世界の街角から:Las Vegas~落ち着かない、砂漠の中の蜃気楼のような街
ここのところ、海外出張と言うと、昨年秋のAmazon Web Services「re:Invent」、今年3月のIBM 「Think」、そしてさらに5月は「Dell Technologies World」と、なぜか偶然にLas Vegasへの出張が続いた。
着いた瞬間から落ち着かない
Las Vegasと言えば、言わずと知れたカジノ、エンタメの街。空港に降り立つといきなり、色とりどりのスロットマシーンが待ち受ける。カジノ好きにはテンションが上がる瞬間に違いない。しかし、博打に一切興味のない私にとっては、いつもこの時点から既に気持ちが萎え始める。
空港から市街地まではほど近い。空港からの移動は通常、米国だといつもUberを利用するのだが、Las Vegasの場合は待ち時間が長く、ライドシェア専用の車寄せまでが歩いて少々遠いこともあり、タクシーの利用の方が簡便だ。タクシーも最近はUberに押されてか、接客態度も良くなった。
究極に落ち着かないホテル
Las Vegasのホテルは構造として基本的に1階には必ずカジノが置かれている。日中でも薄暗いカジノエリアでスーツケースをゴロゴロ引っ張り、ようやくカウンターにてチェックインとなる。
私が最初の頃に宿泊したBest Western、Excaliburともにそういったタイプで、前者は規模は小さいけれど、入り口で派手派手ネオンがお出迎え。後者は外からの見た目はおとぎの国、中は巨大なカジノ天国のフロアで、仕事でホテルから出入りするので、なんとも気分が落ち着かない。特に、宿泊者は行楽客がほとんどで、だいたいみんな短パン、Tシャツ姿。そして、朝からでっかい缶ビール片手にもう酔っ払っていたりする。ちなみに、米国は路上等での飲酒には非常に厳しいが、Las Vegasではビール片手にフラフラ歩いていても何にも言われない。むしろそれが標準的な歩行者という感じだ。安ホテルに泊まると廊下もはしゃいだ大人たちの騒ぎ声で結構うるさかったりするので、部屋にいてすら何とも落ち着かない。
ただし、Las Vegasはカンファレンス誘致を積極にしているため純粋なビジネス客も多いことから、最近ではカジノのないホテルも増えているらしく、前回5月の出張のときはその手のホテルを探し出して、ようやく安息の場所を得た。
Everything is Fake
はっきり言って、Las Vegasでは世界中の観光名所が大概見つかる。自由の女神もあれば、エッフェル塔、さらにはピラミッドまである。ただし言うまでもなく、それはみんな偽物。以前参加したカンファレンスで出会ったフランス人の女性が言っていた次の言葉を常に思い出す。「What a strange city! Everything is fake!」。ホントそのとおり。こんなのが至るところで存在感を主張して、見ているだけで、これまた疲れてくる。
Las Vegasは建物の形にとどまらず、道を歩いているだけで、様々な人目を集める工夫がなされている。中でもBellagio Hotelの噴水ショーやMirage Hotelの火山は大変迫力がある。これらは定期的なアトラクションとして行われ、屋外で無料ということもあり、多くの人が足を止めて見入っている。私も初めて見たときは「すごーい!」と感心した。しかしこれもまた、毎日目にしていると、「そんなでっかい音でしょっちゅう爆発させんでもええがな」という気分になって、むしろうんざりしてしまう。
Las Vegasグルメ
Las Vegasは砂漠のど真ん中にあるにもかかわらず、食は何でもそろっている。以前、米国人の友達からは「Las Vegasに行くのだったら、今まで食べたSushiの中で一番美味しかった店がある!」と、とある寿司屋を強く勧められた。確かにそうかもしれないが、「なんで砂漠で寿司を食べなあかんねん」と、心に思いとどめたまま華麗に無視し続けている。
豊富にレストランがある一方、お一人様で軽く食べるところがあまりないのも事実。その上、カンファレンス会場からホテルに戻ってまた出ていくのが一苦労となる。そこで、私の場合は、朝と昼にカンファレンスで出されるもので栄養を補い、夜は日本から持参したポットとインスタント食品というのが一番満足度が高く、健康が維持できるので、一切外食なし。グルメ情報を期待されていた皆さんには今回申し訳ないが悪しからず。ちなみに、海外用の小型電気ポットが一つあるだけで、随分とホテルの部屋での調理バラエティが増えて便利でおススメ。
気分転換のつもりがどんよりした気分に
Las Vegasでは様々なショーやコンサートも開催されているのだが、日中は早朝からだだっ広いカンファレンス会場を歩き回る必要があり、日々やたらとくたくたになる。したがって部屋に帰ると大概うたた寝してしまうのが常。そんな中、辛うじて訪問した場所をいくつかご紹介する。
移動に便利なRTCアプリ
市街地の移動にはRTCという公共のバスが便利。アプリが提供されておりダウンロードし、クレジット決済でチケットを購入することで乗車が可能。利用料は時間制で、2時間利用可能なものが6ドル、24時間利用で乗り放題が8ドルとなっている。
Amazon色のスーパーマーケット、Whole Foods Market
1つ目はスーパーマーケットのWhole Foods Market。こちらはAmazonが買収したことで話題になったことが記憶に新しいのではと思う。そして、店内入り口にはちゃんとAmazonで注文した荷物を受け取ることができるAmazon Lockerが配置。ちなみにWhole Foodsは品質が良く、日本で言うお惣菜にあたる調理済み食品も多く、ここだと持ち帰りでまともな料理を買うことができることから、弊社内にもファンが多い。
ギャング博物館(Mob Museum)
2つ目は、ギャング博物館(Mob Museum)。多分日本人はあまり行かないだろう。ここを訪れるとLas Vegasの裏の歴史であるギャングの興亡について学ぶことができる。入館してしばらくは、有名なアル・カポネの持っていた銃が飾ってあったりして、「へー」って感じでお気楽に見ることができたが、段々とギャング同士の抗争の凄惨な映像や、実際に使われた銃弾の本物が展示されていたりするのが続き、出る頃には気分転換のはずが、相当重たい気分になった。お子様連れの方はNGの場所。
Fremont Street Experience
こちらは上記Mob Museumからほど近いFremont Street。ここはLas Vegasでも旧市街と言える場所だ。Las Vegasの中心が近年Stripと言われる場所に移りしばらく衰退していたが、最近LEDが一面にちりばめられたアーケード天井のライトショーを始め、様々な趣向で盛り上がりを取り返している。路上では大道芸人やら、ほぼストリップに近いお姉さんやらが記念撮影したりと、ひたすらお祭り騒ぎの状態。もちろん、こちらも基本的に歩いている人はほぼ全員テンションの高い酔っ払いな感じだ。Mob Museumでのどんよりした気分の後で、確かにライトショーは凄かったが、LED光や大音量の刺激と喧噪でさらにどっと疲れた。体調が悪いときは避けた方が賢明。
砂漠の蜃気楼
Las Vegasからの帰路はいつも早朝。空港でチェックインしてしばらくすると夜が明け始め、遠くLas Vegasの街並みが朝焼けに染まる。本当に砂漠の中の蜃気楼のような街。「ああ、早く日本に帰って寿司が食べたい」
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前川 純一(退職)の記事
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