2026.5.26 ICT経済 ICTエコノミーの今

ICT経済は10期連続でプラス成長。財生産、サービスともに堅調に推移【InfoCom ICT経済アップデート】

情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。「InfoCom ICT経済アップデート」について、2026年1-3月期がまとまりましたのでご報告いたします。

【2026年1-3月期のポイント(前年同期比)】

2026年1-3月期のICT経済は、総合指標が前年同期比4.2%増と10期連続でプラス成長となった。生成AIの普及やデータセンター需要の拡大を背景に、半導体関連需要や情報処理サービス需要が引き続き堅調に推移したことが主因である。一方で、一部のICT財では調整局面もみられ、分野ごとに強弱が分かれる展開となった。

財・サービス別にみると、ICT財生産は前年同期4.4%増と9期連続で増加した。2025年10-12月期の同1.0%増から増加幅は3.4ポイント拡大した。ICTサービスは同4.2%増と22期連続でプラス成長を維持し、2025年10-12月期の同5.5%増から1.3ポイント縮小した(図表1)。

図表1 ICT関連経済指標の推移

図表1 ICT関連経済指標の推移

 

供給サイドでは、ICT財生産が生成AI向けGPU等のサーバやデータセンター投資拡大を背景に、先端半導体や電子部品を中心に堅調に推移した。特に電子部品・電子回路は増加幅が拡大し、AI関連の半導体需要の継続が寄与したとみられる。また、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置は増加に転じた。

ICT関連在庫循環図では、生産の増加幅が拡大する一方、在庫は減少に転じ、需給環境の改善がみられる。電子計算機の在庫の増加幅は縮小し、電池の減少幅は拡大した。

ICTサービスでは、企業における生成AI導入、クラウド移行、データ活用高度化などを背景に情報処理・提供サービス業が増加幅を拡大した。背景には、企業のDX投資継続に加え、生成AI活用、クラウド利用拡大、省人化対応などがあると考えられる。一方、通信業、ソフトウェア業は増加を維持したものの、増加幅はやや縮小した。

需要サイドでは、ICT消費は8期連続で増加した。増加幅が縮小したが、この背景には、物価上昇による消費者の選別消費がある。品目別にみると、スマートフォン・携帯電話・PHS本体価格、テレビゲームは増加を維持したものの増加幅は縮小した。パソコンは減少に転じた。これはWindows 10サポート終了を見据えた更新需要が一巡しつつある可能性がある。

ICT設備投資(民需)は2四半期連続で増加した。電気計算機等、通信機ともに増加したものの、増加幅は縮小した。情報サービス業向け投資は増加に転じており、AI・クラウド関連需要を背景としたデータセンター投資やICT基盤の整備が継続していると考えられる。

ICT輸出は、金額ベースでは3期連続で増加した。半導体等電子部品は、対中国および中国以外のアジア(台湾、韓国、ASEAN)向けを中心に増加幅が拡大した。通信機輸出は、対EU向けを中心に改善した。半導体等製造装置輸出は、対中国向けの減少幅が縮小した。数量ベースでは5期ぶりに減少から増加に転じた。ICT輸入は、金額ベースでは8期連続で増加した。通信機、半導体等電子部品は増加幅が拡大した。対中国およびアジア地域からの輸入増加が継続している。一方、半導体等製造装置は減少に転じた。数量ベースでも6期連続で増加した。

【今後の見通しとリスク要因】

2026年4月以降のICT経済は、ICTサービスを中心に底堅い成長が続く可能性が高い。企業のDX投資、生成AI活用やクラウド利用拡大により、ソフトウェア業や情報処理サービス業は引き続き堅調に推移すると見込まれる。また、AI向け半導体、データセンター、通信インフラへの投資継続がICT財への需要を下支えすると考えられる。

政策面では、AI、半導体、次世代通信等重点分野への投資促進や経済安全保障政策の強化が、ICT経済の下支えする要因となる可能性がある。特に、半導体の国内生産体制の強化、データセンター整備、政府・自治体のデジタル化の推進は、ICT関連投資の拡大を後押しするとみられる。一方、米国の関税政策の拡大、中国経済の減速、地政学リスクの高まりなどは下振れ要因となる可能性がある。

足元のICT経済は、従来の通信・端末中心から、AI・クラウド・データセンターを核とした“データ処理基盤型”へ重心が移行しつつある。今後は、AI投資の持続性、電力・データセンター制約、経済安全保障政策等がICT経済の方向性を左右する重要な要因になると考えられる。

【2026年1-3月期の動向】

(ICT経済総合)

  • 国内ICT経済は前年同期比4.2%増と10期連続で増加し、前期(2025年10-12月期)に比べ0.3ポイント縮小した(図表1)。

(ICT財)

  • ICT財は前年同期比4.4%増と9期連続で増加し、前期(2025年10-12月期)に比べて3.4ポイント拡大した(図表1)。
  • 集積回路は増加幅が縮小したものの、電子部品、電子回路は増加幅が拡大し、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置は増加に転じた(図表3)。

(ICT在庫)

  • ICT在庫は前年同期比4.1%減となり、前期(2025年10-12月期)に比べ11.4ポイント低下した(図表4)。

(ICTサービス)

  • ICTサービスは前年同期比4.2%増と22期連続で増加した。前期(2025年10-12月期)に比べて1.3ポイント縮小した(図表1)。
  • 通信業、ソフトウェア業は増加幅が縮小したものの、情報処理・提供サービス業は増加幅が拡大した(図表5)。

(ICT消費)

  • ICT消費は前年同期比1.7%増と8期連続で増加し、前期(2025年10-12月期)に比べると3.6ポイント縮小した(図表1)。
  • スマートフォン・携帯電話・PHSの本体価格、テレビゲームは増加幅が縮小し、パソコンは減少に転じた(図表6)。

(ICT設備投資)

  • 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比4.1%増と2期連続で増加した。前期(2025年10-12月期)に比べて3.0ポイント縮小した(図表1)。
  • 電気計算機等と通信機ともに増加幅が縮小した(図表7)。
  • 官公需は同20.9%減と5期ぶりに減少に転じた

(ICT輸出入)

  • ICT輸出(金額ベース)は前年同期比14.6%増と3期連続で増加した(図表1)。半導体等電子部品は増加幅が拡大し、半導体等製造装置は減少幅が縮小した(図表8)。数量ベースでは同5.8%増と5期ぶりに増加に転じた。
  • ICT輸入(金額ベース)は前年同期比13.7%増と8期連続で増加した(図表1)。通信機、半導体等電子部品は増加幅が拡大したが、半導体等製造装置は減少に転じた。数量ベースでは同6.8%増と6期連続で増加した(図表9)。
図表2  ICT関連財・サービス総合指標の推移

図表2  ICT関連財・サービス総合指標の推移


図表3 鉱工業生産に占めるICT関連品目の寄与度

図表3 鉱工業生産に占めるICT関連品目の寄与度


図表4 ICT関連在庫循環図(四半期)

図表4 ICT関連在庫循環図(四半期)


図表5 第3次産業活動指数に占めるICT関連サービスの寄与度

図表5 第3次産業活動指数に占めるICT関連サービスの寄与度


図表6 家計消費支出(家計消費状況調査)に占めるICT関連消費の寄与度

図表6 家計消費支出(家計消費状況調査)に占めるICT関連消費の寄与度


図表7 設備投資※(民需、除く船舶・電力・携帯電話)に占めるICT関連機種の寄与度


図表8 輸出総額に占めるICT関連輸出(品目別)の寄与度

図表8 輸出総額に占めるICT関連輸出(品目別)の寄与度


図表9 輸入総額に占めるICT関連輸入(品目別)の寄与度

図表9 輸入総額に占めるICT関連輸入(品目別)の寄与度


参考 ICT関連経済指標に採用した項目

参考 ICT関連経済指標に採用した項目

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【関連サイト】ICT経済分析

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