米国ナスダックに上場した中国コーヒーチェーンとは
昨今、中国ではユニコーン(評価額10億ドル)企業が多数輩出され話題となっておりますが、創業わずか半年でその仲間入りをしたのがコーヒーチェーンのluckin coffee(瑞幸珈琲)を紹介いたします。同コーヒーチェーンは、2017年6月に会社設立、2018年1月北京に1号店を出店して以来、急速に店舗数を伸ばし、2019年3月末時点で2,370店舗にまで展開。そして2019年5月、米国証券市場 ナスダックに上場を果たし、5億6100万ドル(約615億円)を調達しました。

出典:LUCKIN COFFEE
同社のIPO目論見書には、中国のコーヒー市場の現状、同社急成長の戦略や今後の展開などについて興味深い情報が掲載されいましたので、その一部を紹介したいと思います。
中国のコーヒー市場
中国では他国と比較してあまりコーヒー文化が浸透していませんでした。以下の図(図表1)は、Frost&Sullivan社のレポートで、2018年の一人当たりのコーヒーの年間消費量を表しています。こちらを見ると、中国ではコーヒー、あまり飲まれてないんですね。ただ、台湾・香港等の消費量から考えると、中国でも今後の消費量の伸びは十分期待できると考えられます。

出典:Frost&Sullivan from LUCKIN COFFEE INC. 上場論見書
また同じくFrost&Sullivan社のレポートによると、中国におけるコーヒーの年間消費量は2018年6.2杯から、2023年には10.8杯に変化すると予測されている。これを市場規模に換算すると2018年の56.9(RMB Billions)は、2023年には180.6(RMB Billions)へと大きく拡大すると予測されており、ラッキンコーヒーの強気の戦略をしっかりサポートするデータでした。(図表2)

出典:Frost&Sullivan from LUCKIN COFFEE INC. 上場論見書
スマホ中心のオペレーションとマーケティング
さて、同社急成長の理由が垣間見れる同社の特徴な戦略を紹介します。
- 注文/支払いはスマホのみ(店舗にレジはない)
- 店舗形態は、ピックアップストア(席数数席のみ)の割合が多い(図表3)
- 「最初の一杯無料」、「二杯購入すると一杯無料」などのキャンペーンを実施
- 宅配サービスとの提携し、一定以上の注文で配達料無料にする
などなど、とても考えられたサービス展開を行っており、大変興味深い。

出典:LUCKIN COFFEE INC. 上場論見書
現状の売上と今後について
売上は、2018年841百万元(1億2,160万 ドル)であったが、多額の営業費用が掛かっており営業損失はおよそ2倍の約1,619百万元(2億3,409万 ドル)かかっており、黒字には程遠い状況のようである。
しかし、今後も店舗拡大路線を続け、年内には2,500店舗を新たにオープンするとのことで、しばらくは収支度外視で拡大を続けていくようである。日本への進出もきになるところであり、同社の今後の展開に注目していきたい。
調査研究、委託調査等に関するご相談やICRのサービスに関するご質問などお気軽にお問い合わせください。
ICTに関わる調査研究のご依頼はこちら関連キーワード
清水栄治 (転出済み)の記事
関連記事
-
デジタル技術を活用したウェルビーイング(Well-being)の向上
- WTR No441(2026年1月号)
- ヘルスケア・医療
- 日本
-
中国におけるロボット産業の進展
- WTR No441(2026年1月号)
- ロボット
- 中国
-
ポイント経済圏事業者の2026年戦略アジェンダ 〜消費者の利用実態調査より〜
- WTR No441(2026年1月号)
- ポイントビジネス
- 日本
- 経済
- 金融
-
「信頼」と「ポイント文化」が融合する: 日本型ステーブルコインが描く資金決済の未来
- WTR No440(2025年12月号)
- 暗号通貨
-
眠れる資産から始まる未来 ~循環価値の再発見
- ICR Insight
- WTR No438(2025年10月号)
- 日本
- 環境