情報通信総合研究所では、情報通信（以下、ICT）産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2021年4-6月期がまとまりましたのでご報告いたします。

2021年4-6月期のポイント(前年同期比）

2021年4-6月期のICT経済は前年同期比10.4%増と3四半期連続でプラス成長になり、増加幅が拡大した（前期比7.7ポイント増）。ICTサービスが同5.9％増と増加に転じ、ICT財は同26.2％増と3期連続で増加した。

需要サイドについては、ICT消費は22期連続で増加を維持した。スマートフォン等の通信・通話使用料は増加幅が拡大し、パソコンは減少に転じた。一方、ICT設備投資（民需）は電子計算機等の減少幅が拡大し、2期連続で減少した。ICT輸出は3期連続で増加した。世界的な半導体需要の増加を背景に、半導体等製造装置、半導体等電子部品等の増加幅が拡大した。ICT輸入は3期連続で増加した。半導体等電子部品の増加幅が拡大した。

今期のICT経済は、設備投資を除きプラス成長を維持した。 4月から6月は新型コロナの感染拡大で大都市圏では緊急事態宣言が発出されていたにもかかわらず、人流は減らず、民間消費は増加した。ICT関連分野においては、2020年春の緊急事態宣言時からの反動増の影響もあり、生産、サービスともに増加した。プラス要因として、巣ごもり消費の継続、モバイル通信利用料の反動増、ニューノーマル定着に向けたデジタル化の推進や、世界的な半導体需要の高まりによる輸出の増加が見られる。一方、感染の再拡大による欧米、中国の景気の減速懸念、半導体の世界的な供給不足等はリスク要因だ。新型コロナの変異株の感染急拡大により、経済活動の制限が継続すると、7－9月期のICT経済の回復持続の見通しは不透明感が高まるものと想定される。

2021年4-6月期の動向

（ICT経済総合）

• 国内ICT経済は前年同期比プラス10.4％と3期連続で増加し増加幅は拡大した。前期に比べて7.7ポイント増加した（図表2）。

（ICTサービス）

•  ICTサービスは前年同期比プラス5.9％と7期ぶりに増加に転じ、前期に比べて5.9ポイント改善した（図表3)。
• 受注ソフトウェア、その他の情報処理・提供サービス業は増加に転じ、通信業は増加幅が拡大した。

（ICT財）

• ICT財は前年同期比プラス26.2％と3期連続で増加した（図表4）。
• 半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、電池、集積回路の増加幅が拡大した。

（ICT在庫）

• ICT在庫は前年同期比マイナス13.0％と減少幅がわずかに拡大した（図表5)。
• 電子デバイス、集積回路の減少幅が拡大した。

（ICT消費）

• ICT消費は前年同期比プラス1.8％と22期連続で増加した（図表6)。
• スマートフォン等の通信・通話使用料は増加幅が拡大し、パソコンは減少に転じた。

（ICT設備投資）

• 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比マイナス3.8％と2期連続で減少した（図表7）。
• 電気計算機等の減少幅が拡大し、通信機は増加に転じた。
• 官公需は前年同期比マイナス16.6％と4期連続で減少した。

（ICT輸出入）

• ICT輸出(金額ベース)は前年同期比プラス32.2％と3期連続で増加した（図表8)。電算機類の部分品、半導体等電子部品、半導体等製造装置は増加幅が拡大した。数量ベースでは同プラス26.8％と4期連続で増加した。
• ICT輸入(金額ベース)は前年同期比プラス12.7％と3期連続で増加した（図表9)。半導体等電子部品、音響・映像機器（含部品）は増加幅が拡大したものの、電算機類（含周辺機器）は減少に転じた。数量ベースでは同プラス5.1%と5期連続で増加した。

参考　ICT関連経済指標に採用した項目

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【関連サイト】ICT経済分析