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Global Perspective 2013
2013年12月25日掲載

世界で出揃い始めたLTE(3)

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
佐藤 仁

2010年12月24日にNTTドコモが日本で初めてLTEサービスを導入してからちょうど3年が経つ。2012年3月にはイーモバイル、2012年9月にはKDDI、ソフトバンクがLTEを導入した(※1)。現在の日本では新しいスマートフォン端末はほとんどがLTE対応であるため、端末の買い替えとともにLTEも広く普及してきている。

世界で出揃い始めたLTE

そしてLTEの導入は日本だけではない。世界中の通信事業者で導入が進められている。2009年には世界で2事業者(ノルウェーのTelia SoneraとスウェーデンのTelia Sonera)のみだったが、GSAによると2013年12月5日時点、全世界で244の事業者がLTEの商用サービスを開始しており、2013年中には260の通信事業者がLTEを提供する。

2013年9月時点、全世界で1億5,770万のLTE加入者がおり、2013年に1億9,100万に達する見込みで、2018年には全世界で13億4,500万に達する予測である。

またここ1年で120以上の端末メーカーから680種類の新たなLTEへの接続端末(ドングル、スマートフォン、タブレットなど)が発売された。

(表1)LTE商用開始通信事業者数(累計)

(表1)LTE商用開始通信事業者数(累計)

(出典:GSA発表資料を元に筆者作成)

(図1)世界のLTE導入状況
(赤:商用開始済み 青:導入予定有り 
水色:トライアル実施または計画 白:未定)

(図1)世界のLTE導入状況 (赤:商用開始済み 青:導入予定有り 水色:トライアル実施または計画 白:未定)

(出典:GSA)

LTE、その前途は

現在の世界のLTE加入者のほとんどがアメリカと日本、韓国である。この3カ国で全体の80%以上を占めている。2018年には全世界で1億9,100万に達するLTEであるが、端末やネットワークの導入が世界で進んでも、まだ3Gの方が圧倒的に多い。海外では日本と異なりLTEが導入されたからと言って通信事業者が一斉にLTE対応の端末を販売するわけではないことから、通信事業者がLTEネットワークを導入しても、LTE対応のSIMカードと端末がいっせいに普及することはない。

また諸外国では2G(GSM方式)が今でも多く残っており、新興国では3Gよりも2Gの方が加入者は圧倒的に多い。また最近では日本だけでなく諸外国でもWi-Fiの導入が進んできている。そして海外では日本のようにLTEの料金プランにも加入して、Wi-Fiも利用するという使い方をしない人が多い。スマートフォンでインターネットに接続する時はWi-Fiスポットに行ってアクセスするという人が多いこともLTE普及の足かせになりかねない。日本のようにあらゆるところで快適にLTEにアクセスできるとは限らない。つまりカバレッジの問題として、LTE対応の端末を購入したのに、LTEを利用できるエリアが限定されている。それなら、たとえ少しくらいスピードが遅くとも確実にアクセスできるWi-Fiスポット(コンビニやカフェ、大学など)に行って、そこでインターネットにアクセスした方が安上がりで効率的である。

このように世界中の通信事業者が挙ってLTEの導入を行っているが、前途は決して順調なものではない。本当に全世界でLTEが普及するには、端末、ネットワークなどあらゆる面からまだまだ時間がかかりそうだ。
そして、ここまでLTEが広く浸透している日本は世界の中でも有数のモバイルブロードバンド大国なのである。

(表2)世界での3GおよびLTE加入者見込み

(表2)世界での3GおよびLTE加入者見込み

(出典:GSA発表資料を元に筆者作成)

*本情報は2013年12月24日時点のものである。

(参考)

※1 LTEに関する各社のリリースは以下を参照。
NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2010/11/08_01.html
KDDI
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2012/0914a/
ソフトバンク
http://www.softbank.jp/mobile/info/personal/news/service/201209141009260000/
イーモバイル
http://www.eaccess.net/cgi-bin/press.cgi?id=1245

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