本記事は、NTTブロードバンドプラットホーム株式会社の田川久和氏より寄稿いただいた原稿をそのまま掲出しています。
「AI監査が有効」なことはわかった、では「監査で具体的にどこに効くのか?」だろう。
今回の期末監査では3つの異なるシーンで使用。時系列で説明するが、意外と思われるかもしれないが、実は今年度期末監査実作業に入る前にAI(Copilot)がまさかまさかの驚きの力を発揮した。
それが、①「減損に関する見積もりと判断のプロセス」である。
結論としては、「減損の兆候はあるものの、将来キャッシュ・フローの見積り等を踏まえ、今期は減損を行わないという執行サイドの判断は妥当」と整理した。ただし、この種の会計上の見積りは不確実性を伴うため、翌期以降も継続的に検討とした。
この判断にいたるまでの事前整理として、執行側の判断をどう検証するか?Q&A設計や議事録等も含めた文書整理にいたる一連の【思考系】でのAIは一段深いレベル、まるでベテランの会計士とディスカッションしている感覚。実はこれが今年度監査での一番の山であり、AIは「思考のパートナー」だった。
次に、②事業報告書の推敲・校閲【整理系】である。
株主の手元に届く大事な資料、でも「あっ!やっちゃった!見落としてた!」という苦い経験(実は私あります(笑))、人間がやるとどうしてもミスがおきやすい。ところがAIはいとも簡単に一瞬で、ボンミスや記述の揺れだけでなく、表現チェックまで指摘してくれた。有価証券報告書や統合報告書がある会社なら、報告書間の整合性チェックまでやってくれるだろう。最後にもう一度、人の目でチェックすればそれでOK。AIはスピード感をもった校閲・整合性チェック・外部開示リスクを極小化する「品質向上装置」であった。
そして、③財務分析(BS/PL比較)【構造把握系】
三期分のデータを読ませると、当期の全体状況を一瞬で把握し、確認事項が「だだっ!」とでてきて、もう一段の深堀質問もつくりましょか?とくる。人の手と頭で分析すると整理も含めて1週間くらいはかかるところを、AIの出力をみながら、自分がドライランで認識できなかった項目・軽重も含めて分析し、確認と質問事項作成まで1日でできてしまう精度を上げると同時に圧倒的な物量の処理・スピード感には舌を巻いた。AIは「初期仮説生成装置」だった。
ところで、この「だだっ!」こそがAIの「価値」であり「リスク」でもある。つまり理解できるかの人の力量の問題である。
AIは一瞬で“全部出す”が、それを理解できるかは人間に依存するという実感、つまりAIで仕事が楽になるというより、「問いを立てる力」「解釈する力」の差が、これまで以上に見えるようになる。
ひょっとすると「AIは監査を効率化するのではなく、監査の質そのものを変えてしまうのではないか」と感じている。
それでもね、このAIを道具として使い倒して、自分の能力を伸ばさない手はないですよね。♪ぴゅ〜ら〜り〜ら〜 かぜがきみをよんでいるよ ぴゅ〜ら〜り〜ら〜ら〜 いまこそ!♪
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