日本テレビが、2021年10月2日(土)7時よりネット同時配信を開始する。テレビ番組の放送と同じ時刻に、インターネット上で同じ番組を視聴できるようになる。
民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」で、19時から23時の最もテレビ視聴の多い時間帯であるプライムタイムを中心に配信される予定である。
日本テレビのプレスリリース(2021年09月17日)
https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/20210917.html
日本国内であれば、テレビがなくても、スマートフォンやパソコンがあればテレビ番組の視聴が可能となる時代が来る。
国内では、NHKが民放(民間放送事業者)に先駆けてネット同時配信サービス「NHKプラス」を2020年4月から行ってきた。
民放ではこれを民業圧迫になるとして慎重な姿勢を示してきた。民放は公共放送であるNHKとは異なり広告収入を生業にする。一方、ネット上に安定して配信を行うためのインフラ投資は決して安くは無い。ネット同時配信によって、視聴機会を広げることに繋がる可能性は大いにあるが、追加の広告収入をどのように獲得するかは課題となるだろう。広告主にとっては、ネット同時配信の効果が不明なうちは追加の広告投資に値するか見極められないからだ。
また更に複雑なのが、日本特有の県域放送と系列の関係である。地方放送局は、系列であるキー局の番組を各県で放送することで「ネット料」と呼ばれる分配金を得ている。だが、インターネットの世界は県域が無い。地方局は資本金数億円、従業員100名ほどの中小企業も多く、まさしく民業圧迫となる可能性を秘める。このような状況の中、ローカル番組のネット配信を模索する地方局も少なくない。
通信・放送の融合はもう10年も前から言われ続けている。しかし、通信側の描く放送、放送側の描く通信に乖離があり、交点を導けないでいたように思う。しかし、見えざる手が均衡を示しつつあり、新局面を迎えているものと考えている。
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