今月初めに仕事の関係で、英・独・仏・スウェーデンの4ヶ国に行ってきた。ヨーロッパを訪れるのは、2007年以来4年ぶり。久しぶりの訪問で印象的だったのは、「ケータイでネットに接続する」人達を、街中で普通に見かけるようになったことだ。
ヨーロッパ諸国は一般的に、「携帯先進国」として知られているが、それは「普及率」の視点で見た場合の話。ヨーロッパにおける携帯電話はこれまで、主として「音声通話とメール(SMS)」のためのものであり、日本のように「ケータイでネット接続」という利用は一般的ではなかった。
欧州委員会が公表しているデータによれば、2010年時点で携帯電話からインターネットに接続している人の比率はEU27ヶ国平均でわずかに7.4%。今回訪問した4ヶ国の中では、最も高いスウェーデンが19.7%、次いでフランス(11.7%)、英国(10.3%)、ドイツ(6.3%)となっている。いずれの国でも、まだまだ少数派のはずである。

しかし、状況は急速に変わりつつあるように感じる。
今回の出張では4都市を訪れたが、空港やホテルはもとより、電車の中、レストランなど、行く先々でケータイを使ってネットに接続している人を見かけた。

少し前まで、日本を訪れる外国人は、電車の中でケータイとにらめっこしている日本人を見て、「一体何をしているのだろうか?」と訝しむ人が多かった。しかし、いまやヨーロッパでも似たような光景を目にするようになったのだ。
ケータイの利用法を変えているのは、言うまでもなくスマートフォンの登場だ。10年も前から、普通のケータイでネット接続が可能であった日本は、世界的に見れば特殊事例。ほとんどの国では、「スマートフォンの登場」が「モバイル・インターネットの登場」と同義である。
今回の出張でも街中を歩いていると、スマートフォンやタブレット端末の宣伝をよく見かけた。携帯電話のショップではもちろん一番目立つ場所にスマートフォンが展示されているし、バス停、タクシー乗り場、空港、ビルの壁面、路上など、いろいろな場所で広告を目にした。

西欧では昨年第4四半期に、「携帯電話出荷台数の4〜5割がスマートフォン」と言われていたので、現在その比率は5割を超えているだろう。
ケータイの中心がスマートフォンになると、これまで日本でしか見られなかった「街中でケータイからネットに接続」という行動様式が、あちこちで見られることになりそうだ。