グローバル市場でのBtoC情報通信サービスを期待する
1985年に電気通信の自由化、電電公社の株式会社(民営)化が行われて以来30年、また現行のNTTグループの持株会社体制以降後16年が経過して、戦後70年の節目と重なって通信市場変動の歴史を巡ってさまざまな報道やコメントが見受けられる昨今です。この間の経過について一般的によく言われるのは、電話からインターネットへ、固定からモバイルへというサービスと技術の大きな潮流のことです。現在の情報通信サービスの市場構造はインターネットとモバイルを軸に成立しています。その中で30年前には日本の情報通信市場での主役であったNTTがすでに多数の中の1人(one of them)の存在となったことが事業者サイドから見た大きな変化です。また、固定電話時代には区別されていた国内・国際という事業区分は撤廃され、新規参入者を含めて多様の事業者による市場競争が展開されてきました。
しかし、電話からインターネットへ、固定からモバイルへとサービスと技術の中心が移行するのに従って、個人の利用者・消費者向け(BtoC)市場を念頭においた事業構造は変貌を遂げざるを得なくなりました。固定電話の普及拡大の中心は個人向けの住宅用電話であり、事業構造はいわゆるBtoC型のサブスクリプション(月額継続契約)モデルの従量料金型が一般的で、非常に単純なビジネスモデルで成立していました。現在でもこの方式は、固定電話では世界中でほぼ共通のモデルとなっています。電話からインターネットへ、固定からモバイルへという潮流はこのビジネスモデルに大きな影響を与え、世界共通のこのサブスクリプションモデルを単なる選択肢の一つにしてしまい、情報通信サービス事業者にとっては、新しいビジネスモデルの再構築から始めざるを得なくなると同時に、今日に至るも世界的に共通の確立したビジネスモデルが存在しないという混沌とした事業環境を作り出しているのが現状です。
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