情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2019年7-9月期がまとまりましたのでご報告いたします。
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2019年7-9月期のポイント(前年同期比)
ICT経済は3期ぶりに増加に転じた。ICTサービスは20期連続増かつ増加幅が拡大し好調を維持している。一方、ICT財はマイナス5.1%と3期連続で減少したが、減少幅は縮小した。ICT在庫は減少に転じ、生産調整が進展している。ICTサービスが好調な上、ICT生産が下げ止まったことから、ICT経済が回復に向かい始めたとみられる。
需要サイドは、ICT輸出が4期連続でマイナスを記録し、それが生産面に波及している。ICT輸入は増加から減少に転じた。ICT設備投資は4.1%増と3期ぶりに増加に転じた。ICT消費は堅調に推移し7.5%増となった。
中国経済の減速、世界的なスマートフォン需要の一巡を背景に低迷したICT輸出は一部底入れ感がみられるものの回復には至っていない。輸出と連動するICT生産の本格回復には今少しかかりそうである。
2019年7-9月期の動向
(ICT経済総合)
- 国内ICT経済は前年同期比2.0%と3期ぶりに増加に転じた。前期に比べて2.1ポイント増加した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比3.9%と20期連続で増加した(図表3)。
- 受注ソフトウェア、ゲームソフトの増加幅が拡大した。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比マイナス5.1%と3期連続で減少した(図表4)。
- 半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、電子デバイス、集積回路は減少幅が縮小し、電子計算機は増加幅が拡大した。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比マイナス10.8%と減少に転じた(図表5)。
- 電子デバイス、民生用電子機械が減少に転じた。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比7.5%と15期連続で増加した(図表6)。
- スマートフォン等の本体価格、テレビ、パソコンは増加幅が拡大したが、スマートフォン等の通信・通話使用料の増加幅が縮小した。
- (ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比4.1%と3期ぶりに増加に転じた(図表7)。
- 電気計算機等が増加に転じ、通信機は増加幅が縮小した。
- 官公需は前年同期比9.1%と2期連続で増加した。
(ICT輸出入)
- • ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス9.7%と4期連続で減少した(図表8)。半導体等電子部品は減少幅が縮小したが、通信機、半導体等製造装置の減少幅が拡大した。数量ベースではマイナス9.1%と5期連続で減少した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比マイナス3.8%と増加から減少に転じた(図表9)。通信機は減少に転じたが、半導体等電子部品、半導体等製造装置の減少幅が拡大した。数量ベースでは同8.0%と2期連続で増加した。
「InfoCom ICT経済アップデート」の主な内容
- 情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。 - 情報通信の在庫循環分析
情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。
※ICT関連経済指標は、九州大学篠﨑彰彦研究室で開発された指標を、情報通信総合研究所で維持・更新し、必要に応じて改善しているものです。
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