2023.8.30 ITトレンド全般 InfoCom T&S World Trend Report

「Google Pixel Fold」に見る高額スマートフォンの今後

【写真1】「Google Pixel Fold」開封の儀 (出典:文中掲載の写真は、一部記載のあるものを除きすべて筆者撮影)

最新スマートフォン「Google Pixel Fold」を購入

2023年7月27日、Googleの最新スマートフォン「Google Pixel Fold」が届いた(写真1)。同端末は、Googleの最先端の技術が搭載されている同社初の折り畳み型スマートフォンである。最新のスマートフォンに目がない筆者としては、非常に魅力的なスマートフォンだ。従来ならば、購入を即決するところだが、今回は見送ることも考えた。その理由は、同スマートフォンの値段が約25万円と高額だったためである。スマートフォンは、毎日気軽にポケット等に入れて利用するものだと考えている。一方、Google Pixel Foldの様な高額なスマートフォンになると「破損」や「故障」などのリスクを考えてしまい、気軽に持ち運んで利用することはできないと感じてしまったのだ。最終的には、妻から「職業的に買わないでどうする」と諭され、金額に恐怖しながらGoogle Pixel Foldをメインスマートフォンとして自費で購入することにした。

本稿では、一消費者として購入したGoogle Pixel Foldを約1週間使ったレビューを紹介するとともに、高額化が進展するスマートフォンの今後に向けた規制等の動向ついて考察していきたい。

【レビュー1】
折り畳みスマートフォンGoogle Pixel Foldの使用感

Google Pixel Foldで注目すべきは、やはりGoogle初となる新たなスマートフォンのフォームファクタ(形状)である「折り畳み」だ。ディスプレイは閉じた状態で、5.8インチのディスプレイが一つ、広げると7.5インチの内折ディスプレイが登場する(写真2)。5.8インチのディスプレイといえば、iPhoneであればiPhone 14やiPhone 14 Proのディスプレイ(6.1インチ)より若干小さい。また内折ディスプレイに関してもiPad miniのディプレイ(8.3インチ)よりも一回り小さい。純粋な比較にはならないが、iPhone 14やiPad miniユーザーの目線では、少し小さなスマートフォンとiPad miniの両方をポケットに入れて持ち運ぶことができるデバイスとなる。

【写真2】閉じた状態(左)、広げた状態(右)

【写真2】閉じた状態(左)、広げた状態(右)

2つのディプレイのなかでも特に注目されるのは、やはり7.5インチの内折ディスプレイだろう。内折ディスプレイは、文字通り7.5インチのディプレイを真ん中で折り畳んだものとなっており、その折り目は光の反射等で浮き出る。ただし、実際に動画等を視聴してみると、特に正面で観ている分には折り目の違和感は大きく感じられなかった(写真3)。

【写真3】斜めに見ると「折り目」が出るが、正面から見ると気にならないレベル

【写真3】斜めに見ると「折り目」が出るが、正面から見ると気にならないレベル

なお、折り畳み型スマートフォンのディスプレイや端末サイズには問題がないが、大きな課題として重量が挙げられる。同端末の重量は283gと非常に重い。参考として、iPhone 14のなかでも最も重いiPhone 14 Pro Maxが240gだ。折りたたんだ状態で片手操作する場合、その重さ故に長時間操作が難しい。今後、技術発展による小型化・軽量化に期待したい。

【レビュー2】
アプリのGoogle Pixel Fold対応

Google Pixel Foldは広げることで小型タブレットに変わるが、そこで注目すべきはアプリの対応になる。既に、Googleが提供しているYouTube、Gメール、Google Chromeブラウザー等のアプリがGoogle Pixel Foldに最適化されている[1]。一方、現状ではまだ多くのアプリは対応していないため、Google Pixel Foldでそうしたスマートフォン向けアプリを使うと全画面表示されない。(写真4)

【写真4】Google Pixel Foldに対応アプリ(左)、非対応アプリ(右)

【写真4】Google Pixel Foldに対応アプリ(左)、非対応アプリ(右)

なお、Google Pixel Foldに最適化されたアプリは増加すると予想する。Googleは2023年7月25日に、アプリストアにおけるアプリ・ランキングなどの評価基準に「大型スクリーンへの対応」を加えた(図1)。これにより、アプリ開発者は、従来のスマートフォンだけでなく、折り畳み型スマートフォンを含む大型スクリーンへの対応が求められるようになった。今後、様々なアプリがGoogle Pixel Foldに最適化されることが期待される。

【図1】Google、アプリ開発者に大型スクリーンへの対応を促す

【図1】Google、アプリ開発者に大型スクリーンへの対応を促す
(出典:https://android-developers.googleblog.com/2023/07/
introducing-new-play-store-for-large-screens.html)

高額スマートフォン購入先:
Googleストア? キャリア?

2019年10月に開始された通信料金と端末料金の分離もあり、キャリアによる端末値引きは限定的(最大2万円)なものとなった。さらに、GoogleのPixelシリーズの販売自体も対応するキャリアが少なくなった。筆者も、2019年10月に販売が開始されたPixel 4 XLを機に、Googleストアで端末を購入してきた。今回もGoogle Pixel FoldをGoogleストアで購入する予定であったが、数年振りにNTTドコモのオンラインショップで購入することにした。その大きな切っ掛けとなったのがスマートフォンの故障・破損時に修理や交換等をしてくれるサービス「端末補償サービス」である。

Google Pixel Foldを販売している国内キャリア3社は共に、端末補償サービスを提供している。Googleストアでも同様のサービスが米国、カナダ、プエルトリコで提供されているものの、日本では提供されていない(図2)。つまり、Googleストアで購入してGoogle Pixel Foldが故障した場合、高額な修理費を支払うか新しい端末を購入する必要がある。

【図2】Googleが提供する端末補償サービス

【図2】Googleが提供する端末補償サービス
(出典:https://support.google.com/store/answer/7528518?hl=ja)

キャリアの端末補償サービスでは月額数百円程度支払う必要があるものの、Google Pixel Foldを日常生活で利用することを考えると、安心感を満たすために必要不可欠なサービスと感じた。

なお、筆者は既にGoogle Pixel Foldを1週間で計3回(屋内外で)落としている。幸運にもモニター等の破損はなかったが、端末補償サービスに入っていることで、より安心してGoogle Pixel Foldを利用することが可能となった。

InfoComニューズレターでの掲載はここまでとなります。
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国内キャリアの販売価格:端末購入サポートプログラム

米国キャリアに見るGoogle Pixel Foldの販売戦略

高額化するスマートフォンと今後の規制

※この記事は会員サービス「InfoCom T&S」より一部抜粋して公開しているものです。

[1] https://www.forbes.com/sites/patrickmoorhead/ 2023/06/05/google-emphasizes-android-ai-large-screens-pixel-and-its-new-pixel-fold/?sh= 56a5a4c041ca

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