情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2021年1-3月期がまとまりましたのでご報告いたします。
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【2021年1-3月期のポイント(前年同期比)】
2021年1-3月期のICT経済は前年同期比2.3%増と2四半期連続でプラス成長になり、増加幅が拡大した(前期比1.8ポイント増)。ICTサービスが同0.6%減と減少幅はわずかに拡大した。一方、ICT財は同13.1%増となった。
需要サイドについては、ICT消費は21期連続で増加を維持した。パソコンやインターネット接続料は増加幅が拡大したが、スマートフォン等の通信・通話使用料は、増加幅が縮小した。一方、ICT設備投資(民需)は電子計算機等が減少に転じた。ICT輸出は世界的な半導体需要の増加を背景に、半導体等製造装置の増加幅が拡大し2期連続で増加した。ICT輸入も2期連続で増加した。テレワーク等ワークスタイル変化やGIGAスクール等を背景に電算機類(含周辺機器)、通信機の増加幅が拡大した。
今期のICT経済は、サービス、設備投資を除きプラス成長を維持した。3度目の緊急事態宣言は4都府県に対して4月25日に再発出され、当初5月11日までとされていた期限は延長し、対象地域は拡大された。これによりICT関連分野においては、プラス要因として、eコマースやコンテンツ視聴等、巣ごもり消費の下支えの動きやニューノーマル定着に向けたデジタル化の推進、海外経済の回復による輸出の増加基調が見られる。一方、経済活動の抑制による業績不振や先行き不透明感を背景にした設備投資意欲の低迷が懸念点である。4-6月期のICT経済の回復力は脆弱になることが想定される。
【2021年1-3月期の動向】
(ICT経済総合)
- 国内ICT経済は前年同期比プラス2.3%と2期連続で増加し増加幅は拡大した。前期に比べて1.8ポイント改善した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比マイナス0.6%と6期連続で減少し、前期に比べて0.6ポイント悪化した(図表3)。
- 受注ソフトウェアは減少幅が縮小したものの、ソフトウェアプロダクトが減少に転じ、サイト運営業務は増加幅が縮小した。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比プラス13.1%と2期連続で増加した(図表4)。
- 半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、電池の増加幅が拡大した上、電子デバイスは増加に転じた。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比マイナス12.4%と減少幅が縮小した(図表5)。
- 電子デバイスの減少幅が拡大し、集積回路は減少に転じた。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比プラス4.9%と21期連続で増加した(図表6)。
- パソコン、インターネット接続料は増加に転じたものの、スマートフォン等の通信・通話使用料は増加幅が縮小した。
(ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比マイナス4.2%と減少に転じた(図表7)。
- 電気計算機等の減少幅が拡大し、通信機は減少に転じた。
- 官公需は前年同期比マイナス1.0%と3期連続で減少した。
(ICT輸出入)
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比プラス10.5%と2期連続で増加した(図表8)。半導体等製造装置は増加幅が拡大し、電算機類の部分品、半導体等電子部品は増加に転じた。数量ベースでは同プラス13.3%と3期連続で増加した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比プラス18.0%と2期連続で増加した(図表9)。電算機類(含周辺機器)、通信機は増加幅が拡大し、半導体等電子部品は増加に転じた。数量ベースでは同プラス23.2%と4期連続で増加した。
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