位に急浮上してトップ50入りした。CDMAは次世代携帯電話の国際標準候補となったため、その早期策定が期待されている。
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