2016年3月1日掲載 ITトレンド全般 風見鶏 “オールド”リサーチャーの耳目

光BOX⁺をテレビに接続-中高年の新たな楽しみ?



昨年の暮、12月の末になって我が家のテレビ(もちろんデジタル液晶テレビ)が壊れてしまい、完全に映像も音声も受信しなくなってしまいましたので、年末の慌しい時に買い換えるはめになりました。正月からは新しいテレビになり、きれいな映像(4K対応テレビのおかげ?)を楽しんでいます。テレビ画面の技術向上には改めて驚くばかりです。

大型量販店で店員(実は電機メーカーからの派遣)の説明を受けて勧められるまま、特に期間限定の割引に惹き付けられて購入したものですが、その時に「光BOX⁺無料プレゼントキャンペーン」というチラシをもらったので早速応募申込をしたところ、10日ほどして“光BOX⁺(HB-1000[2])”というNTT西日本の製品が送られて来ました。これまで私はテレビは単独で使っていて、パソコンやタブレットのようにインターネットには繋いでいませんでしたので、この機会にテレビのネット接続とはどのようなものなのか、遅ればせながら挑戦することになった訳です。ブロードバンド回線は以前から使っているBフレッツのマンションタイプで、これにWi-Fiルーターを接続した環境になっていますので、この光BOX⁺をWi-Fiで接続することはとても簡単に設定できました。

こうして我が家のテレビはインターネットに繋がりましたが一体何に使ったらよいのか、何を見たらよいのか、1月中旬以降、暇をみては試しているのが現状です。ただ、今のところはホームページの閲覧などのウェブ利用かニュース動画検索ぐらいしか使っていません。これはパソコンで見ていたものをテレビ画面で大写しで見ているということです。実際のところ、この光BOX⁺の操作リモコンはなかなか取り扱いが難しく、さらに手元のタブレットに操作アプリをダウンロードしてみてもとても使い方が難しいので多くのことを使いこなすには到っていないというところです。特に中高年にはもっと簡便に使えるリモコンか、スマホ・タブレットのソフトが必要と強く感じます。

話題が変わりますが、総務省が毎年実施している通信利用動向調査のなかに、テレビのネット接続とその利用に関して、とても興味深いデータが公表されていますので紹介したいと思います。直近の公表は2015年7月で、調査時点は2015年1月~2月、世帯調査と企業調査に分かれますが、世帯調査ではサンプル数40,592世帯、有効回収数16,529世帯で全国で実施されていて、回答内容は2014年末の状況を示しています。

これによると、インターネットの利用状況は82.8%に達し、最近5年間では60歳~69歳の利用率は2010年末64.4%が2014年末では75.2%と10ポイント以上上昇しているし、70~79歳でも同じ期間に39.2%から50.2%に高まっています。インターネット利用は急速に高齢者に拡大していることがよく分かります。ここではインターネット回線の分析が目的ではありませんので、少しだけ触れますとインターネット接続回線の種類は、光回線と携帯電話回線がそれぞれ50%強で圧倒的な存在となっています。

さて、肝心のデジタルテレビのインターネットとの接続世帯の割合は、なんと23.9%にも達しているのです。驚きです。それは実際のところ、これほど多くの世帯がネット接続してテレビをデジタル端末として利用しているとはとても思えないからです。さらに、この通信利用動向調査には大変興味深いデータも載っています。デジタルテレビをインターネットに接続している世帯のうち過去1年間にそのインターネット接続機能を利用した世帯はわずかに14.2%に過ぎず、かつ、週に1回以上利用した世帯はその半分の7.2%しかありません。つまり、テレビをネット接続していても実際にはネットを利用している人はほんの少数なので、デジタルテレビ保有世帯のうち回線を接続してインターネットを利用している世帯の割合は、年1回以上で3.4%、週1回以上ではわずかに1.7%しかいないという結果になります。即ち、テレビはネット接続されていても、まったくインターネットを使わない世帯が圧倒的で85.7%に達しているのです。これこそ各種のコンテンツやゲーム、情報提供や広告などネット産業に携わる人達からみると、宝の持ち腐れ、何とももったいない現象と写っていることでしょう。

特に、このインターネット接続機能の利用層では50歳代をトップに40歳代から60歳代までの中高年の利用が高くなっているので、インターネットテレビと中高年の生活スタイルとは相性は悪いものではないようです。世帯年収別にみても、年収が高くなるほどインターネット接続機能を利用する傾向にあることも、これを裏付けています。最後に、その利用目的をみると、ホームページの閲覧等のウェブの利用、VOD等の配信、番組関連情報の取得の3項目が多く、やはり若年層のパソコンやスマホの利用動向とは大きく違っているのが分かります。問題はインターネットに接続しているものの、まったく利用していない85%強のデジタルテレビ保有世帯にどうやったら利用してもらえるのかを考える必要があることです。

私も今回、我が家のテレビをインターネットに接続してみて初めてリモコンの操作方法がネックになることを実感できましたし、必ずしも中高年が興味を持つコンテンツが十分でないことが分かりました。もともとパソコンで操作・検索して利用しているものをテレビのネット接続でも利用することが多いので、一層のコンテンツの充実が望まれます。映画だけでなくテレビドラマやスポーツの名場面、ドキュメンタリーなど有料・無料を組み合わせたSVOD(定額制)、TVOD(都度課金型)、EST(ダウンロード販売)等、タイプ別にさまざまなコンテンツを簡便に利用できることが求められます。テレビはインターネットデバイスとして中高年、また家族世帯に適しているので、まだまだ潜在的需要は大きいと見込まれます。他方、オンデマンド型だけではなく、テレビ視聴の特徴である時間を気にしないでつけている“ながら視聴”向きの配信や1ヶ所に止まらず居室内で動き回っても視聴できる内容などコンテンツやアプリケーションの一層の工夫が求められます。

結局のところ、私もテレビをインターネットに接続して利用するようにはなりましたが、まだまだ有料の動画配信で映画を見ることはほとんどありません。無料のニュース映像やYouTubeを見ているくらいです。こうなるとテレビのネット接続利用者を対象とするビジネスモデルの構築は結構難しいことに思われます。しかし、テレビ視聴で育った中高年は多いので、安価な定額制のSVOD(Subscription VoD)の充実に期待がかかります。映画はシニア割引で映画館で楽しむ習慣の私には、今のところこれはというSVODは残念ながらまだありません。

関連キーワード

会員限定レポートの閲覧や、InfoComニューズレターの最新のレポート等を受け取れます。

ICR|株式会社情報通信総合研究所 情報通信総合研究所は情報通信のシンクタンクです。
ページの先頭へ戻る
FOLLOW US
FacebookTwitterRSS