InfoCom Economic Study Discussion Paper(No.23) | 情報通信総合研究所:ICR
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InfoCom Economic Study Discussion Paper(No.23)

2023年04月30日更新
株式会社情報通信総合研究所

「InfoCom Economic Study Discussion Paper」No.23を公開しました。

 

国際産業連関表からみた情報通信産業の相互依存関係
―実質値を用いた経済波及効果の計測と数量・価格・為替の要因分析―

 

小野﨑彩子、白新田佳代子、時任翔平、加河茂美、篠﨑彰彦

 

本稿では、情報通信関連の財・サービスを対象に、実質化されたTheWorldInput-OutputDatabase2016年版のデータを用いて、世界の最終需要がもたらす生産、付加価値、雇用の誘発効果を2000年と2014年の2時点で計測するとともに、名目値と実質値の計測結果を受けて数量・価格・為替に分けた要因分析を行い、各国・地域の特徴を考察した。分析の結果、次の8点が明らかとなった。第1に、最終需要がもたらす生産誘発額と付加価値誘発額は、2000年には実質、名目とも米国が1位であったが、2014年には生産誘発額で中国が1位に踊り出ていること、第2に、生産誘発額、付加価値誘発額とも2000年に2位だった日本は、2014年にはいずれも1位2位に大きく水をあけられて3位へと後退し、自国の最終需要による生産誘発額の自給度も低下していること、第3に、雇用誘発数は、2000年以降日本と米国がともに小幅に減少する中で、中国とインドは大幅に増加していること、第4に、各国の相互依存関係をみると、中国は、自国由来の最終需要による自国を含む各国・地域への生産誘発額が大幅に増加している一方、中国を除く主要国は、自給度が低下する中で自国由来の最終需要による中国への生産誘発額が拡大しており、需要と供給の両面で中国の存在感が高まっていること、第5に、2000年から2014年の名目生産額の変化を数量、価格、為替の3要因で分析すると、各国・地域とも為替の影響は小さいものの、数量および価格の変化は国・地域別、部門別に違いが大きいこと、第6に、中国では価格がやや低下する中でどの部門も数量が大幅に増加し、産業規模を拡大させていること、第7に、米国では価格がやや低下する中で情報サービスの数量が大幅に増加し、コンテンツは価格上昇を伴いながら数量も増加しており、産業内の構造変化を伴って拡大していること、第8に、日本では全部門で価格の低下が米国や中国に比べて大きく、数量の伸びに勢いがないこと、である。

 

[キーワード]

情報化、情報通信産業、経済波及効果、国際産業連関表、グローバル化

 

〜InfoCom Economic Study Discussion Paperとは〜

情報経済に関する幅広い領域の調査・研究について、時宜を得た問題提起と活発な議論の喚起を目的に、広く情報通信分野に関する学術研究の成果の一部を公開しています。

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