2023.3.30 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

ICT雑感:通信業界が舞台の小説『接続の果てに』とは何? ~話題のChatGPTにいろいろ聞いてみた

Image by Tumisu from Pixabay

通信業界を一言で表すと、「つながる未来」――。

希望が持てる前向きな言葉のように聞こえ、何かの展示会のキャッチフレーズにも使えそうな気さえする。

通信業界を一言で表すよう求められ、瞬時にこの言葉を返したのは今話題の「ChatGPT(チャット・ジーピーティー)」。さまざまな問いかけやリクエストに対し、即座に応じてくれる対話型AIだ。公開後まもなくアクティブユーザー数が世界で1億人を超え、急拡大を続ける。急速なAIの発達を警戒する向きもあるが、今のところ期待感や前向きな見方が先行している。

今最も熱いAIツールに、情報通信の未来、あんなことやこんなことを聞いてみた。

(※以下、本文中掲載の画像の出典は一部記載のあるものを除きすべてChatGPTウェブサイト)

▽無料でもこんなに使える

ChatGPTは質問や要望を入力すると、内容に即した回答を用意してくれるAIサービスだ。例えば、冒頭に紹介した問答なら、

Q.通信業界を一言で表すと?

A.「つながる未来」

といった具合に、なんともウィットに富んだ回答をばっちりと決めてくる。

続いて、一歩踏み込んで、

Q.通信業界の課題を一言で表すと?

と尋ねてみる。ChatGPTは5秒ほど「考えた」(カーソルが点滅した)後に、

A.「インフラ整備」

との答えを捻り出した。さらに、「一言で」という制約を設けずに、

Q.通信業界の課題は何でしょうか。

と尋ねると、瞬時に

A.通信業界の課題としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  1. 高速化・高容量化のニーズ:ネットワークの高速化や高容量化が求められ、5Gや光回線などの技術開発が進んでいます。
  2. インフラ整備:ユーザーが増えるにつれ、通信インフラの整備やアップグレードが必要になります。
  3. セキュリティ対策:ネットワーク上の機密情報を守るためのセキュリティ対策が必要です。
  4. 新しいサービスの創出:通信技術の進歩を背景に、新たなサービスやビジネスモデルを創出することが求められます。
  5. デジタル格差の解消:デジタル格差を解消するため、地域や世代を超えたアクセスの提供や、情報格差を解消するための取り組みが必要です。

との明快な回答をものの1分で書き出した。なかなかの確度とスピードに感嘆せずにいられない。

これらはいずれも無料のユーザー登録だけで体験できる内容だ(2023年3月1日現在)。アクセスが集中するとつながりにくくなることがあるが、有料のユーザーになればそうした不便さが解消・軽減するメリットを享受できる。

▽OpenAIが開発

高いクオリティで話題が話題を呼び、ChatGPTは2022年11月の公開からわずか2カ月のうちに、全世界で1億人のユーザーを獲得した。驚異的なスピードだ。

そんなド級のChatGPTとはどのようなサービスなのか。ここで簡単に触れてみる。

ChatGPTを開発したのは、AIを研究・推進する組織「OpenAI」だ。2015年12月にイーロン・マスク氏らが創設し、当初から注目を集めていた。

ChatGPTは、膨大なテキストデータに基づく深層学習を用いた自然言語処理モデルにより構築されたAIチャットボットで、人間の会話のような滑らかな応答が特徴だ。2021年末までに学習した内容がベースとなっているため、2022年以降に起こった出来事や新たに加わった情報には疎い面もあるが、そうした難点を補って余りあるパフォーマンスを発揮している。現在は初期の「Research Preview」という位置づけ、つまりプロトタイプと言える。

ChatGPTの真価は、質問に答えることのみにあらず、だ。例えば、「英文問題を3つ作って」と言えば、すぐさま指示通りに例文を用意してくれる。

Q.「情報通信業界に関するミニクイズを出してください。」

とリクエストすれば、

A.

  1. 通信業界における5Gとは何の略称ですか?
  2. 通信業界において、光回線によるインターネット接続の速度を表す単位は何ですか?

といったまさにミニクイズを用意し、

Q.それぞれの答えを教えてください。

と聞けば、

A.

  1. 5Gは第5世代移動通信システムの略称です。
  2. 光回線によるインターネット接続の速度を表す単位は「Mbps」または「Gbps」です。

といった具合に教えてくれる。

「もう少し難しい問題を」と求めると、「量子暗号通信における量子鍵配送について説明してください」といったように、さじ加減で出題を変えるなど、「痒い所に手が届く」応対ぶりを見せる。

守備範囲はこれだけにとどまらない。ある程度の長さの文章であれば、翻訳や要約もお手の物だ。

▽広がる用途

ChatGPTの優れた回答内容を活用しようとする動きはにわかに広まっている。

わかりやすい例としては、英会話や塾で問題作成や採点・添削に駆使されるケース、ChatGPTをAPIでメッセージングアプリに組み込んだサービスにより数十万人規模のユーザーを獲得した企業があった。回答の的確さや自然さが評価され、お悩み相談のチャットボットとして使われる事例も増えている。

また、「〇〇がテーマの小説を書いて。主人公は△歳で職業は……」などと数十字で伝えると、早速執筆に取りかかり、つらつらとよどみなく、「健気に」筆を走らせる。

もっとあっさりと、

Q.通信業界が舞台の壮大な小説を書いてください。

とリクエストすれば、これまた合点承知と言わんばかりに、主人公の名前、年齢、職業や社内での評判から始まり、「主人公の夢は通信技術の発展に貢献」「新たな5G技術の開発に取り組む」といった細かな設定や場面描写を、極めて自然な言葉で書き綴っていく。こうして、5分と経たぬうちに数千字の文章が書き上がる。

加えて、異なる時に同じリクエストをすると、違った内容の提案をしてくる。2回目のリクエストの際、ChatGPTは自らの作品を『接続の果てに』と題した。なかなか含蓄のあるタイトルだ。

「もう少し悲劇的要素を加えて。」と求めれば、これまた見事に悲劇的な描写を1分と経たぬうちにこしらえる。

いずれにしても毎度、起承転結が織り込まれた、確かな文章が提案される。

出来上がった文章は、そのまま使わないにしても、豊かな創作のインスピレーションを与えてくれる。そうした出来栄えの見事さに感銘を受けた人々が、AmazonのKindleで「ChatGPT著」の小説を出版するブームまで巻き起こっているという。

まだ公開から半年足らず。今後、さらに多岐にわたる分野でChatGPTの活用が進むことは間違いないだろう。

▽脅威論も根強く

ある意味において、人間の能力を超えつつあるAI。SF作家、故アイザック・アシモフが「ロボット三原則」を提唱してから70年余りが過ぎた今、AIやロボット、それに類するモノの台頭を警戒する動きはいよいよ本格化している。

欧州委員会のブログには2月、「ChatGPTの急速な普及」といったタイトルの記事が掲載され、「規制されていないAIソリューションが意図しない倫理的および法的な違反につながり得る」と警鐘を鳴らした。EU域内ではAIが暴走しないようにするルール作りが進む。

(出典:photoAC)

(出典:photoAC)

▽すべて打ち返す

昨秋のローンチ以降、日々改善に次ぐ改善がなされ、より自然な、「人間に近い」やり取りが実現するようになっているChatGPT。万能との呼び声も高い対話型AIはちょっとした「つぶやき」も取りこぼさない。「疲れた」と漏らせば、ねぎらってくれる。

通り一遍でなく、人の気持ちに寄り添えるAIの進化に、今後一層の期待がかかる。

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。

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