2024.2.28 法制度 InfoCom T&S World Trend Report

民事・刑事上の法的課題「サイバネティック・アバターの法律問題」 連載11回

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1.はじめに

これまでの連載においては、サイバネティック・アバター(CA)と法に関する鳥瞰(第1回・第2回)、人格権・個人情報保護(第3回~第8回)及び知財(第9回・第10回)を取り上げてきた。本稿では、民事・刑事を取り上げ、次回は行政・プラットフォーム、そして最終第13回に「アバター法」という概念の成立の可能性と残課題を取り上げて連載を終えたい。

これまでの連載一覧はこちら

2.権利能力・行為能力・代理人等

(1)アバターの(法)人格・行為能力等

現行法ではCAそのものに対して権利能力は認められていない。また、現行の代理制度(民法99条以下)は、権利能力を有する者が代理人になる建て付けであるからCAは代理人にもなることはできない(その意味で、CAを「エージェント(agent)」とする議論が、もし日本の民法上の「代理人」となるという意味であれば、少なくとも日本の現行法の解釈論としては成立しない)。

なお、未成年取引(民法4条、5条)における詐術(民法21条)とアバターの外観の関係につき、アバターの外観が一般に現実世界の容姿に近いという社会通念が成立した場合、成人風アバターを作出したことが詐術を肯定する方向の要素となるとされているが、この点は既に第2回で述べたので詳論しない1

(2)法人によるアバター運営

ここで、法人がアバターを運営することは可能である。例えばAという法人が脚本家、声優、モーションアクター等を雇ってVTuber A’を運営するという場合である。この場合においては、VTuberが法人化したと見る余地はあるところ、松尾光舟=斉藤邦史「アバターに対する法人格の付与」(以下「松尾=斉藤」という)2はこのような方向性を示唆する。しかし、アバターの「中の人」が自然人であり、そのアバターがいわゆるパーソン型3で、「中の人」の人格が反映されている場合においても、自然人とアバターが同一だというよりは、むしろ、自然人が、その自己表現方法の一つとしてアバターを用いていると見るべき場合が多いだろう。筆者はこのことを指す際に、「SNS上で利用者が利用するアカウント(アイコン)と当該アカウントの『中の人』である利用者の関係と、アバターと中の人の関係は類似する」という比喩を利用することがある4

法人がVTuberを運営する場合でも、その形態は様々なものがあり得る。例えば、法人が「中の人」5たる自然人とマネジメント契約を結び、その「中の人」のためのプロモーション(宣伝や案件獲得等)の役割に専念することがあるが、このような役割分担であれば、VTuberと法人の関係は、いわば芸能人である「中の人」と芸能マネジメント会社の関係に近接する。また、法人の発意で法人が業務委託や雇用で人を集めてVTuberを運営するプロジェクトを立ち上げるのだとしても、それだけで法人とVTuberを同一視できるかは別問題である。もし、そのプロジェクトがいわゆるキャラクター型のプロジェクトならば、法人が新たなキャラクタービジネスを実施しているだけと見なされる場合も多いのではないか。また、複数のVTuberを同一法人が運営することもあるところ、その場合には法人とVTuberは1対1で紐付いていない以上、少なくとも「同一視」はできなくなるだろう。いわゆるパーソン型のVTuberについては、VTuberが特定の「中の人」の自己表現と評価できる場合は多いと思われるが、法人と同一視できる場合が多いのかは疑問である6

結局のところ、松尾=斉藤の問題意識は、複数関与CAのガバナンスと思われ、その問題意識そのものは正当である。しかし、そのガバナンスの確保のための方法として既存の会社制度という器が適切かは疑問である7

(3)権利能力なき社団

また、松尾=斉藤は権利能力なき社団の利用を提案するが、権利能力なき社団は法人登記が不要であるという点以外は法人に類似するため、法人に対する批判がそのまま当てはまる。

(4)まとめ

以上のように斉藤=松尾の議論には疑問があるものの、複数人関与アバターについてどのようにガバナンスを考えるべきかは更なる検討課題としたい。現時点では、そのようなガバナンスをCA認証8を利用することでより良く実現できるのではないか、という観点等も踏まえて検討するべきではないかと考えている9

3.契約・取引

(1)CAと契約

メタバースは取引のため活発に利用されており、それによってCAと契約を締結することが増えている。CAを通じて契約をすることも、それが当事者双方の意思の反映であれば有効であるが、そうでなければ契約は成立しない10。とはいえ、CAを通じて契約することによって契約当事者が曖昧になったり、契約内容が不明確になったりする等という状況は生じ得るところである。

メタバース上の取引は、①メタバース上のオブジェクトやメタバース上で提供されるサービス等メタバース内の目的物・役務に関する取引と、②現実空間の商品・役務に関する取引に分かれる11。ここで、メタバースに関する取引の中には、メタバースで使うアバターやオブジェクトを(メタバースではない通常の)オンラインショップで購入するというような、アバターとの関連性が低いものもあるので、そのような状況において発生する法律問題、例えば特商法や消費者契約法の適用等は本稿では割愛する。

そのような前提の下では、CAを通じて締結した契約の位置付けが問題となるだろう12。以下の事例を検討しよう。

事例1 甲は乙社の経営するお店で乙社の接客アバター丙というアバターの接客を受けた。

事例2 甲は丁というアバターと商談した。

事例3 事例1又は2で、アバター丙や丁は、複数人が共有するアバターだった。

なお、アバターを通じた取引においてAIを利用したアバターが関係する場合の法律問題も論じられているが13、それを利用する背後者がどのような意図でどのようなAIを利用しているかによると思われる。例えば、AIが自動的にアルゴリズムに基づきアバターを操作して注文を出す場合には、そのようなアルゴリズムを使って注文を出す意図であれば申し込みとしてみなしてよい場合もあるだろう。

(2)事例1の検討

様々な企業がメタバース上で商品を販売したり役務を提供したりしている。事例1において、丙という接客アバターはあくまでも乙の従業員が利用するアバターであり、甲と乙との間で契約が成立する。このように、アバターを利用した取引については、アバター間で取引が行われるというよりは、むしろアバターを利用する法主体(自然人または法人)と取引することになる。

なお、企業間の取引や個人間でも大型の取引であれば契約書が締結されるところ、契約書ではアバター名ではなく「中の人」の名前(又はアバター名「こと」中の人名義)が明記される可能性が高いので、以下では契約書が締結されない場合を想定している。

事例1-1 事例1において甲はメタバース上で使うアバター用のバッグを買った。

事例1-2 事例1において甲は、(現実空間の)バッグを買った。

事例1-1と事例1-2において相違が発生するとすれば、自動執行の部分である。つまり、事例1-2であれば、あくまでもオンラインショップと同様に、当該バッグは事後的に配送される。しかし、事例1-1であれば、単に決済とアイテム移転がバラバラに発生する場合だけではなく、メタバースプラットフォーム上で、同プラットフォームの提供する決済システムで決済すると自動的にバッグアイテムが手元に来るというような自動執行の建て付けとすることも可能である14。このような対応が実現されれば、より安心なメタバース上の取引が実現するだろう15

もっとも、事例1と事例2の間には一定の相違があるように思われる。即ち、事例1では、所定の手続きを経て出店審査をクリアした事業者がメタバース上において出店している状況が想定される。そうであれば、自動執行をできないというだけで直ちに、債務不履行(例えば商品が引き渡されない)や契約不適合(例えば、宣伝した内容と異なる商品が引き渡される)」等のトラブルが頻発するとまではいえないかもしれない。これに対し、事例2では、まさにそのような審査を経ていない個人との取引であり、上記のような意味におけるトラブルの可能性はより高まるだろう16

(3)事例2の検討

事例2-1 事例2において甲はメタバース上で使うアバター用のバッグを買った。

事例2-2 事例2において甲は、(現実空間の)バッグを買った。

事例2では、取引相手が直接アバター丁の「中の人」であるという点において事例1と異なるところ、上記のとおりアバター同士のトラブルは事例2においてはより増加することが想定される。

このようなアバター同士のトラブルに対しては、事例2-1のようなオンライン上のオブジェクトに関する限り自動執行が有効である。しかし事例2-2では自動執行は通常不可能である。

そしてこのような事例2-2では、なりすましの問題が重要な問題となり得る。例えば、本当は中の人は丁ではないのに、丁の写真等をもとにアバターを作り、アバターネームを丁として、まるで丁がメタバース上で活動しているように装う場合等である。このようななりすましによる契約に対しては、一回的取引においては原則として効果が帰属しないが、例外として表見代理(民法109条以下)の適用がある場合には効果が帰属し得るだろう。継続的取引の場合は、利用規約においてID・パスワードの管理を本人の責任として、当該アバターが利用された取引であれば効果が帰属する旨を定めれば、パスワードを他人に教えた場合等については基本的にそれに従うことになるだろう17。しかし、本人のアバターが利用されたのではなく、別人が別の(類似するアバターで)なりすまし(連載第8回参照)をする場合はこの利用規約の適用対象外であろう。

そして、そのような場合こそ、アバター認証が重要である。つまり、そのアバターが信用できるものであれば、トラブルにそもそもならないことも多い。例えば実名アバターについてなりすましでないことが保証されていれば、「この人」と取引をするという信頼が担保される18

また、例えば認証済みアバターと取引をしてトラブルになった場合において一定の要件の下でその「中の人」の個人情報、例えば実名アバターなら住所、仮名アバターなら住所氏名が開示されるという制度ができるのであれば、最後は当該開示制度を利用して、取引相手に対して訴訟を提起することができる。

なお、筆者個人としては、仮名アバターであっても認証の対象として構わないと考える。とはいえ、利用開始直後から認証済みと表示できるのは実名のみとし、仮名アバターは例えばログイン期間や交流相手等の一定の要件を満たして初めて認証済みとする等、仮名アバターと実名アバターで一定程度認証要件を異にすることもあり得る。この点は、本ムーンショット研究でアバター認証の研究が進んでいることから、それを待ちたい。

(4)事例3の検討

ア はじめに

事例3は同じアバターを複数人が利用している場合である。例えば乙は接客用の担当者アバター丙を、戊や己等の従業員のうち、その日に出勤している者に使わせるということがあり得る。但し、同じ事業者が、複数の従業員に接客アバターを使わせる(接客アバターを利用して契約する権限を与える)場合、中の人が(丙の従業員のうちの)戊なのか己なのかは特に問題にならない。

しかし、それが個人である場合、つまり事例3の丁の中の人が庚なのか辛なのかというのは、おおいに問題となる。なお、(3)で述べたとおり、利用規約においてIDパスワードの管理を本人の責任とすることで、他人にパスワードを教えたことによる効果を利用規約によってコントロールすることができるものの、イ〜エでは、そのようなプラットフォーム側の対応がされていない場合を前提とし、プラットフォーム側での対応はオ で論じる。

イ 複数の中の人のうち誰か一方が多く使っていて、その人と取引すると考えていた場合

事例3-1 事例3で丁を多く使っているのが庚であり、甲は庚と取引をするものと考えていたが、実際にはその時に丁を使ったのは辛だった

このような場合において、どのような法律関係が生じるのだろうか。

実際に甲が直接取引した相手は(その時に丁を使った)辛である。しかし、辛は丁というアバターネームを用いており、このアバターネームを用いたことが、法的にどう評価されるかという点が問題となるだろう。

事例3-1-1 事例3-1で辛として庚に権利義務を帰属させる意図で丁を使って甲と取引をした

この場合に、甲は、辛が庚の代理人だという主張をすることは可能だろうか。代理による法律行為の要件は、代理人による法律行為、顕名及び代理権である19。ここで、代理人が自己の名を出さず直接本人の名で法律行為をするいわゆる署名代理については、本人Xの名を用いた場合に「相手方も、『X』という名の人間と契約することを意図していた以上、原則として、本人Xに効果が帰属するとみてよいとされる」といわれている20。もちろん、相手方である甲として本人庚と取引をする意思を有していないとすれば、錯誤の問題となり得る21ものの、本件では甲は庚と取引をするものと考えていたので錯誤にはならない。

これに対し、商行為であれば、商法504条(「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。但し、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない」)が適用される。その場合、相手方である甲としては、庚に対して履行を請求することができ(同条本文)、そしてそれが庚のためにすることを知らなかったときは辛に対しても履行を請求できる(同条但書)ところ、本件では甲は庚と取引をするものと考えていたので庚のみに履行を請求できることになるだろう。

ここで、庚として、辛に対して代理権を授与する趣旨で、アバター丁の利用を認めていれば、有権代理である。しかし、そうでなければ無権代理(民法113条)となる。よって、辛は無権代理人の責任を負うが、庚として表見代理(民法109条以下)の責任の根拠となるような基本代理権の授与等がなければ、庚に責任を追及できない。問題は、庚が辛にアバター丁の利用を認めることが基本代理権の授与等になるかであるが、一般に自分のアバター利用を許可すること自体が自分の代理人として取引をしてよいという趣旨という社会通念はまだ成立していないだろう。そこで、少なくとも、2024年時点では、単に庚が辛にアバター丁の利用を認めただけで直ちに基本代理権の授与があったとはいえないものの、今後のアバター社会の発展状況によっては異なる解釈が生じる可能性は否定できない。

事例3-1-2 事例3-1において、辛として自ら(辛)に権利義務を帰属させる意図で丁を使って甲と取引をした

この場合、甲は庚との取引をする意思であるが、辛は辛として取引をする意思である。そして、もし、丁をいつも使っている(例えば99%以上)のが庚で、その旨を甲を含む周囲も知っている(つまり、丁=庚という取引通念である)ものの、たまたまその時だけ中に辛がいた、ということであれば、その取引の客観的・外形的側面からは、甲の理解のとおり甲・庚間の取引が成立すると考えるべきである。そして、辛としては、(客観的に)表示した庚との間の取引と、自らの意思である辛との間の取引が相違し、「意思表示に対応する意思を欠く」(民法95条1項1号)22として、錯誤取消しの問題として扱われるべきであろう。但し、既に客観的に丁=庚という取引通念が確立していたのであれば、その中で辛があえて辛として取引する意図であれば、その旨を甲に説明すべきであり、辛に重過失(95条3項)があったとされる可能性も十分にあるだろう。

これに対し、確かに50%を超えて丁を庚が使っているが、辛も49%程度使っており、単に甲として辛がその程度の頻度で丁を使っていることを知らないだけだった(甲としていつも庚が使っていると誤解していただけ)、ということであれば、取引の客観的・外形的側面から甲の理解のとおり甲・庚間の取引が成立するとまではいえないかもしれない。そうであれば、むしろ、辛の理解のとおり甲・辛間の取引が成立し、甲において「意思表示に対応する意思を欠く」(95条1項1号)錯誤があったとして、錯誤取消しの問題として扱われるべきかもしれない23。その場合、甲として「中にいるのは庚か」と確認すべき注意義務はあったように思われるが、それを持って重過失(95条3項)とまで常にいえるとは限らないように思われる。

もっとも、例えば丁を庚が使うことが多いということ自体は示していても、その時点で中に誰がいるかを明示していない場合等であれば、庚の利用の割合が非常に高いのか、それとも庚の利用割合が過半数だが非常に高いとまで言えないのかといった事情を持って、成立する取引の内容が異なる(錯誤者が異なる)という上記の解決は必ずしも相当ではない場合もありそうである。例えば、丁として庚が使うことが多い旨を甲に対して明示・黙示に示した場合には、現時点においては辛が使っている等の特段の説明がなされない限り、その取引の客観的・外形的側面からは、甲の理解のとおり甲・庚間の取引が成立すると解した方が取引安全の観点から優れているように思われる。

ウ 中の人が複数だと知らない場合

事例3-2 甲は丁が誰かは分からないが、中の人は1人であり、その丁というアバター及びアバター名を用いる「中の人」と取引したと考えていた。実際には、他に庚も利用することもあったが、そのタイミングで辛が中にいた

実態として中に複数名がいるとしても、そのことを取引をする相手方が知っているとは限らない。むしろ、「誰か分からないが、ある1人の中の人のアバターネーム(通称)が丁だ」と考えて取引をしている場合も多いように思われる(仮に複数の「中の人」がいることを認識しており、このままではそのうちの誰と取引するのか分からないのであれば、甲として取引時点において、誰が中にいて、誰と取引するかを確認するだろう)。アバター丁として中の人が複数存在することを明らかにしていない場合、甲がそのような理解をすることはむしろ自然であろう。

その場合に、例えば、辛(又は庚)が甲との契約をきちんと履行するのであれば大きな問題はないかもしれないが、辛が契約を履行せず、庚も「取引したのは自分ではない」と言って責任を回避することは認められるのだろうか。

上記の代理の要件で考えると、一般にも丁の中の人が庚だと理解されておらず、また実際にも中に庚がいた訳ではないとすると、「丁」と表示しただけでそれが庚だという顕名をした(署名代理をした)とは評価できないだろう。

そこで、結果的には、現行法の解釈からは、辛が契約を履行せず、庚も「取引したのは自分ではない」として責任を回避するような状態は生じ得ると言わざるを得ない。

なお、商行為であれば、相手方である甲としては、庚及び辛に対しても履行を請求できる(商法504条)ことから、これによって甲が保護され得るが、常に商法が適用されるとは限らない。

エ 同時に中の人が複数いる場合

事例3-3 丙はメタバース上のアバターではなく、分身ロボットで、中の人である戊や己が同時に動かしていた

例えば、喫茶店の接客アバターであれば、声は戊が出すが、注文した飲み物を渡すとか、飲み物にラテアートを描くのは己だといったことはあり得る。この場合でも、企業の従業員の事例であれば、(同時ではなく)異なる時点で複数の従業員が同じアバターを動かす場合(上記ア)と同様に考えられる。即ち、同じ乙の従業員として権限が授与されている限り、単に従業員である戊と己が同時に動かしているからといって、乙に効果が帰属しなくなることはない。そこで、注文の内容は戊の声でのやり取りに即して決まり、また、例えば販売されたラテアート付きラテが契約に適合しているかは、己がどのようなラテアートを描いてそれを甲に引き渡したかによって決まるだろう。

事例3-4 丁もメタバース上のアバターではなく、分身ロボットで、中の人である辛と庚が同時に動かしていた

この場合は、事例3-3と異なり、企業の取引の事案ではない。例えば、それが取引であれば、当該取引に対応する部分を担当したのは誰かという観点で分節することはあり得る。そこで辛が声を担当し、庚が動作を担当するという場合に、口頭のやり取りで契約をしたから辛と契約を締結した、といった議論である。しかし、丁が声と身振り手振りで甲との契約を成立させるという場合には、そのような議論は難しくなる。そして、甲として、事例3-2同様、その丁というアバター及びアバター名を用いる「中の人」と取引したと考えているという場合もあるだろう。その場合に、辛・庚双方と契約が成立するとみなせるかという問題は、悩ましいところである。

オ ソフトロー等による対応

事例3-1-2、事例3-2及び事例3-4等のような解釈が難しい状況が生じたり、取引相手の保護に欠ける状況が生じたりし得る場合に対応するため、公的ガイドライン等で解釈を明確化し、かつ、それを公表し、取引相手に対して留意を求めることでトラブルを予防することが重要である24

また、認証はここでも役に立つと思われる。しかし、認証の結果、「丁は辛・庚双方が利用している」という限りで事実関係が確認できても、その場合の法的な帰結が不明確であれば、認証だけでは問題を十分に解決することができないかもしれない。そこで、例えば、プラットフォーム側で、このプラットフォームにおいて複数人が中にいるアバターを利用して取引すること自体は可能であるもののその場合、当該利用者全員が連帯責任を負わなければならない旨を利用規約で規定するとか、認証事業者が、複数人アバターを認証する場合には、当該認証された中の複数人が連帯債務を負うと表明する場合に限る等、何らかの措置が必要かもしれない。

カ 組合構成か権利能力なき社団構成か

なお、例えば事例3-4を民法上の組合構成とすれば、辛・庚双方に責任を追及できる。これに対し、権利能力なき社団構成の場合、原則としてその構成員は有限責任を負うに留まる25ところ、VTuberであればそのアバター自体に財産価値があるといえる場合もあるだろうが、そうではない、ただの取引用アバターに財産価値があるとは通常いうことができず、権利能力なき社団構成を取ることで、むしろ背後者に対して責任追及ができなくなり、取引安全が害される可能性が高いことも付言する26

4.不法行為

不法行為としてはCAを利用した活動の妨害行為等が問題となるが、CAを利用した活動による利益そのものを法律上保護される利益と解すべきであるとされている27

そして、人格権侵害については既に連載第8回までに類型に応じて述べてきたところである。

セキュリティ28、例えば、他人にアバターを乗っ取られる、他人になりすまして取引その他CAを利用した活動をされる、そしてCAユーザーの個人情報等が漏洩されるといった状況に対しては、それが故意であればCAでの活動の価値等を踏まえて不法行為責任(民法709条)を追及することができる。なお、例えば、メタバースプラットフォームが個人情報漏洩を防ぐため安全管理措置を講じていたものの、ハッカーの被害にあって個人情報が漏洩したといった場合には、故意がなくてもその措置等に関して過失(帰責性)がある限り不法行為や債務不履行を根拠として損害賠償請求をすることができるだろう。

複数人が同一アバターを用いている場合の共同不法行為について、単にSNSのアカウントを複数人が共有しているというだけで直ちに共同不法行為は認められないという裁判例29からすれば、複数人が同一アバターを用いているというだけでは直ちには責任を根拠づけられず、それを超える主観的客観的関連共同性を基礎付ける事実を主張しなければならないだろう。

製造物責任法は、物理的なものであるディスプレイ、スマートグラス、トラッカー等において生じ得る30ところ、VR酔い等のリスクについて説明・警告することで一定程度対応できる可能性がある31

5.民事その他

その他VTuberの「中の人」が変更されたり、所属事務所との契約が解除されたりした後のいわゆる「中の人」が引き続き当該VTuber活動を継続したいと希望すること等の事態については、既に第2回連載で述べたとおり、基本的には契約の問題であるが、東京地判令和4年12月8日32や知財高判令和4年12月26日33等が一定程度制限的に解していることが参考になる。

国際的な取引については、準拠法や管轄が問題となるところ、第12回でプラットフォームによる凍結の文脈でこれを論じる。

6.刑事

(1)現実世界の刑法は少なくともそのままは適用されないこと

メタバースにおいて、現実世界の刑法は少なくともそのままは適用されない。例えばリアルワールドのCAたるロボットを破壊すれば器物損壊罪(刑法261条)であるが、オンライン上のアバターを破壊する行為は器物損壊罪にはならず、また、不正アクセス防止法等の犯罪が成立するかは具体的な行為態様次第である34

(2)刑法総論

アバターを守るために行う犯罪行為等の違法性が正当防衛(刑法36条)や緊急避難(37条)を理由に阻却されるか。この点、正当防衛の「やむを得ない」の解釈においては、防衛行為において実際に生じた法益侵害が、それによって回避した法益侵害よりも、侵害性において大であっても、そのことによって正当防衛の成立は否定されない35。そして、急迫「不正」の侵害の意義についても、構成要件該当行為である必要はなく、要保護性を備えた利益に対する侵害であれば足りる36。そこで、仮にオンライン上のアバターを破壊する行為を刑法上の犯罪を構成せずに行う者がいる場合、アバターを守るために例えばその者のアクセスを妨害する行為やパソコン・スマートフォン・VR端末等を破壊する等が業務妨害罪(刑法234条及び234条の2)や器物損壊罪(刑法261条)等何らかの構成要件に該当しても、正当防衛として違法性が阻却され得る。但し、アバター破壊者以外の者に対する場合であれば緊急避難が問題なり、その場合には害の均衡が必要である37ことから難しい判断が必要となる。この場合の判断基準としては両者共通に妥当する一般的・客観的基準を適用するという程度しかいえないと思われる38。ここにおいては、不法行為の場面で上記のとおりCAを利用した活動による利益そのものを法律上保護される利益と解すべきであるとされていることを踏まえ、そのような一般的・客観的基準の観点からも十分に法益として重要性があることを踏まえた判断をすべきであろう。

ロボットを遠隔操作する場合において、死角に入った人を傷害し、場合によっては死亡させてしまう場合にどのような要件で業務上過失致死傷罪(刑法211条)等における過失が認められるかは難しい問題である。ここで、ロボットについてはそれぞれ使用説明書や使用条件で死角の範囲や、その死角の人を傷害するリスクを減らすための方法(区画を作ってロボットの動作範囲に人を入れない、入る人がヘルメット等の安全装置を装着する等)があるはずである。このようなルールを守らず、安全装置を装着しないまま動作範囲に人を入れた等であれば基本的には刑事でも過失を認めることになるだろう。

ユーザーとプラットフォームが共犯となるか等については、Winny事件最決39等を参照しながら、プラットフォームの行為が幇助(刑法62条)や「共同して犯罪を実行した」(刑法60条)といえるかを探っていくことになるだろう。

(3)刑法各論

刑法各論としてはなりすましと、詐欺(刑法246条)や電磁的記録不正作出・供用(161条の2)、名誉毀損(230条)、又は偽計業務妨害(233条)40、乗っ取りと不正アクセス41、賭博(185条)罪42等が論じられている43

これらの各論的な論点については、要するにそのなりすましや乗っ取りの行為態様が、刑法の各犯罪の構成要件を充足する形で行われているかの個別具体的な判断の問題であって、特にアバター特有の判断が求められるものではないように思われるため、詳述しない。

なお、これら以外にも例えばアバターが服を脱いだ場合について状況次第ではわいせつ物陳列罪(刑法175条)になり得るところ、オフラインで同じことを行う場合に公然わいせつ罪(刑法174条)になることとの関係でそれで良いのかや、アバター同士の接触を伴うオンラインハラスメントについて仮にオフラインで生じたら暴行罪(刑法208条)、不同意等わいせつ罪(刑法176条)、不同意等性交等罪(刑法177条)、等に該当し得るにもかかわらず、メタバース上だということを持って(利用規約違反を超えて)直ちに犯罪とはできないことをどのように考えるか(これはむしろ(4)で述べる立法論かもしれない)、そして、メタバース上の教会や寺社について保護法益からすれば礼拝所及び墳墓に関する罪を成立させることができる可能性もあるが、そのような仮想礼拝所等を「礼拝所」(例えば188条1項)と解釈できるか等、多くの論点があり得るが、他日に期したい。

(4)立法論

なお、立法論としてはアバターやロボットの保護が問題となる。例えば、ペットのようなロボットや身体の一部を構成するロボット等について、愛護動物や肉体と同様の保護を与えるべきではないかが問題となり得る44


本研究は、JSTムーンショット型研究開発事業、JPMJMS2215の支援を受けたものである。本稿を作成する過程では慶應義塾大学新保史生教授及び情報通信総合研究所栗原佑介主任研究員に貴重な助言を頂戴し、また、早稲田大学博士課程杜雪雯様及び同修士課程宋一涵様に脚注整理等をして頂いた。加えてWorld Trend Report編集部の丁寧なご校閲を頂いた。ここに感謝の意を表する。

  1. 中崎尚「仮想空間(メタバース)での取引における法律問題」法律のひろば2022年7月号19頁。
  2. 松尾光舟=斉藤邦史「アバターに対する法人格の付与」情報ネットワーク・ローレビュー2023年22巻<https://www.jstage.jst.go.jp/article/inlaw/ 22/0/22_220001/_article/-char/ja>(2024年2月13日最終閲覧、以下同じ)45-66頁。
  3. 原田伸一朗「バーチャルYouTuberの人格権・著作者人格権・実演家人格権」静岡大学情報学研究26巻(2021)<https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/records/131 78 >53-64頁。
  4. AITuberのようにAIが中にいるアバターもあるが、これは背後者たる自然人がAIを利用すると決め、AIにどのような指示を出すかを決めてそれによって一定の不確実性はあるもののその想定した範囲内のどこかの演技をさせるということであれば、法的には当該「背後者たる自然人」こそがそのAITuberについて責任を負うべき者である。
  5. この点につき、「キティちゃんを誹謗中傷してもサンリオに対する名誉毀損にはならないし、株式会社キティという法人を立ち上げた場合でも同じである」というような比喩が当てはまるかもしれない。
  6. 声を当てる役割を果たすことが多いがそれ以外の役割は場合による。
  7. なお、松尾=齊藤は権利能力なき社団に人格権を帰属させることの正当性に関連し、現行の制度では、著作権法が、職務著作の成立により著作者人格権を法人に帰属させることを認めていることに言及するが、①著作者人格権と人格権の性質は議論のあるところであり、②著作隣接権の一つである実演に関する権利(実演家人格権を含む)は誰に帰属するのかという問題も解決していない。この点につき栗原佑介「メタバースを中心とするバーチャルリアリティにおける著作権法の『実演』に関する一考察―『その実演』の意義を中心に」情報通信政策研究6巻2号(2023)34-35頁参照。
  8. CA認証については、ムーンショットプロジェクトにおいては、CA安全・安心確保基盤を確立し、CAに対する認証を行い、認証済みのCAについては、公認CAとして安心・安全にメタバースや現実世界でやり取りができるようになるという構想が存在する(新保史生「実施状況報告書2022年度版」<https://www.jst.go.jp/moonshot/ program/goal1/files/15_shimpo_report2022.pdf>)1頁。
  9. なお、複数人関与アバターと名誉毀損等の人格侵害については松尾剛行「仮名・匿名で活動する主体に関する名誉権等の人格権法上の保護─サイバネティック・アバター時代を背景として」学習院法務研究18号(2024)(近刊)参照。
  10. 井上乾介ほか「メタバースと法(第2回)メタバースと電子商取引」NBL1227号(2022)58頁。
  11. なお、決済・支払いについては、①現金、クレジットカードその他の現実空間の決済方法と、②ポイント、暗号資産等のメタバース内の決済方法に分かれるが、この点は、清水音輝=荒巻陽佑『スマートコントラクトの仕組みと法律』(中央経済グループパブリッシング、2023)を参照されたい。
  12. スマートスピーカー等を通じた取引の問題(松尾剛行「対話型AI(チャットボット,スマートスピーカー(AIスピーカー),AIアシスタント等を含む)に関する法律問題」Law&Practice14号(2020)<https:// sd6ed8aaa66162521.jimcontent.com/download/version/1638171801/module/9309137876/name/14-4.pdf>71頁参照)と一定程度パラレルに考えられるが、それに尽きるものではない。
  13. 小塚荘一郎ほか「新技術と法の未来(1)仮想空間ビジネス」ジュリ1568号(2022)71頁〔茂木発言〕も参照。
  14. そのアイテムを買うことを最終確認すると、アイテムが手元に来て自分のポイントが減る。
  15. なお、いわゆるスマートコントラクトの仕組みにより自動執行する試みについては、清水=荒巻・前掲注11)を参照されたい。
  16. なお、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(通称:取引DPF消費者保護法)は、消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置や販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置をプラットフォームの努力義務とし(3条)、消費者が損害賠償請求等を行う場合に必要となる販売業者等の情報の開示を請求できる権利を創設(5条)した。
  17. 中崎・前掲注1)17-18頁。なお、個人であってもそれが絶対的商行為(商法501条1号)などであれば商法の適用もあり得るだろう。
  18. なお、なりすまし対策として保険制度の利用も提唱されている(中川裕志「AIエージェント、サイバネティック・アバター、自然人の間のトラスト」情報通信政策研究6巻1号(2022)54頁)。
  19. 於保不二雄=奥田昌道編『新版注釈民法(4)総則(4)--法律行為(2)99条~137条』(有斐閣、2015)16頁。
  20. 山本敬三『民法講義Ⅰ--総則』(有斐閣、第3版、2011)356頁。
  21. 山本・前掲注20)356頁。
  22. なお、具体的状況次第で、「法律行為の基礎とした事情」(95条1項2号)の錯誤とされるかもしれない。
  23. 動機の錯誤になる可能性につき前注を参照のこと。
  24. なお、KDDI株式会社ほか「メタバース/都市連動型メタバースの運用・利用指針『バーチャルシティガイドライン2.0』策定」(2023年7月20日)<https://news.kddi.com/kddi/corporate/topic/2023/07/20/6862.html>や日本デジタル空間経済連盟「デジタル空間の経済発展に向けた報告書」(2022年11月16日)<https://jdsef.or.jp/assets/document/achieve ment/report_20221116.pdf>や、同「デジタル空間上での仮想店舗運営に向けた実証実験報告書」(2023年7月26日)<https://jdsef.or.jp/assets/document/achieve ment/report_20230726.pdf>においては、メタバース空間における個人間の契約、特にアバター内に複数人がいる場合に関する言及は見当たらないようである。
  25. 最判昭和48年10月9日民集27巻9号1129頁、林良平=前田達明編集『新版注釈民法(2)総則(2)法人・物--33条~89条』(有斐閣、復刊版、2010)109頁。
  26. なお、松尾=斉藤63-64頁は営利目的の場合の有限責任否定説や「債権者の期待するキャッシュ・フローが他に流用されない方策が講じられ、その仕組みを債権者が十分に認識している」かにより個別に検討するという見解を紹介する。
  27. 浜田治雄「メタバース文化と知的財産」日本大学法学部知財ジャーナル58巻1号(2008)31頁。
  28. 松尾剛行「日本における民事サイバーセキュリティに関する判例法を探る」Law&Practice15号(2021)<https://sd6ed8aaa66162521.jimcontent.com/down load/version/1655785406/module/9342638676/name/103-139.pdf>103頁、松尾剛行「ランサム攻撃に関する個人情報保護法、会社法、及び民法に基づく法的検討―情報セキュリティと法の議論枠組みを踏まえて―」情報ネットワーク・ローレビュー21巻(2022)<https://www.jstage.jst.go.jp/article/inlaw/21/0/21_ 210005/_pdf/-char/ja>68-88頁。
  29. 東京地判令和1年11月8日(D1-Law文献番号28281153)、東京地判令和2年6月17日(D1-Law文献番号29060207)、東京地判令和3年1月18日(D1-Law文献番号29062280)、東京地判令和3年10月8日(D1-Law文献番号29067249)等。
  30. 関真也『XR・メタバースの知財法務』(中央経済グループパブリッシング、2022)263頁。
  31. 関・前掲注30)263頁。
  32. 東京地判令和4年12月8日判タ1510号229頁。
  33. 知財高判令和4年12月26日裁判所HP参照(令和4年(ネ)第10059号)。
  34. 西貝吉晃「『メタバース刑法』の可能性」法セ2023年2月号40頁。
  35. 害の均衡は要件とされていない。山口厚『刑法』(有斐閣、第3版、2015)70頁。
  36. 山口・前掲注35)66頁。
  37. 山口・前掲注35)79-81頁。
  38. 山口・前掲注35)80頁。
  39.  最決平成23年12月19日刑集第65巻9号1380頁。
  40. メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理」(2023年5月)<https://www.kantei.go.jp/ jp/singi/titeki2/metaverse/pdf/ronten_seiri.pdf>43頁。以下、「論点整理」という。
  41. 論点整理43頁。
  42. 西貝・前掲注34)41頁。
  43. なお、論点整理56頁は「刑法上の脅迫及び恐喝は『生命、身体、自由、名誉又は財産』に害を与えることを告知して行うことが前提となるが、アバターの身体や仮想オブジェクトに対する害の告知はこれらのいずれにも当たらない可能性が大。」とするが、アバターは「財産」に該当すると思われる(なお、脅迫罪の列挙する各事項で「個人的法益はほぼカバーされる」とする山口・前掲注35)229頁も参照)。
  44. なお、小名木明宏「科学技術時代と刑法のあり方:サイボーグ刑法の提唱」北法63巻6号(2013)524頁も参照。

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