InfoCom Economic Study Discussion Paper(No.27) | 情報通信総合研究所:ICR
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InfoCom Economic Study Discussion Paper(No.27)

2025年03月31日更新
株式会社情報通信総合研究所

No.27(2025年3月)
No.27(2025年3月)

「InfoCom Economic Study Discussion Paper」No.27を公開しました。

 

ICT産業における国際分業と付加価値の分配
―国際産業連関表を用いた多国間の相互依存関係に関する実証分析―

 

光吉佑莉加、小野﨑彩子、篠﨑彰彦

 

本稿では、情報通信産業(以下、ICT産業)を対象に、OECDが公表する国際産業連関表Inter-Country Input-Output tables(ICIO)の2023年版を用いて生産・付加価値誘発効果を計測した。さらに、各国のグローバル・バリューチェーン(GVC)における位置関係(上流か下流か)が付加価値誘発効果に与える影響についてパネルデータ分析を行い、国際分業と付加価値分配の実態を実証分析した。その結果、①2010年から2020年までの世界のICT産業4部門(ICTハード、コンテンツ、通信、ICTサービス)の生産拡大には、非ICT産業(電気・輸送機械産業、金融・不動産業など)由来の需要が大きく寄与していること、②生産・付加価値額(供給面)と生産・付加価値誘発額(需要面)の差額より、2020年の日本のICT産業は生産額ベースで1,279億米ドル、付加価値額ベースで364億米ドルの輸入超過となっており、供給を需要が上回る状況であること、③各国の生産・付加価値誘発額に占める自国供給の割合(自給度)はICTハード部門で最も低く、非ICT由来の誘発額に占める自給度に限ると他の3部門でも相互依存関係が深まっていること、④各国とも米国及び中国からの輸入割合が高まっているが、米国では高付加価値化が進む一方で、中国では他国ほどの進展が見られないことが明らかになった。さらに、⑤GVCにおける生産工程の位置づけが付加価値分配に有意な影響を与えており、上流と下流で高く中間で低いU字型のスマイルカーブの分配構造になっていること、⑥各国間の付加価値分配の格差は、1990年代、2000年代、2010年代と次第に縮小していることが判明した。

 

[キーワード]国際産業連関表、ICT産業、国際分業、GVC、スマイルカーブ

 

〜InfoCom Economic Study Discussion Paperとは〜

情報経済に関する幅広い領域の調査・研究について、時宜を得た問題提起と活発な議論の喚起を目的に、広く情報通信分野に関する学術研究の成果の一部を公開しています。

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