2019年11月25日掲載 ICT利活用 ICR View ICR研究員の眼

脆弱なキャッシュレスシステム



11月23日の早朝、株式会社QTnetが提供しているデータセンタにおいて電源障害が発生し、利用する約260社のシステムが影響を受けた。

QTnet社は、『電源設備の取替作業時に、受電用屋内設備の分電盤において、何らかの理由により過電流検知機能が動作し、受電系が常用から予備に切り替わり、切替時間(数秒以内と推定)の間にお客さまのサーバ類が電源を失って停止致しました』 と発表している。しかし、通常であれば万が一受電系が切り替わって一時断が生じても、UPSから電源供給されるためサーバ電源が影響を受けることはない。そもそもの設計上の問題か、電源設備工事の作業手順に問題があってUPSが二重化されていない状況になっていたかのいずれかだろう。

結果、楽天カードと楽天ペイもサービスに影響が生じた。数時間後決済など主要なサービスについては復旧した(と発表している)のだが、楽天ペイについては25日12時現在、決済できない状態にある。

どんなシステムでも障害は起きる。だから、絶対にサービスを止められないサービスを提供する銀行などの事業者はそれを前提にシステムを二重化する。データセンタも受電設備から含めて完全二重化された所を利用する。さらにデータセンタ事業者の作業手順まで確認したりもする。それでも障害が発生するリスクを考慮し、発生時の復旧手順を作成し、速やかに復旧できるようにしている。

それを考えると、丸二日経ってもまともに復旧できていないというのは、システムとしてはかなり脆弱だと言わざるを得ない。楽天ペイに至っては、ホームページ等でサービスが停止していることや復旧見込みなども全く周知されていない。ネットでも、肝心な時に使えなかった、とか、仕方なく現金を下ろした、というようなコメントが飛び交っている。

決済システムにとって一番重要な信頼性をないがしろにすると、利用者からそっぽを向かれてしまうことを肝に銘ずるべきだろう。

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