2015.12.1 ITトレンド全般 風見鶏 “オールド”リサーチャーの耳目

中高年の山歩きと携帯端末―御岳山ハイキングにて

ケーブルカー乗り場の待ち行列

先月の11月7日(土)に、奥多摩の御岳山にハイキングに出かけて来ました。私は日頃歩くことは好きなのですがハイキングや山歩きにあまり行くことはありません。今回は私が所属するOB・OG会(ドコモ同友会)のハイキングサークルによる恒例の企画でしたので参加しました。当日は曇りの天候でしたが、暑くもなく寒くもなくハイキングにはちょうどよい気温で、秋真っ盛りの紅葉を大いに楽しむことができました。

見事な紅葉(パワースポット)

見事な紅葉(パワースポット)

私にとっては初めての御岳山でしたが、山上の武蔵御嶽神社や取り囲む御師の集落など長い歴史を味わうと同時に紅葉の中を歩いて大いに楽しめた1日となりました。さらに、谷筋を下っていった先には、ロックガーデン(岩石園)あり滝ありで変化に富んだコースで日頃の運動不足の解消ともなりました。

紅葉のハイシーズンでしたのでハイキングコースには本当に大勢の人が溢れていて、駅からバス、バスからケーブルカーへの乗り継ぎには長蛇の列ができて結構な待ち行列ができていました。ただ、さすがにバスもケーブルカーも目一杯の臨時便の増発で案内係も配置して対応していましたので、行列は長くても特に混乱はなく進行していたのが印象的でした。日本人の手際良さと日本人の行儀の良さの賜と改めてすごいなと思った次第です。若い人達に交って外国人と年配者(特に女性)が多いことには改めて驚きました。本格的な登山ではなく、数時間の山歩きコースなので半日の行程で秋を満喫できる適当なハイキングコースなのだと思います。

ケーブルカー乗り場の待ち行列

ケーブルカー乗り場の待ち行列

こうした中、やはり山歩きには携帯端末が携行必需品だと実感させられることがありました。ハイキングの過程でも街なか同様に携帯端末で連絡を取り合ってグループ一行をまとめるということです。いつもグループで行動している人達には当然のことでしょうが、今回も電車の乗り換えミスで集合に遅れたメンバーがでましたが、御岳山の尾根上のハイキングコースは携帯通信のエリア内でしたので、携帯端末で連絡を取り合って支障なく落ち合うことができました。ハイカーの多い御岳山周辺のコースでは山頂や尾根上の登山道は当然携帯通信のエリアとなっています。今どき登山者が入いる日本の山の山頂や稜線で携帯の電波が届かない場所はあまりありません。ましてや人気のハイキングコースでは携帯が繋がってあたり前というのが普通の感覚だと思います。だからこそ中高年の方々も安心してグループで山歩きを楽しむことができているとも感じます。つまり携帯通信のエリアカバーの充実が中高年の人達に山歩きを楽しむ機会を作り出すお手伝いをしているとも言える訳です。御岳山にも本当に数多くの中高年のハイカー(特に女性)がグループで訪れていました。そのパワーに驚くばかりです。

しかし、御岳山のハイキングコースの中でも養沢川の谷筋に下りるロックガーデンの道筋では電波が届かず携帯通信は圏外となってしまいます。さすがに尾根道から下って沢に入いると基地局からの電波が到達していません。ここには当日は多くのハイカーが休憩し食事をしていましたので、万一の場合でも誰かに助けを求め連絡を依頼することは可能ですが、例えばこの谷筋で遅れたメンバーと合流することは難しいことになるでしょう。

綾広の滝(パワースポット)

綾広の滝(パワースポット)

都会に近い日帰りのハイキングコースですら少し山の中に入いると携帯電波の不感地域に遭遇するのですから、さらに上級の登山となると常に携帯通信が可能かどうかを探りながら山歩きを続ける必要がありそうです。中高年の山歩きの場合は体力的に人の助けが必要となるケースも多くなるかと想定されますので、特に携帯端末の携行と不断の確認が安心・安全をもたらすことになります。谷筋・沢の電波不感地域をなくすことは、電波の直進性・減衰度からみて多大のコストが発生するので多くの人が居住していれば別ですが自然の中では不可能なことです。また国立公園など自然環境や景観の維持のために設備構築が許されない地域も多く存在しています。

こうした状況を踏えた上で、これ程数多くの山歩き好き中高年がいるので、その人達に適したスマホ向けハイキングルートアプリがあったらよいのにと感じています。その中には携帯電波の繋がり事情を勘案して、仲間とはぐれた場合の合流場所や緊急の連絡が取れる場所(もちろん緊急連絡先も)などを案内するコンテンツが含まれていればさらに安心です。ただし、スマホの電池切れにはくれぐれも要注意です。

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