世界の街角から:Power Vacance!! 沖縄北部に開業した“ジャングリア沖縄“
沖縄北部に新しく誕生したテーマパーク「ジャングリア沖縄」。恐竜と出会い、絶叫し、時には木陰やかき氷で涼をとりながら過ごした一日は、これまでの沖縄旅行とは一味違う特別な体験であった。その魅力を、家族での旅行記として紹介する(写真1)。

【写真1】エントランスにある「ジャングリアツリー」
(出典:文中掲載の写真は、一部記載のあるものを除きすべて筆者撮影)
6年ぶりの沖縄
沖縄には子どもたちが小さい頃から毎年訪れていたが、コロナ禍や受験が重なり、足が遠のいていた。今年の夏、ようやく6年ぶりに訪れることができた。今回の旅行の最大の目的は、沖縄本島北部・今帰仁村に今年7月25日に開業したテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」である。
高校生の娘は恐竜が大好きで、映画『ジュラシック・パーク』を何度も繰り返し観ては、小さな恐竜と暮らす夢を見るほどである。さらに絶叫系アトラクションも大好きで、「ジャングリア沖縄」はまさに娘が一番楽しみにしていた場所だった。一方、大学生の息子は恐竜への関心はほどほどで、むしろ絶叫系は苦手なタイプである。
「ジャングリア沖縄」とは
このテーマパークは、株式会社刀の森岡毅氏が約10年前に構想を始めたもので、やんばるの森に広がる大自然没入型の施設である。旧「オリオン嵐山ゴルフ倶楽部」の跡地を活用しており、敷地面積は東京ドーム約13個分に相当する60ヘクタールに及ぶ(写真2)。

【写真2】エントランスを抜けると広がるやんばるの森
遠くにブラキオサウルスが見える
コンセプトは「Power Vacance!!」。世界自然遺産「やんばる」から連なる大自然を舞台に、ここでしか味わえない本物のクオリティと興奮を体験することを意味しているという。
事前準備は万端?
今回の旅行では、旅行代理店の「ジャングリア沖縄のチケット付きホテル・ツアー」を申し込んだ。6月には予約を済ませていたこともあり、チケットを確保できているという安心感から、その後は特に準備をすることもなく、気づけば出発の2週間前を迎えていた。そのころになって、ネット上で「事前準備をしておかないと当日十分に楽しめない可能性がある」といった情報を目にし、慌ててジャングリア沖縄の公式ホームページや関連情報を調べ始めた。
その結果、事前にプレミアムパス※を使って1つのアトラクションを予約し、さらにパーク内専用駐車場を利用するためのパーキング予約券を購入した。他のアトラクションについては、当日現地で体験したくなれば並んで乗ればよいと考えていた。しかし、のちにその考えは甘かったと思い知ることになる。
いよいよ「ジャングリア沖縄」へ

【写真3】体験したかった「タイタンズスウィング」を含め、お昼前にはすべての整理券配布が終了となっていた
開園は10時であったが、今回のツアーには特典としてパークオープン15分前に入場できる「アーリー・パークイン」が付いていた。利用するにはチケットブースでの引き換えが必要だったため、9時半の到着を目標にホテルを出発した。道中の混雑を心配していたが、渋滞もなくスムーズに到着し、開園待ちをすることもなく入場できた。
ところが、入場後に専用アプリから取得できるはずのアトラクション整理券(無料)が、当日はシステムの不具合で利用できなかった。そのため、整理券受付場所に並ぶ必要が生じてしまった。さらに、狙っていたアトラクションの整理券は、すでにプレミアムパスで完売していた(写真3)。こうなると、どうあがいてもそのアトラクションを体験することはできない。簡単には訪れることができない場所であるだけに、事前準備をおろそかにしてしまったことが悔やまれた。
もっとも、悔やんでいても仕方がない。気持ちを切り替え、待ち列に並べば体験できるアトラクションへと急いだ。
やはり沖縄は暑い
この日の最高気温は33℃。数字だけ見れば本州の方が高い日もあるかもしれないが、沖縄の日差しはとにかく強烈で、肌にじりじりと迫ってくる。屋内で涼める場所は意外と少なく、アトラクションを待つ間にも汗が滝のように流れ落ちた。「沖縄では一日中雨の日は少ない。だからこそ屋根を設けるのではなく、大空と自然の景観を残すことを優先し、その分を恐竜やレストランのクオリティに投資した」と、帰宅後に視聴したテレビ番組で森岡氏が語っていた。振り返れば、目に浮かぶのは青い空と白い雲、そして鮮やかな緑であり、その景観が少しでも損なわれるのは確かに惜しいと感じられる。
とはいえ、暑いものは暑い。だが、屋内施設が少ないパーク内でも、自然の景観を楽しみながら涼をとれる工夫が随所に見られた。園内には数多くの日傘が設置され(写真4)、ベンチにはすべて大きなパラソルが取り付けられて日陰が確保されていた。日陰に腰を下ろし、かき氷を口にすれば思わずほっと一息つける。また、売店には塩分チャージタブレットが無料で置かれており、その細やかな気遣いがありがたく感じられた(写真5、6)。

【写真4】必要な時に気軽に借りることができ、軽くて大きさも程よく、使い勝手がとても良い日傘

【写真5】緑に囲まれたベンチで、かき氷を楽しみながらひと休みする

【写真6】外の売店にて無料で配布されていた塩分チャージタブレット
恐竜に追いかけられる?
今回体験したアトラクションは3つである。最初に挑戦したのは、入園後すぐに列に並んだ「バギーボルテージ~ファンアドベンチャーコース~」だ。ここでは私と娘が2人乗り、息子は1人乗りにチャレンジした。本格的な四輪バギーで、大きな石がごろごろと転がっている道やジャングルの大自然の中を駆け抜けていく。普段から車を運転する私でも、バギーのハンドルは重く、コントロールは容易ではなく必死であった。一方、息子は自分で運転できることがとても楽しかったようだ。
ちなみに、この「バギーボルテージ」には「アドレナリンチャレンジコース」という別のコースもあり、ジャンプ台が設けられるなど、さらに本格的なコースになっている。興味のある方は、ぜひ挑戦してみてほしい。
2つめは、訪れる前から絶対に体験したいと思い、プレミアムパスを購入して臨んだ「ダイナソーサファリ」である。メディアなどでも紹介される、ティラノサウルスに追いかけられるイメージで知られる「ジャングリア沖縄」を代表するアトラクションの一つである。
ストーリーは、古代生物再生研究所の飼育施設から肉食恐竜のT-REXが逃げ出し、その事態収拾のために集められた草食恐竜保護チームの一員として特殊車両に乗り込み任務を開始する、というもの。やがて逃走したT-REXが迫ってくる。
実際には、イメージ映像のように恐竜に追いかけられる場面はない。しかし、スタッフが運転する特殊車両は、ジャングルの急傾斜や悪路を激しく駆け抜け、本当に恐竜に追われているかのような錯覚を覚える。何度絶叫したかわからないほどで、これまでに体験したことのない迫力あるアトラクションであったことは間違いない(図1、写真7)。

【図1】「ダイナソーサファリ」イメージ
(出典:ジャングリア沖縄公式ウェブサイトより)

【写真7】「ダイナソーサファリ」の入り口
ここからは恐竜は見えず平和な雰囲気を感じる
最後の3つめは遅めのランチ後に体験した、パーク内を走る「タムタムトラム」である。大きなラッパのようなデザインの車両で、座席にはさまざまな楽器が設置されており、自分たちも演奏を楽しみながらパーク内を巡ることができる。食後ということもあって、にぎやかさの中にも心地よいゆったりとした時間を過ごすことができた(写真8)。

【写真8】ラッパのデザインをした「タムタムトラム」
パノラマダイニングでゆっくりと食事を
実は、レストランの事前予約はすでに満席で取ることができず、当日はウェブによる順番待ちを利用した。、自分たちの順番が近づくとメッセージで通知が届く仕組みであり、待ち時間をアトラクション体験やパーク内の散策に充てることができる。私たちは81組待ちという、とてつもない順番であったが、その間に「ダイナソーサファリ」を体験していたため、待ち時間も全く苦にならなかった。
メニューには、沖縄の食材を生かしつつ、恐竜やジャングルをイメージさせる、ここでしか味わえない料理が並んでいた(写真9、10、11)。

【写真9】パノラマダイニング ネスト席

【写真10】ジャングリアハンバーグ 豪快にかぶりつく 石垣島産黒毛和牛100%のハンバーグ

【写真11】ピッツァ グリーン ハーベスト
緑に満たされる
沖縄の自然を表現したというピッツァ
食事をとりながらしばし休憩した後、先ほどの「タムタムトラム」を体験し、私たちはパークを後にした。
ジャングリア沖縄を訪れてみて
今回「ジャングリア沖縄」を訪れてみて、一つ反省がある。体験したいと思っていたアトラクションのプレミアムパスを事前にもっと購入していれば、さらに楽しみ方の幅が広がったかもしれない。しかしそれ以上に、これまで経験したことのない迫力あるアトラクションや雄大なやんばるの森が広がる大自然の景色は、言葉に尽くせない魅力であった。
娘は大好きな恐竜の世界に夢中になり、息子は自らハンドルを握って挑んだバギーに満面の笑顔を見せ、家族それぞれが自分らしい楽しみ方を見つけていた。筆者自身も、沖縄の新しい一面を体験し、これまでの沖縄旅行に新たな刺激が加わったように感じている。
自然との調和を大切にしながら、訪れる人を楽しませる工夫が随所に配されたこのテーマパークは、沖縄における新しい楽しみ方を提示しているように思う。次に訪れる機会があれば、今回体験できなかったアトラクションにも挑戦し、また新しい発見をしたい。
沖縄でこれまでとは一味違う体験を求めている方には、ぜひ訪れてみてほしい場所である。
なお、筆者が訪れたのは2025年8月27日であり、本稿の内容はその時点の情報に基づいている。今後、変更となる可能性がある点に注意されたい。
※ プレミアムパスとは、指定時間に待ち列をスキップして利用できるなど、当日の時間を気にせずにスムーズにアトラクションを体験できる有料チケットである。
※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。
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