情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。「InfoCom ICT経済アップデート」について2019年4-6月期がまとまりましたのでご報告いたします。
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2019 年 4-6 月期のポイント(前年同期比)
ICT経済は2期連続でマイナス成長となった。ICTサービスは19期連続増と好調を維持している。一方、ICT財は前年同期比マイナス10.2%と2期連続で減少し、減少幅が拡大した。ICT在庫は増加幅が縮小し、生産の減少を伴いながら、調整が進展している。
需要サイドは、ICT輸出が3期連続でマイナスを記録し、それが設備投資や生産面に波及している。一方、ICT輸入は減少から増加に転じた。ICT設備投資はマイナス2.0%と2期連続で減少した。ICT消費は堅調に推移し3.7%となったが、ICT経済全体を下支えするまでの勢いはなかった。
米中貿易摩擦を背景にした中国経済の減速、世界的なスマートフォン需要の一巡が、ICT輸出、ICT設備投資の低迷をもたらし、生産面に影響している。
2019 年 4-6 月期の動向
(ICT経済総合)
- 国内ICT経済は前年同期比マイナス0.2%と2期連続で減少した。前期に比べて0.1ポイント減少した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比2.5%と19期連続で増加した(図表3)。
- 移動電気通信業の増加幅が拡大し、受注ソフトウェアの増加幅が縮小した。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比マイナス10.2%と2期連続で減少した(図表4)。
- 半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置、電子デバイス、集積回路の減少幅が拡大し、電子計算機は増加に転じた。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比1.0%と増加幅が縮小した(図表5)。
- 電子デバイスの増加幅は縮小し、集積回路の減少幅は拡大した。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比3.7%と14期連続で増加した(図表6)。
- スマートフォン等の端末価格、パソコンの増加幅が拡大した。スマートフォン等の通信・通話使用料の増加幅は縮小した。
(ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比マイナス0.8%と2期連続の減少となった(図表7)。
- 電子計算機等は減少幅が拡大し、通信機は増加に転じた。
- 官公需は前年同期比21.9%と前期の減少から増加に転じた。
(ICT輸出入)
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス10.1%と3期連続で減少した(図表8)。通信機、半導体等製造装置の減少幅が縮小し、半導体等電子部品が拡大した。数量ベースではマイナス12.1%と4期連続で減少した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比2.0%と減少から増加に転じた(図表9)。電算機類(含周辺機器)の増加幅が拡大し、通信機は増加に転じた。半導体等製造装置の減少幅は縮小した。数量ベースでは同1.8%と減少から増加に転じた。
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