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Global Perspective 2011
2011年5月20日掲載

ベルギー:通信事業者と金融業界によるNFCモバイルペイメントへの取組み

グローバル研究グループ 佐藤 仁
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 2011年2月10日、ベルギー金融業協会(febelfin)と、ベルギーの通信事業者3社(Belgacom,、Base 、Mobistar)でSMSとNFCを活用したモバイルペイメントを2011年末までに導入することを発表した。

 SMSとNFCを活用した技術を用いてユーザは最大25ユーロまで携帯電話での決済が可能となる。ベルギーには、既にBelgacomグループのPingPingがベルギー全土でステッカー(タグ)を用いてのNFCを展開している。PingPingのステッカー(タグ)によるモバイルペイメントはキャリアフリーであることが特徴だ。
今回、ベルギーの通信事業者3社が参入することによって、通信事業者はモバイルペイメント事業における彼らの役割、ビジネスモデルが問われてくることになるだろう。

 「通信事業者と金融業界で協力しながら、新たな標準化を作っていきたい。この分野においてベルギーは欧州においてもパイオニアである。現在どのように提供していくのが良いか検討、開発を行っている」と通信事業者はコメントしている。
「携帯電話はもはや欠かせないツールであり、ベルギーにおいても電子決済は金融業界が集中していきたい分野であり、通信事業者と今後の新たな決済方法の提供について協議をしている」と金融業界はコメントしている。

 2011年末までに商用化を目指しているとのことだが、現時点ではまだ明確な役割や、それぞれのビジネスモデルが描けているようには見えない。今回のリリースの中でも提携してモバイルペイメントを推進していくことは発表したが具体的な内容は明記されていない。

 MobistarはフランスのOrangeの子会社で、フランスOrangeもNFCへの取組を昨年末に発表し、欧州で展開していきたいと表明したばかりだ。

 欧州では現在、多くの通信事業者がNFCやモバイルペイメントの取組を表明している。欧州ではOrange、T-Mobileのように欧州各国にグループ会社を持ちでサービスを展開している通信事業者が多い。しかしペイメントの分野となると、通貨統合が進んだEU圏内ですら、決済の都合上、それぞれの国での商習慣、為替、決済システムが異なるから統一は難しいのだろう。
ベルギーのような小国では全通信事業者が一体となって取組みを表明した方が今後、ユーザにとっても利便性はあるだろうし、通信事業者にとっても足並みを揃えた方が自社だけで実施するよりも得策だろう。

 最後にベルギーの携帯電話市場について簡単にみてみたい。
携帯電話加入者約1,230万人。加入率約114%。今回提携を発表した3社がメジャーな通信事業者である。(2010年12月現在)

1.Proximus
 ・シェア約40.9%
 ・Belgacomグループ

2.Base
 ・シェア約29.6%
 ・オランダKPNグループ

3.Mobistar
 ・シェア約29.4%
 ・フランスOrangeグループ

 ベルギーの携帯電話市場は、加入率も110%を超え、成長率も約1%程度と既に成熟・飽和市場である。通信事業者は新たなサービス、収益源を検討せざるを得ないフェーズにあることは間違いない。
リリースが出てから約3ヶ月が経つ。現時点では目立った動きや報道は見られてない。目標の2011年末まで、もうすぐ半分が過ぎようとしている。
今回のモバイルペイメントによって通信事業者3社が、ベルギーという小さな市場において金融業界が提携してどのようなビジネスモデルを描いていくのか注目していきたい。

本情報は、2011年5月10日時点のものである。

(参考)ベルギー・ルクセンブルグでコカコーラ自動販売機がNFC対応

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