情報通信総合研究所では、情報通信(以下、ICT)産業が日本経済に与える影響を把握するために「ICT関連経済指標」を作成し、四半期ごとに公表しております。本日、「InfoCom ICT経済アップデート」について2019年10-12月期がまとまりましたのでご報告いたします。
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2019年10-12月期のポイント(前年同期比)
ICT経済は2期連続で増加した。ICTサービスは21期連続増加を維持している。ICT財はマイナス0.9%と4期連続で減少したが、減少幅は縮小している。ICT在庫の減少幅が縮小し、生産調整は進展している。ICTサービスが増加を維持し、ICT生産の減少幅が縮小したことから、ICT経済は2期連続で増加した。
需要サイドは、ICT輸出が5期連続でマイナスを記録し、それが生産面に影響している。ICT輸入は2期連続で減少し、ICT設備投資は再び減少に転じた。ICT消費は消費税増税前の駆け込み需要の影響により前期は好調であったが、今期は前年同期比0.6%増と横ばいとなっており、内需の動きが弱い。
中国経済の減速、世界的なスマートフォン需要の一巡を背景に低迷したICT輸出は一部底入れ感がみられたが、新型肺炎の影響で再び低調となることが懸念される。
2019年10-12月期の動向
(ICT経済総合)
- 国内ICT経済は前年同期比0.6%と2期連続で増加した。前期に比べて1.4ポイント減少した(図表2)。
(ICTサービス)
- ICTサービスは前年同期比1.0%と21期連続で増加した(図表3)。
- 受注ソフトウェアの増加幅が縮小し、ゲームソフト、ソフトウェアプロダクトが減少に転じた。
(ICT財)
- ICT財は前年同期比マイナス0.9%と4期連続で減少した(図表4)。
- 半導体・フラットパネルディスプレイ製造装置が増加に転じ、電子デバイスは減少幅が拡大した。
(ICT在庫)
- ICT在庫は前年同期比マイナス8.6%と減少に転じた(図表5)。
- 民生用電子機械の減少幅が拡大し、集積回路の減少幅は縮小した。
(ICT消費)
- ICT消費は前年同期比0.6%と16期連続で増加した(図表6)。
- スマートフォン等の本体価格、パソコンは増加幅が縮小し、スマートフォン等の通信・通話使用料、テレビは減少に転じた。
(ICT設備投資)
- 民需(除く船舶・電力・携帯電話)は前年同期比マイナス1.2%と減少に転じた(図表7)。
- 電気計算機等は増加幅が縮小し、通信機は減少に転じた。
- 官公需は前年同期比マイナス1.9%と3期ぶりに減少に転じた。
(ICT輸出入)
- ICT輸出(金額ベース)は前年同期比マイナス2.2%と5期連続で減少した(図表8)。半導体等電子部品、半導体等製造装置が増加に転じ、通信機は減少幅が縮小した。数量ベースでは同4.1%と6期ぶりに増加した。
- ICT輸入(金額ベース)は前年同期比マイナス10.6%と増加から減少に転じた(図表9)。通信機、半導体等電子部品の減少幅が拡大し、半導体等製造装置は減少幅が縮小した。数量ベースでは同0.5%と3期連続で増加した。
「InfoCom ICT経済アップデート」の主な内容
情報通信産業のマクロ経済への寄与度及び個別品目(サービス)の寄与度の分析
財・サービスの生産面、需要面について、ICT関連経済指標を作成し、マクロ経済の動向を示す総合経済指標の増減に対して、情報通信産業の寄与について定性的、定量的に分析。情報通信の在庫循環分析
情報通信生産と情報通信在庫の循環を分析。
※ICT関連経済指標は、九州大学篠﨑彰彦研究室で開発された指標を、情報通信総合研究所で維持・更新し、必要に応じて改善しているものです。
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