2016年6月21日掲載 ICT利活用 InfoCom T&S World Trend Report

ICT雑感:FinTechとHealthTechのアプリを使ってみて



昨今、ICTといえば、「○○×ICT」というように、通信やICT業界以外のいわゆる異業種分野においてICTをいかに「黒子」あるいは「触媒」という形で活用していくかという観点がより重要になっている。とはいうものの、理論や理屈だけで「○○×ICT」などと語っていては不十分であるし、周囲に対して説明する際の説得力もない。ICT分野にいる我々自身は、仕事を離れれば一ユーザーであり、このような信念にもとづき、以前より、まず自分で使ってみる、ということをポリシーとしている(ただし、おカネがかかってしようがないので、そこは何とかならないものか……)。

今回の「ICT雑感」では、あくまで個人的な視点からであるが、最近何かと話題になるFinTechやHealthTech(前者は用語として定着しつつある「金融×ICT」だが、後者は「ヘルスケア・医療×ICT」のことである。このほかにも食や教育との融合、FoodTechやEduTechなどという言葉もあったりするわけである)について、自分で今使っているアプリを使用した時の実感をユーザーとしての立場から紹介してみたい。

FinTech~マネーフォワード

FinTechは、小口融資、クラウドファンディング、P2P送金や、日本で従来からある「おサイフケータイ」なども含め、金融にかかわる多岐で幅広い分野が包含される。Bitcoinなど仮想通貨の裏で安全な取引を保証する「ブロックチェーン」のようなテクニカルなものは、なかかな理解するのが難しい面があるが、FinTechといわれる大半のサービスは身近な「お金に関するサービス」である。
筆者は、そのうちほぼ毎日利用感を実感できるものとして、FinTech分野の新興ベンチャーであり、急速に業容拡大中の「マネーフォワード」が提供する家計簿アプリを昨年末くらいから利用している。最初に自分が利用している銀行、クレジットカード、証券会社、電子マネー、携帯電話会社等のアカウントをアプリ上でひもづけることで、総合的な家計管理ができる。例えば、図1・2のような収支推移や、支出の構成比などがビジュアルに確認できるし、予算管理として費目別に予算額を設定しておけば、その月の支出が予定を超えているかどうかも確認できる(図3)。

【図1、2】「マネーフォワード」のマンスリーレポート画面

【図1、2】「マネーフォワード」のマンスリーレポート画面

 

この類のサービスで、以前よりWeb上でできるものとしては、銀行がインターネットバンキング上で提供するもの、ポータルサイトが提供するものなど、類似のものがあったが、マネーフォワードではほとんどすべてといってもいいくらいの様々な金融関連サービスと提携しているだけでなく、スマートフォン(以下、「スマホ」)上の簡単な操作で利用しやすいところが最大の売りだ。基本的に最初に自分の通常使っているアカウントを登録しさえすれば、ほぼ自動的に情報が更新され、例えば銀行やクレジット会社からの出金やポイント付与・期限の通知など、このアプリですべてが完結する。また図4のように、現金払いをした際などは、手入力のほかにレシートをカメラでスキャンすることで自動読み込み可能である(ただし、カメラの性能によるものか、筆者の腕が悪いのか、あまりうまく読み込めないが)なお、筆者の利用しているのは月額300円の有料サービスなので、無料サービスだと少しメニューが縮小する。

【図3】予算管理画面 【図4】レシートをカメラでスキャン

(左)【図3】予算管理画面 (右)【図4】レシートをカメラでスキャン

 

仕事柄、これまでもiD、楽天Edy、Suicaなどスマホで様々な電子マネーを使っているが、ひと月にまとめると一体どれくらい払っているのかについては、かなり無頓着だった。このアプリを使うと、プリペイド型電子マネーは、チャージ額は「振替」と記録され、何に使ったかは別途電子マネー側の記録との連携で通知されるので、管理がしやすい。一方、その結果、その金額の多さに愕然としたり、趣味のクルマにかけるお金をもう少し減らした方が良いのではといったような「気づき」を与えてくれることもある。自分は「家計簿」などとは無縁だと思っていたが、今後の不透明な老後時代を迎えるにあたり、このようなアプリの必要性が高まるかもしれないし、FinTechという言葉もより身近に感じさせてくれるものだといえよう。

HealthTech~あすけん

次に、HealthTech関係のアプリを紹介してみよう。いわゆるヘルスケア関連でこれまで使ったことのあるデバイスやアプリといえば、スマホにプリインストールされた歩数計、オムロンの「眠り体内時計」やFitBit Oneなどがある。筆者の私ごとで恐縮であるが、長年糖尿病を患っており、定期的に通院していることもあって、この関係のアプリにも関心をもっていた(というよりも、医者から「運動療法」の一環で歩きなさいと言われ続けていたことがその前提であるが)。2年間くらいFitBit Oneを使い、スマホやPCで歩数やカロリー消費量などを一応管理してきていたのだが、数カ月前に紛失してしまった。それ以降、アプリ系のものは使っていなかったが、医者から再びこの「あすけん」(運営会社は株式会社ウィット)というアプリが良いと紹介されたので、再び使い始めた。

次ページ図5のように、まず初めに目標を設定する。基本的にフリーキーワード検索により、3食や間食に何を食べたかを記録していく。次ページ図6のようにキーワード検索して食物を選び、各メニューのカロリー (kcal) を合算し、その日の摂取カロリーと目標カロリーを管理していく。筆者の利用しているのは無料サービスであるが、月額300円の料金を払えば、栄養士が毎日アドバイスをしてくれたりする。筆者のようにほぼ毎日コンビニ食品に依存している者としては、そのもののカロリーが出ているのでわかりやすい。また図7のように写真を撮って記録することもできる。すると、図8のように理想摂取カロリーと実際の摂取状況がグラフで表される。筆者の場合、本来の目標カロリーを高く設定しすぎたため、カロリー不足と示されているが、実際は食べ過ぎのような気がする。望むらくは、写真を撮れば自動的に何カロリーか判別してくれる機能があれば最高なのだが、そこはまだまだAIの今後のさらなる発展を期待するしかない。ちなみに、このアプリはGoogleが提供する歩数計アプリ「Fit」と連携可能である。毎日の食事摂取データのほか、自動的に歩数の記録、それによる消費カロリー、またどこを歩いたかという地図も表示される(図9)。

いろいろ便利になった世の中ではあるが、基本はやはりこのようなアプリを適度に使いこなしつつも、リアルな行動がどれだけできるかの方が重要であることはいうまでもない。

【図5】目標設定画面    【図6】メニュー(カロリー)検索

(左)【図5】目標設定画面 (右)【図6】メニュー(カロリー)検索

 

【図7】三食の記録     【図8】摂取カロリー不足?

(左)【図7】三食の記録 (右)【図8】摂取カロリー不足?

 

【図9】Fit

【図9】Fit

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