2016年9月29日掲載 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

ICT雑感:「生活習慣」を変えて気づくICTの懐の深さ



毎日いつも同じ行動をしてそれが習慣化してしまっていると、周囲の変化に気が付かないことがある。例えば、毎日同じ通勤電車に乗って同じルートを往復していると、いつも決まった景色しか見えないので(特に外の見えない地下鉄通勤は要注意だ)、世の中の変化に対して注意が散漫になってくる。ICTという世の中を引っ張る最先端トレンドの世界に、及ばずながら身を置く立場としては、そのような固定した「生活習慣」になってしまっているものに対して、意識してたまに通勤ルートを変えてみて新たな発見を探したり、東京という大都市目線を払拭するために週末時間があれば地方に出かけたりして、違った視点から世の中の動きを見ようと心掛けているところだ。そうしないと、文字通り頭の中も「生活習慣病」になってしまう(肉体的な面では既に手遅れになっていたりするが)。

週末は生活習慣ルートからの脱出~八ッ場ダム

その流れで先日週末を使って2年に1度は訪れている群馬県の草津温泉方面へ向かった。群馬県北部の片品村や沼田市から、草津温泉の入り口にあたる長野原町や嬬恋村を経由して長野県の上田市に通じる道は、真田街道とも呼ばれる、かつて真田一族が活躍した一帯である。現在NHK大河ドラマで放映中の「真田丸」にあやかって、多くの観光スポットが連携を進めており、至るところで「六文銭」ののぼりを目にすることができる。真田街道もその中に含まれる日光から上田へのルートはドイツのロマンチック街道を参考に「日本ロマンチック街道」と命名され、多くの温泉地や史跡を擁する一大広域連携の観光ルートでもある。

その途上、ダム建設を進めるかどうかで大きな議論になった、建設中の八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)がある。真田街道とも並行する吾妻川をせき止めて建設される多目的ダムであるが、政争の対象ともなった熱を帯びた報道が多かった数年前からすると、最近ではほとんどニュースになることもないが、2020年の完成を目指してダム建設が進んでいる(写真1)。ダム湖の湖底に沈むことになる川原湯温泉は代替地に移動して営業を始め、JR吾妻線や国道は既に新たなルートが完成するなど、周辺のインフラ整備がかなり先に進んでいる。予約すればダムサイトの見学も可能であり、この一帯は観光地化されつつある。

【写真1】八ッ場ダム建設現場 (出典:筆者撮影)

【写真1】八ッ場ダム建設現場
(出典:筆者撮影)

 

ここは話題になる前から草津温泉訪問の途上何度か訪れているが、工事継続決定してからのその変化のスピードは思ったよりも早い。あと数年でここの景色は大幅に変わってしまうわけであるが、訪日外国人(インバウンド)の拡大などとともに今後より人気の高い観光スポットになっていく可能性がある。それ自体はICTとは一見関係なさそうな動きにも見えるが、地方創生における体験型観光スポットとして、通信環境の整備や情報収集用のWebサイトの提供など様々なプレイヤーがICTで連携していくという観点から筆者は注目している。

端末を変えて生活習慣を変える~iPad Pro

もうひとつ、生活習慣を変えるという観点からの話。最近、タブレット端末を5年前の2011年から使っていたiPad 2から、最新のiPad Pro(9.7インチ)に買い替えた。5年間公私ともどもいろいろな用途で使ってきたiPad 2を床に誤って落としてしまい、バックライトの電源がつかなくなりブラックアウト状態になってしまったことが買い替えのきっかけだった。その一方でiPad2については、購入してから数年を経過してからは、新たなアプリを入れようとしたり、既存アプリを更新しようとしたりしても、対応しているiOSのバージョンが古いため、その先のアップデートができなくなっていた。しかし、いつも決まったアプリやブラウザーしか使わなくなっていてそれで事足りていたのと、もう1台のAndroidのスマホがあり、新しく出るアプリはそちらで試せばよいので、iOSの新しいアプリへの関心もやがて薄れてしまっていた。一度気を抜くと、いつの間にか変化が進んでいることに無頓着になってしまうことを改めて痛感した。

【写真2】iPad ProとApple Pencil (出典:Apple)

【写真2】iPad ProとApple Pencil
(出典:Apple)

 

9.7インチ版のiPad Proは今年の4月に発売されているが、デジタルグッズ系を紹介する雑誌などの評価を見ても使い勝手としてはすこぶる良い。昨年、先に販売開始されたiPad Proの12.9インチモデル(ほぼA4サイズと言ってよい)に比べれば持ち運びに優れ、特に意識していなかったが、もともと使っていたiPad2とも同じ大きさである。その中で何といっても特徴的なのは(まだ十分使いこなせていないが)その画面の美しさであり、老眼となった筆者の眼にも優しい(スマホは既に老眼には不向きなのでやりたいと思うことが限られてしまっている)。また、Apple Pencilを使えば手書きで高度なイラストや絵を描くこともできる(筆者にはその能力はないが)。これを機に様々な新しいアプリを試してみたくなってきた。

その中で新たに使ってみた「いびきラボ」は特に秀逸だ(写真3)。このアプリは、就寝中のいびきを録音、記録していくものだ(iOSだけでなくAndroidアプリもある)。筆者は人からいびきがうるさいと言われたこともあり気にはなっていたが、このアプリで初めてその状況を確認することができた。就寝中の音声をフル録音し、自分の知らなかった「肉声」を聞けるだけでなく、写真のようなグラフなどでビジュアルに記録されていく。睡眠時無呼吸症候群(SAS)のような病気が心配な場合は、ここで記録したデータをエクスポートして管理したり、具体的に医者にも相談したりできるわけだ。本誌6月号のこの「ICT雑感」でも、カロリー摂取量を日々記録していくアプリについて紹介したが、端末やネットワークの機能がさらに改善されていくことで、身近に十分利用可能なアプリが一層拡大していることを改めて感じる。

行動ルートや普段使っているものを少し変えるだけで、世の中の変化を身をもって感じた最近の例を紹介してみた。同じことを漫然と繰り返していると、肉体的に「生活習慣病」へつながるのと同じように、頭の中にも容易に盲点が生まれてしまう。きっかけは何でもよいと思うが、習慣化しているものを少し見直すだけで「気づき」が生まれる。その先にはICTが何らか関係していることは必然だ。そのように懐が深いICTとの関係を意識しつつ、自戒を込めて今後も頭の中の「生活習慣病」を予防していきたいものだ。

【写真3】「いびきラボ」の「いびきレポート」 (出典:筆者のいびきレポート画面をキャプチャ)

【写真3】「いびきラボ」の「いびきレポート」
(出典:筆者のいびきレポート画面をキャプチャ)

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部無料で公開しているものです。

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