二年ほど前からサービスを始めた割り勘アプリの代表格「paymo」が、2019年5月30日でサービスを終了すると発表した。「わりかんを思い出に」をコンセプトに、ネット上でも話題になっていた時期もあったが、ビジネスモデルとしてはなかなか厳しかったようである。
paymoは、資金移動ではなく収納代行という位置付けで、本人確認というプロセスをスキップすると同時に資産保全措置を回避し、送金時にはレシートの添付を義務付けるという、かなりユニークなモデルで事業を始めていた。利用者を増やすため、お決まりの“ポイント”を配ったり、話題となるプロモーションビデオを作ったりとかなり力を入れてマーケティングをしていたが、力尽きたという感じなのか。
面白い発想のサービスではあるが、もともと無理があったようにも思う。まず、マネタイズする部分がかなり弱かった。送金された残高を使って商品の購入等の支払いに充てることもできたのだが、使える先がかなり限られていた。また、200円の手数料を払えば銀行口座に振り込むこともできたのだが、割り勘で支払う際にはクレジットカードを使うことができたので、多くのケースで逆ザヤになっていたと想定される。
そもそも、レシートの添付というかなりグレーな使い方で、不適切な利用もそれなりにあったはずだ。実際、Q&Aには、残高がマイナスになるケースについても書かれているが、こうしたサービスで残高がマイナスになるというのは、サービス設計上あり得ない。
FinTech業界では、新しいサービスが数多く生まれてきているが、こうして短期間で終了するサービスも多い。利用者は、不利益を被ることのないよう注意して使うことが必要だろう。
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出口 健(転出済み)の記事
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