情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2020年10-12月期がまとまりましたのでご報告いたします。
2020年10-12月期のポイント(前年同期比)
2020年10-12月期のICT経済は前年同期比マイナス0.2%とプラス成長にならなかった。ICT財が同2.1%増と8期ぶりに増加に転じたものの、ICTサービスが同マイナス1.0%と3期連続で減少となった。
需要サイドについては、ICT消費はスマートフォンやテレビ等が増加に転じ、同7.7%増と増加幅を拡大した。ICT設備投資(民需)は通信機への受注が好調で3期ぶりに増加に転じた(同3.1%増)。ICT輸出は電池の増加幅が拡大し9期ぶりに増加に転じ、回復傾向にある。ICT輸入は通信機の増加等により再度増加に転じた。
今期サービス面を除きプラス成長に戻ったICT経済だが、1-3月期はどうなるであろうか。緊急事態宣言が再発出され、経済活動は再度低迷し、ICT関連分野において巣ごもり消費などの下支えの動きはあるものの、設備投資、輸出入については今期の回復が継続するかは不透明である。内外の感染継続による下振れリスクと、ワクチン接種の本格化、ニューノーマル定着に向けたデジタル化の推進による回復に向けた動きなど、ICT経済は当面予断を許さない状態が続くと考えられる。
2020年10-12月期の動向
- 国内ICT経済は前年同期比マイナス0.2%と3期連続で減少したものの減少幅は縮小した。前期に比べて4.5ポイント改善した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比マイナス1.0%と3期連続で減少したものの減少幅は縮小した。前期に比べて3.8ポイント改善した(図表3)。
- 放送業、受注ソフトウェア、映画制作・配給業は減少幅が縮小し、サイト運営業務は増加幅が拡大した。
- ICT財は前年同期比2.1%と8期ぶりに増加に転じた(図表4)。
- 電子部品の増加幅が拡大し、半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、電子計算機は減少幅が縮小した。
- ICT在庫は前年同期比マイナス16.1%と減少幅が拡大した(図表5)。
- 民生用電子機械、電子デバイスは減少幅が拡大した。
- ICT消費は前年同期比7.7%増と20期連続で増加した(図表6)。
- 移動電話等の通信機器、テレビ、スマートフォン等の通信・通話使用料は増加に転じた。
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比3.1%増と3期ぶりに増加に転じた(図表7)。
- 電気計算機等の減少幅が縮小し、通信機は増加に転じた。
- •官公需は前年同期比マイナス1.9%と2期連続で減少した。
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比1.9%増と9期ぶりに増加に転じた(図表8)。電池の増加幅が拡大し、電算機類の部分品は減少幅が縮小した。一方、半導体等製造装置は増加幅が縮小した。数量ベースでは同3.7%増と2期連続で増加した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比8.2%増と増加に転じた(図表9)。通信機は増加に転じ、半導体等製造装置は増加幅が拡大し、半導体等電子部品は減少幅が縮小した。数量ベースでは同11.3%増と3期連続で増加した。

図表8 輸出総額に占めるICT関連輸出(品目別)の寄与度
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