2018年10月11日掲載 ITトレンド全般 ICR研究員の眼

宇宙ビジネスの胎動



胎動を始めた宇宙ビジネス

先月、ZOZOTOWN社長の前澤氏がイーロン・マスク率いるSpaceX社のロケットを使い、月旅行に行くことが大きな話題となった。実はそれ以前から私の周りでも、にわかに宇宙ビジネスに関しての問合せが増えたり、その胎動を感じることが多くなった。
そこで、10月4日~10日は国連国際宇宙週間ということもあり、知人の紹介で第6回宇宙ビジネスフォーラム「宇宙×航空×ドローン×空飛ぶクルマ」という産官民の集いに参加した。
この会は宇宙ビジネスフォーラム実行委員会主催で、岡山県倉敷市水島地域への航空宇宙産業クラスターの実現に向けた研究会(略称:MASC)が運営協力しており、複数の宇宙・航空関係の登壇者がそれぞれ動向を語った。

変わるエコシステム

当日講演を行ったスペースアクセス株式会社代表取締役で宇宙ビジネスコンサルタントの大貫美鈴氏によると、宇宙ビジネスのエコシステムは従来型は政府予算で政府の宇宙計画を一部大企業を筆頭に関連事業者が実行するといったピラミッド構造のみであったが、現在はNewSpaceと呼ばれ、政府に加え、宇宙ベンチャ、非宇宙企業、投資家、大企業、中小企業を巻き込んだ民間資金で宇宙事業を実行する形態が育ってきているという。
既にIT業界関連では上記のSpaceXの活動が有名であるが、他にもAmazonのジェフ・ベゾスは最終的には有人飛行を目指し、2000年に自身が設立したBLUE ORIGIN社に毎年1,100億円を投入していくことを発表している。その他、Google、Microsoftといった大手IT企業は個人投資も含め複数の宇宙事業に参入しており、ベンチャーキャピタルによる投資も2015年を機に急激に増加している。CNBCの記事によると、2017年の一年間で宇宙関連事業に39億USドルの民間投資が集まっている

注目の衛星コンステレーション

具体的に通信分野では、低軌道を使った衛星コンステレーション(Satellite constellation)と呼ばれる複数の小型人工衛星をを協調動作させ、宇宙から全地球的な通信を可能にさせる技術の実現に注目が集まっている。大貫氏のスライドのデータでは、この衛星コンステレーションにむけて現在SpaceX、Samsungを始め、22,000以上の衛星を軌道に乗せる計画が既に計画されているという

宇宙の商業利用の要諦

また大貫氏は宇宙の商用利用のポイントとして、以下の三点を挙げた。
1. 位置利用
2. 宇宙(無重力)環境利用
3. 宇宙資源の利用
これらについては、別の機会に追々解説を加えていきたい。

「夢」と「お金」が交差するときは近い

私は最近の宇宙ビジネス動向について、自ら調査や昨日のフォーラム参加したことで、これまで少年少女(そしてその心をずっと持った大人)達の「夢」だった宇宙と、ビジネスとして「お金」になる宇宙がバランスを取りつつ交わるときが来るまでは、そう時間はかからないだろうと感じている。
前回の記事で紹介したThomas Friedmanの書籍表現をヒントにすると次のように表現できる。アメリカで運転したことがある方はよくご存じかと思うが、アメリカの自動車にはバックミラーに必ず”Objects in Mirror are closer than they appear.(鏡に映っているモノは写っているより近いところにある)”という表記がある。これを宇宙ビジネスで例えると、鏡ではなくて、目の前。つまり、”Space Business Opportunities in front are closer than it appear. (目の前の宇宙ビジネスの機会は思ったより近くにある)"。

この分野はしっかりとこれからも動向を押さえていきたい。

 

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